睡眠薬とは別名、「睡眠導入剤・眠剤・眠薬」とも呼ばれ、不眠症や睡眠障害を治療する医薬品です。
睡眠時の不安や緊張を取り除き、寝つきを良くするなどの作用があります。
短期間の服用にて、寝つきが悪い、睡眠中に何度も目が覚めてしまう、夜中に目が覚めた後眠れない、朝早く目が覚めてしまうといった症状を改善できます。
ただ長期間の服用では、耐性の形成や依存症の懸念がありますので、あくまで短期間で効率よく使用することとなっています。正しい服用方法の遵守が極めて重要な医薬品です。
一般的には薬に頼らない方法で治療をおこなっても良くならない不眠症や睡眠障害の方に適用されます。
睡眠薬は長期間服用すると耐性ができる点、依存性が高い点から短期間の服用に留めることが推奨されています。
睡眠薬を急に減量したり中止したりすると、睡眠薬の服用を開始する前の不眠症よりさらに症状が悪化した不眠症が発現してしまう反跳性の離脱作用を有することもあります。
ほかにも用法用量を遵守せずに過量に睡眠薬を摂取すると、記憶障害が発生したり、筋弛緩作用により身体に力を入れることが困難になるケースもあります。結果、ふらつきや転倒の危険性が増したり、興奮状態や攻撃性が高い状態になったりと強い副作用の発現が懸念点です。
必ず決められた用法用量を守り、依存性が形成されないよう、短期間の服用に留めることが大切です。
参考文献:ウィキペディア「睡眠薬」
GABA受容体作動薬と呼ばれる、脳の興奮を抑制するGABAという神経伝達物質の作用を促進することで不眠に対する効果を有するバルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では、強い副作用が生じることが知られています。
バルビツール酸系の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が世に出てくる前に広く使用されていました。しかし、作用量と致死量が近く、高用量では死に至る危険性が高いという重大な副作用があるため、ベンゾジアゼピン系睡眠薬に取って代わられました。
ベンゾジアゼピン系は短期間の服用であれば安全かつ有効ですが、鎮静作用と筋弛緩作用に関連して、眠気やふらつき、めまい、集中力の欠如、姿勢制御の欠如による転倒や傷害の副作用の発現が懸念されます。
また過量に服用すると記憶障害(一時的な記憶欠如)や、攻撃性や暴力・易刺激性といった奇異反応が生じることがあります。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系より副作用は軽減されています。ただし、高用量の服用で稀に幻覚や健忘といった副作用が発現し、統計的にはうつ病のリスクを増加させる可能性があり注意が必要です。
GABA受容体作動薬であり、脳の興奮抑制作用を有するGABAという神経伝達物質の作用を増強することで催眠効果を有するGABA受容体作動薬であるバルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では、薬に対する依存性が形成されることが知られています。
バルビツール酸系は耐性の形成スピードが速く、依存性も高くなります。
そのため離脱症状も発現しやすく、特に振戦せん妄が起きる割合が高い傾向があります。
ベンゾジアゼピン系も、筋弛緩作用、催眠作用、鎮静作用、抗てんかん作用に対して、比較的急速に耐性が形成されることがわかっています。
抗不安作用への耐性はゆっくり形成され、健忘作用に対する耐性は生じないといわれています。
耐性が形成された作用は離脱症状も多く発現し、不眠や震え、恐怖、筋けいれんなどが見られます。
非ベンゾジアゼピン系の耐性形成はベンゾジアゼピン系よりも総じて遅いですが、長期間の使用により耐性と依存性が生じることが知られています。
身体の平衡感覚や立位での安全性に対して耐性が生じ、機能障害に発展するケースがあります。
また数週間以上の服薬にて離脱症状の発現も懸念されています。
現在使用されている睡眠薬は主に次の4つの種類に分けられます。
種類 | ベンゾジアゼピン系 | 非ベンゾジアゼピン系 | メラトニン受容体作動薬 | オレキシン受容体拮抗薬 |
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特徴 | ・歴史が長く最も一般的な睡眠薬 ・効果が早く、幅広い睡眠障害に効果的 ・依存性や耐性が生じやすい |
・依存性や耐性が比較的低い ・悪夢や幻覚などの副作用が出る場合がある |
・依存性や耐性が低い ・自然な睡眠を誘導 ・効果が弱い場合がある |
・依存性や耐性が低い ・中途覚醒に効果的 ・入眠障害には不十分な場合がある |
主な商品 | トフィソパム | ハイプロン | ロゼレム | ベルソムラ |
有効成分 | トフィソパム | ザレプロン | ラメルテオン | スボレキサント |
価格 | 37円~/錠 | 40円/錠 | 441円/錠 | 267円~/錠 |
以前は抱水クロラールやバルビツール酸系の睡眠薬も用いられていましたが、致死性の副作用の発現や、耐性・依存性の問題が発覚し、現在ではほとんど使用されていません。
ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系も長期間服用すると耐性・依存性が懸念されますので、短期間の使用に留めるべきとされています。
その他、抗ヒスタミン薬や抗うつ剤、抗不安薬も不眠治療に有効な効果をもたらします。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は1960年代からよく用いられている睡眠薬です。
GABA受容体作動薬であり、脳の興奮を抑制するGABAという神経伝達物質の働きを促進することで、脳全体の活動を抑えて眠りに促す医薬品となります。
短期間の使用であれば安全かつ有効ですが、長期間服用すると耐性ができ依存性も高く、長期間使用した後に服薬を中断すると離脱症状が生じる傾向が強いとされています。
睡眠薬の効果が翌朝以降も継続することにより、ふらつきなどが懸念される持ち越し効果や、筋肉の緊張を緩め、ふらつきや転倒の危険性が増す筋弛緩作用、軽い記憶障害などの副作用への注意が必要です。
ただし、作用の持続時間が非常に短時間なものから長時間作用するものまでバリエーションが豊富であるため使いやすく、2016年現在で日本国内の睡眠薬の内、処方せん発行ベースで約65%の割合を占めています。
があげられます。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は1980年代に登場した睡眠薬であり、ベンゾジアゼピン系と同様、GABA受容体作動薬です。ベンゾジアゼピン系と化学構造は似ていないにもかかわらず、薬理学的作用が似通っているために、非ベンゾジアゼピン系という名がつけられています。
GABA受容体に作用し、脳の興奮を抑制する作用を持つ神経伝達物質であるGABAの働きを促進することで、脳全体を鎮静し催眠効果を発揮する医薬品となります。
ベンゾジアゼピン系と比較してGABA受容体のサブタイプにより選択的に作用するため、依存性や離脱症状の改善が図られている医薬品となります。
しかしながら、軽減されたとはいえゼロではないため、長期間の服用は推奨されていません。
ベンゾジアゼピン系に代わり良く使用されるようにはなりましたが、2016年現在の日本国内の睡眠薬の処方せん発行ベースを確認すると、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は睡眠薬全体の約30%でした。
未だ日本ではベンゾジアゼピン系(約60%)の方がよく利用されています。
これは作用時間が非常に短いタイプしか存在しないこと、また中等度以上の不眠症には効果が薄いこと、ベンゾジアゼピン系は耐性が強くでるため処方量が増大する傾向にあることが関連しているものと思われます。
ロゼレムは武田薬品工業株式会社が製造・販売しているラメルテオン錠です。有効成分のラメルテオンには体内時計を調整して睡眠のリズムを作り、慢性的な不眠状態を改善する作用があります。
メラトニン受容体作動薬とは、睡眠ホルモンであるメラトニンの作用を促進することで、不眠に対して効果を発揮する医薬品です。
メラトニンは体内時計や概日リズムに深く関わるホルモンであり、ほぼすべての生物が体内に保有しています。通常は夜に分泌され、体内時計を調整したり、体温を下げたりすることで、睡眠と覚醒のリズムを整える作用を有します。
より自然に近い生理的な睡眠を誘導でき、特に入眠障害を有する不眠症の方におすすめです。
ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比べて、忍容性が高く依存性もないことから、注目を浴びています。
ただし、催眠効果はベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系と比較すると弱いといわれています。
2010年より販売が開始されており、日本で販売されているメラトニン受容体作動薬はロゼレム(一般名:ラメルテオン)のみとなります。
2016年現在、日本国内の睡眠薬の内、処方せん発行ベースでロゼレムが占める割合は数%です。
日本では処方せん医薬品に指定されているため、医師の診断が必須となっていますが、イギリスやアメリカでは処方せんが不要の、単なるサプリメントとして販売されています。
メラトニンはアメリカのサプリメントにおけるトップブランド「ソースナチュラルズ」が販売しているサプリメントです。メラトニンは睡眠ホルモンの別名でも知られており、海外ではサプリメントとして流通しています。
ベルソムラは、MSD社が開発した不眠症改善薬です。視床下部の神経ペプチドのオレキシンが覚醒の調節に働くため、オレキシン受容体と結合して過剰になっている覚醒状態を穏やかにします。
オレキシン受容体拮抗薬とは、オレキシン受容体に作用することで、覚醒作用を有する神経伝達物質であるオレキシンが受容体に結合するのを拮抗的に阻害することで、脳を覚醒状態から睡眠状態に移行させ、睡眠効果を有する医薬品です。
オレキシンは視床下部のニューロンから産生され、脳内の覚醒において重要な働きをする神経核に密に投射されることで、これらの神経核を活性化させて覚醒を維持する働きを有しています。
オレキシン受容体拮抗薬は、オレキシンニューロンの神経支配下にある覚醒を促す働きを有する神経核に作用し、働きを抑制することで、睡眠効果を有します。
主に入眠障害や中途覚醒を有する不眠症の方に効果を示します。
オレキシン受容体拮抗薬は睡眠システムに働きかけるのではなく、覚醒システムに作用するという、これまでの睡眠薬とは全く作用機序が異なる、新しいタイプの睡眠薬です。
覚醒システムに作用するため、自然な睡眠を導くと考えられており、習慣性や依存性もベンゾジアゼピン系と比較して弱く、長期的に使用可能とされています。
2014年に発売が開始され、日本で現在販売されているオレキシン受容体拮抗薬はベルソムラ(一般名:スボレキサント)のみとなります。
過去に使用されていましたが、現在ではほぼ使用されていない睡眠薬としては、抱水クロラールやバルビツール酸系睡眠薬があげられます。
そもそも睡眠薬の始まりは抱水クロラールであり、1869年に不眠症治療薬として有効性が認められました。長期間服用することによる医薬品依存性、急に医薬品を減量したり中止したりするによる強い離脱作用がみられます。
また治療に使用される医薬品量(治療域)と毒性が発現する医薬品量(有毒域)が狭いこともあり、安全性に非常に懸念があることから、1910年頃にバルビツール酸系の睡眠薬が発売されると、ほとんど使用されなくなりました。
バルビツール酸系の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系と同様、脳内の興奮を抑制する作用があるGABAの作用を促進することで、睡眠効果を示します。
1920年代から1950年代まで、実質的に唯一の睡眠薬であったため、世界中で広く使用されました。しかしながら、治療域が狭いことから、過剰投与により死亡する副作用が発現し、また自殺企図の方法としても用いられるようになり、世間的に問題となりました。
1950年代には安全域の広い非バルビツール酸系の睡眠薬が発売され、その後1960年代に発売されたベンゾジアゼピン系睡眠薬に置き換えられていきました。
その他、不眠治療として有効な薬としては、抗ヒスタミン薬や抗うつ剤、抗不安薬などがあげられます。
抗ヒスタミン薬は、脳内の神経伝達物質であり、覚醒を促す作用のあるヒスタミンがヒスタミン受容体と結合するのをブロックすることで催眠鎮痛作用を示し、一時的に不眠症状を緩和する医薬品です。
一般用医薬品に指定されており、一般薬局やドラッグストアで購入が可能です。
抗うつ剤とは、うつ病の治療に用いられる医薬品です。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどの量を増加させ、不安や緊張を取り除いたり、気分の高揚をもたらしたりする作用があります。
セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの材料となるホルモンです。日中にセロトニンが多く分泌されると、夜間にメラトニンがよく分泌されるようになり、良質な睡眠がとれるようになるのです。
セロトニンとメラトニンの好循環は睡眠にとても重要な要素であり、セロトニンの分泌量を増やす抗うつ薬は、うつ病も併存する不眠症患者に高い効果が期待できます。
抗不安薬は精神病に対する治療薬であり、脳内の神経伝達物質であるドーパミンに作用します。
不眠時はドーパミンの活動異常が生じていることがわかってきており、実際入眠に要する時間や、覚醒時間を減らす作用が認められています。
参考文献:日経メディカル「メラトニン受容体作動薬」
GABA受容体作動薬である睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)は、その半減期(薬の成分の血中濃度が半減するまでの時間)により、4つに分類されます。
半減期は薬の成分の血中濃度が半減するまでの時間をあらわします。
超短時間作用型および短時間作用型は、半減期の短さから、翌朝に効果を持ち越さないのが特徴です。入眠障害を有する方に処方されることが多く、代表的な薬にはゾルピデムなどがあげられます。
中時間作用型および長時間作用型は、中途覚醒や早期覚醒を有する方に処方される傾向があり、代表的な薬にはニメタゼパムなどです。
超短時間作用型の睡眠薬とは、半減期(薬の成分の血中濃度が半分になる時間、薬の作用時間を示す)が約2~4時間の医薬品を指します。
半減期が非常に短いため、効果の持続時間も短く、翌朝にも薬効が残ることによるふらつきや転倒といった持ち越し効果が少ないというのが特徴です。入眠障害に悩まされている方によく処方されます。
また交代勤務やシフト勤務といった、日によって昼夜逆転の生活を送る方にもよく処方されます。どちらかというと慢性的な不眠ではなく、一過性の不眠に対し、特に寝つきの悪さが特徴的な軽度から中等度の不眠に対して処方される医薬品です。
薬効は約2~4時間程度で和らぎますので、目覚めを良くする作用も期待されます。
などがあげられます。
高齢者は持ち越し効果が強く出る傾向があり、転倒リスクが高いことから、超短時間作用型を第一選択薬とするケースが多いようです。
ハイプナイトは、コンサーンファーマが開発した不眠症治療薬で、ルネスタのジェネリック医薬品です。ルネスタと同じ有効成分のエスゾピクロンを配合しています。
短時間作用型の睡眠薬は、医薬品の成分の血中濃度が半減するのにかかる時間である半減期が約6~12時間程度である医薬品で、薬効は約6~12時間以上持続されます。
などがあげられます。
その他、非バルビツール酸系であるブロムワレリル尿素(商品名:ブロバリン)や、本来は抗不安薬ではありますがエチゾラム(商品名:デパス、エチカームなど)も短時間作用型の医薬品です。
基本的に適用となる疾患は超短時間作用型と同様であり、入眠障害を有する不眠症の方、夜勤のため昼夜逆転の生活を送る方などによく処方される傾向があります。
中途覚醒時間の減少作用があることもわかっており、軽い中途覚醒を有する方にも処方されます。
また、医薬品によっては全睡眠時間の延長も認められています。
不眠症の症状に広く適応し、かつ睡眠薬の効果が翌朝以降も持続してしまう持ち越し効果や、筋弛緩作用などは比較的緩やかであることから、一般的な不眠に対して第一選択薬になるケースが多いとされています。
中時間作用型の睡眠薬とは、薬効成分の体内血中濃度が半分に減少するためにかかる時間(半減期)が約12~24時間程度である医薬品で、医薬品の効果は約12~24時間以上持続されます。
途中で目が覚めてしまった後眠れない、もしくは何回も目が覚めてしまう中途覚醒や、予定起床時間よりも数時間も早く目覚めてしまう早期覚醒にお悩みの方によく処方される傾向があります。
などがあります。
フルニトラゼパムは米国などでは持ち込みが禁止されています。
またニトラゼパムはてんかんの治療薬や麻酔前の投与薬として使用される場合もあります。
その他、現在ではほとんど使用されてはいませんが、バルビツール酸系であるアモバルビタール(商品名:イソミタール)や、抱水クロラール系である抱水クロラール(商品名:エスクレ)なども中時間作用型に分類されます。
超短時間作用型や短時間作用型では朝方まで眠りが持続できなかった方が、睡眠薬の切り替えとして第一に検討する医薬品です。
長時間作用型の睡眠薬とは、医薬品の有効成分の血中濃度が半減するのにかかる時間である半減期が、約24時間以上と、長時間作用が持続する睡眠薬を指します。
などがあげられます。
また現在はほとんど使用されてはいませんが、バルビツール酸系の睡眠薬であるフェノバルビタール(商品名:フェノバール)も、長時間作用型の睡眠薬に分類されます。
夜中に何度も目が覚めてしまう、もしくは覚醒後眠れない、予定起床時間よりも2時間以上早く目覚めてしまうといった中途覚醒や早期覚醒の症状を有する方に処方される傾向があります。
長く効果が持続しますので、睡眠薬の作用が翌朝になっても持続してしまう現象である持ち越し効果が出やすくなります。そのため持ち越し効果が強くでやすい高齢者の方にはおすすめできません。
持ち越し効果はふらつきや脱力などが発現し、高齢者の方は転倒する危険性が高まることが懸念されるためです。
参考文献:J-STAGE「眠薬の特徴と注意点」(PDFが開きます)
睡眠薬は用法用量を守り、正しく服用すれば効果を期待できる医薬品なのですが、現状は効き目が悪いとして過量摂取する例が後を絶たず、朝になっても睡眠薬の効果が持続してしまったり、耐性や依存性が形成されてしまったりします。
また医薬品を急激に中止すると離脱症状といい、医薬品服用前の不眠の状態よりもさらに悪化した不眠状態に陥ることがあります。
睡眠薬とアルコールは併用厳禁であるにもかかわらず、不眠症の方はアルコールを断ち切れない方も多く、睡眠薬の効果が強く現れてしまうことがあります。
必ず決められた用法用量を遵守し、アルコールを併用せず、無断で急激に医薬品を減量したり中止したりしないことが大切です。
睡眠薬の用法・用法は必ず厳守するようにしてください。
効き目が悪いとして過量に服用するケースが後を絶ちませんが、非常に危険です。
どの薬にも副作用はあるものですが、睡眠薬を過量に服用すると、持ち越し効果という睡眠薬の効果が翌朝以降も継続してしまう現象が発現しやすくなります。結果、眠気やふらつき、頭痛などの症状をともない、高齢者の場合は転倒のリスク増加に繋がるでしょう。
過量服用すると、ある一定期間の自身の行動を全く覚えていないという記憶障害の発生リスクが増加いたします。
睡眠薬の筋弛緩作用が増強され、特に高齢者では立ち上がる際に力が入らなくなり転倒するリスクや、奇異反応という上機嫌で抑制を欠いた行動等が発現するリスクも高まることが知られています。
基本的に睡眠薬は短期間の服用を前提とし、症状が改善するにつれ、用量を漸減し、断薬を目指します。
それは長期服用すると耐性や依存性が形成されてしまうからです。
耐性が形成されると、医薬品が効きにくくなり、大量処方に繋がります。依存性が形成されると、医薬品をやめられなくなる他、用量を減量または中止した際には、離脱症状が現れる可能性が高くなります。
睡眠薬とお酒を一緒に服用してはいけません。
お酒に含まれるアルコールは肝臓で代謝されますので、睡眠薬の代謝と競合し、睡眠薬の代謝が阻害されることで、睡眠薬の効果が増強される可能性が示唆されています。
アルコールも睡眠薬もどちらも中枢神経系抑制作用を有することから、作用の増強も懸念され、症状としては精神機能の低下、知覚機能(記憶力)の低下、運動機能の低下(ふらつき、転倒)などが起こるとされています。
アルコールは脳内のGABA受容体に作用しますので、睡眠薬の中でも特にGABA受容体作動薬であるバルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とアルコールの併用においては、より慎重な対応が求められます。
ひどい場合は命を落とすケースも考えられ、実際に過去アルコールとベンゾジアゼピン系の睡眠薬の服用による死亡例が発生しています。
その他、アルコールと睡眠薬を併用すると不安や焦燥の症状の発現、怯えのような反応の発現、攻撃的になるなどの副作用の増強が確認されています。
アルコールには入眠作用があると考え、併用する人が後を絶ちませんが、アルコールは逆に不眠症を増悪させますので、一緒には摂取しないようにしてください。
睡眠薬の正しい使用方法は、以下の通りです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
睡眠薬は、正しい時間に服用しましょう。
睡眠薬の種類や作用時間にもよりますが、一般的に就寝予定時刻の30分から1時間前が望ましいです。
また、次の日の予定にも注意を払い、十分な睡眠時間を確保する必要があります。薬の効果が切れる前に目が覚めると、日中に眠気やだるさを感じる場合があり、これを防ぐためにも正しい時間帯の服用が必要です。
睡眠薬の服用は、毎日同じ時間に行うと効果的であり、体内時計を整えることにもつながります。
睡眠薬を服用した後は、なるべく速やかにベッドに入ることをおすすめします。
睡眠薬は速やかに効果を発揮するように設計されており、服用と同時に横になるとその効果を最大限に引き出しやすいです。
部屋を暗くし、静かな環境を整えることも良い眠りにつながります。立ったままや、雑務に追われたまま時間を過ごすと、薬の効果が発揮される前に不用意な行動を取るリスクがあります。最悪の場合は、転倒や事故につながるでしょう。
睡眠薬を服用した後は、自分の安全を確保するためにも、速やかに横になることが大変重要です。
どんな医薬品にも副作用が存在するように、睡眠薬にも副作用が存在します。
睡眠薬の副作用が世間的に注目を集めているのは、睡眠薬は他の医薬品と比較して過量服用されやすい傾向にあるためと考えられます。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳内のGABAと呼ばれる神経伝達物質に作用し、脳全体の活性を抑制することで、睡眠リズムを自然な状態から異なる形にしてしまうことから、副作用が出やすい医薬品でした。
主な副作用には、記憶障害や筋弛緩作用、奇異反応、他害行為、依存症および離脱症状などがあげられます。
最近は開発が進み、より自然に近い睡眠リズムを睡眠薬で整えられるようになりましたので、正しい用法用量で服用すれば、副作用をそれほど気にする必要はないと考えられます。
睡眠薬の主な副作用の1つに記憶障害があげられます。
一時的に記憶が途切れたり、自身がおこなった行動を忘れてしまったりします。
服用後の夜中にみられるケースが多く、夜中におこなった自分の行動を、翌朝になると全く覚えていないのです。
記憶障害は短時間作用型の睡眠薬を過量に摂取したり、睡眠薬とアルコールを一緒に服薬したりした場合に起こりやすい傾向があります。
ただし、睡眠薬の成分が代謝され、身体から排泄されれば、記憶は正常に戻ります。そのため、あくまで一過性ではあるものの、周囲の人が非常に心配してしまう副作用の1つです。
対策として睡眠薬を服用したらすぐ横になると、ある程度発現を抑えられるようです。
睡眠薬の主な副作用の1つに筋弛緩作用があげられます。筋弛緩作用は元々睡眠薬の作用の1つです。筋肉の緊張をほぐすことで身体をリラックスさせて、睡眠を促すのです。
副作用としての筋弛緩作用は、その作用が強く出てしまい、身体に力が入りづらくなり、ふらつきや転倒の原因になります。また悪化すると立ち上がることなどができなくなるという報告もあります。
骨折に繋がる危険性もありますので、注意が必要です。
長時間作用型の睡眠薬を服用した際に発現しやすく、また身体の代謝機能が衰えている高齢者によく発現する傾向があります。
睡眠薬の主な副作用の1つに奇異反応があげられます。
奇異反応とは、いきなり上機嫌になったり、ちょっとしたことで興奮状態になったり、はしゃいだりなどの抑制を欠いた行動を取ったり、普段と異なる攻撃的な行動を取ったりなど、本来予想されるはずの作用とは逆の反応が発現してしまう状態を指します。
深刻なケースでは、飛び降りや、首にひもを巻き付けるなどの自殺企図も報告されています。
バルビツール酸系およびベンゾジアゼピン系の睡眠薬で顕著にみられる傾向があり、不安の増加、攻撃性の増加、衝動の制御不能、精神錯乱、暴力行為、痙攣などが報告されています。
高用量ほどよく発現する傾向があるようです。
睡眠薬の主な副作用の1つに他害行為(他人を害する行為)があげられます。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が有害事象報告システムであるARESのデータを解析した結果を2010年に発表しており、短時間作用型の睡眠薬にて他害行為の発現率が高い傾向が認められました。
傷害や殺人などの他害行為のリスクは、ベンゾジアゼピン系であるトリアゾラム(商品名:ハルシオン)で8.7倍、非ベンゾジアゼピン系であるゾルピデム(商品名:マイスリー)で6.7倍、エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)で4.9倍に増加することを示されました。
このほかにも、ベンゾジアゼピン系のジアゼパム(商品名:セルシン)で3.1倍、アルプラゾラム(商品名:ソラナックス)で3.0倍、クロナゼパム(商品名:リボトリール)で2.8倍のリスク増加が認められています。
睡眠薬の主な副作用の1つに依存症があげられます。
依存症とは、睡眠薬を長期間服用することにより、耐性が形成され、同様の摂取量では効果が期待できなくなり、より多くの用量を精神的にも身体的にも求めるようになる状態をいいます。
バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に多くみられる傾向があります。
バルビツール酸系の依存症は、精神的依存がすみやかに形成され、また身体的依存も続いて形成されます。医薬品自体が乱用の可能性が高い医薬品です。
ベンゾジアゼピン依存症は、耐性が形成されるとこれまでの用量では薬効が期待できず、不快な状態を回避するために服用を長期化することで発症します。正しい用量を服用していたとしても長期間服用することで依存症が形成されますので、注意が必要です。
睡眠薬の主な副作用の1つに離脱症状があげられます。
医薬品の用量を急激に減らしたり中止したりすることで、医薬品を服薬する前の不眠症よりも状態の悪い不眠症が発現したり、不安や興奮、抑うつといった不快な症状が発現してしまう状態です。
バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に見られます。
ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の離脱症状で最も頻発するのは不安症状です。睡眠障害や易刺激性、パニック発作、発汗、手の震え、記憶障害、動悸などの不快な症状が発現します。
発症する症状は比較的重篤なものが多く、改善には数週間を要するのが一般的です。
睡眠薬を使用しているときに起こりえる副作用の1つに、反跳性不眠があります。
睡眠薬の使用を中止した後に、それまでの睡眠状態が一時的に悪化するという現象です。この状態は、身体が医薬品に慣れてしまい、医薬品がないと正常な睡眠を取れなくなってしまうために起こります。
反跳性不眠は、睡眠薬を長期間使用している場合や高用量で使用していた場合に見られます。短期間の使用であっても、個人差によって反跳性不眠のリスクはあるでしょう。
睡眠薬の使用を考えた際は、最も適切な使用方法を見極めることが大切です。さらに、睡眠環境の改善やストレス管理、睡眠衛生の実践など、医薬品に頼らない方法でも不眠症の改善に取り組むのがおすすめです。
睡眠薬の代わりになる薬は、以下の通りです。
オリザは、インタスファーマ社が開発した非定型抗精神病薬で、ジプレキサのジェネリック医薬品です。脳内の多数の神経物質受容体に対して作用し、陰性反応の自閉症・無関心・意欲の減退と陽性反応の妄想・幻覚・思考障害を改善します。
抗精神病薬は、精神疾患の治療に用いられる薬の一種で、睡眠薬への代替として用いられる場合があります。
抗精神病薬は、主に精神の症状を和らげる効果を持っていますが、副作用として眠気をもたらすことがあるため、不眠治療にも応用されるのです。
特に、統合失調症や躁鬱病などの疾患を抱える患者さんに処方されることが多いものの、医師の厳しい監視のもとで不眠にも使用されます。抗精神病薬は眠くなる作用が強い場合があるため、患者さんの症状やライフスタイルに合わせた適切な種類と量が選定されることが大切です。
抗うつ剤は名前の通り、うつ病の治療に使われる医薬品ですが、これもまた不眠治療の補助として使われる場合があります。
特定の種類の抗うつ剤には、睡眠の質を改善する作用が確認されており、睡眠をもたらすために低用量で処方される場合があります。
トリシクリック系抗うつ剤はその一例で、睡眠導入に利用されることもあるでしょう。しかし、こちらも副作用のリスクがあるので、自己判断での使用は避け、医師の指導のもとで適切に使用しなければなりません。
睡眠薬の多くは 国際的に規制されています。
1971年に公布された抗精神病薬に関する条約により、バルビツール酸系およびベンゾジアゼピン系睡眠薬の多くは、乱用の危険性ありとして、国際的に流通が制限されています。
日本で睡眠薬は「麻薬および向精神取締法」という法律で規制されています。
しかし、日本は患者の負担が3割に抑えられていたり、睡眠薬の薬価は諸外国と比較して低く設定されていたりするため、諸外国と比較しベンゾジアゼピン系の処方量が多くなっています。。
それを受けて、各種学会や、厚生労働省からベンゾジアゼピン系睡眠薬の適正使用について注意喚起が出されています。
アメリカでは規制物質法という薬物の製造、輸入、所有、流通を規制する法律にて規制しており、フルニトラゼパムは、州によりますが医師の証明書があっても持ち込み不可とされています。
ベンゾジアゼピン系や、非ベンゾジアゼピン系の酒石酸ゾルピデム、長時間作用するベルビツレート系睡眠薬は乱用や依存の可能性ありとして処方数が制限されるなど監視の対象となっています。
またヨーロッパ各国でも4週以上の処方は許可されていないのが一般的です。
参考文献:厚生労働省「病院・診療所における抗精神病薬取扱いの手引」(PDFが開きます)
医薬品の種類により購入方法が異なります。
睡眠薬はその効果が高く、保険適用となる医薬品なのですが、購入するためには、医師の診断、医師による処方せん発行、医薬品師による調剤が必須です。
一方睡眠改善薬は、睡眠薬と比べてその効果はマイルドであり、一時的な不眠症の改善に使用され、一般薬局やドラッグストアで購入することが可能です。
また海外の医薬品は、個人目的の使用であり、数量は一定数量までに限られ、またその使用は個人の責任とはなりますが、インターネットを介して個人輸入することが可能です。
不眠症治療のために医師が処方する睡眠薬をご希望の場合は、まず医療機関を受診し、不眠症の診断を受けてください。
医師が身体の状態を確かめ、不眠症であり睡眠薬による治療が適切と判断した場合、処方せんが発行されます。その処方せんを調剤薬局に提出することにより、医薬品師が医師の処方せんに基づき調剤してくれ、医薬品師による睡眠薬の説明を聞いた後に入手することが可能となります。
非常に入手までに通るプロセスが多いですが、これは睡眠薬が処方せん医薬品(別名、医療用医薬品)という、医薬品の効果が非常に高く、副作用の発現も懸念され、使用にあたり注意が必要な医薬品であると厚生労働省より指定されているからです。
一般消費者が使用するためには、医師の診断かつ医薬品師の説明が必須であるとされているため、一般薬局やドラッグストア、Amazonや楽天などの一般的な通販サイトでは取扱われていません。
睡眠薬は短期間の服用では非常に不眠症に有効ですが、長期間の服用となると、耐性や依存性の問題が生じてきます。また医薬品の服用量を急に減らしたり、また中止したりすると離脱症状も懸念されます。
そのため、必ず医師が身体の状態を確かめつつ、都度医薬品の調整をおこなっていく必要がありますので、必ず医師の指示に従って服用してください。
不眠症状の治療薬として、睡眠改善薬という薬は市販薬として日本国内にて販売されています。
睡眠薬とは医薬品の有効成分から違い、主としては抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンなどを主成分としています。
市販されている睡眠改善薬は、「不眠症」の治療薬ではなく、眠りが浅い、寝つきが悪いといった「一時的な不眠症状」の治療薬となります。医師から処方される睡眠薬に比べ、その効果は弱く、ゆるやかに眠りにつけるように誘導します。
病院に行くほどでもなく、また慢性的な症状ではなくあくまで一時的な症状改善に使用される医薬品となります。
一般薬局で取り扱われる医薬品はOTC医薬品といわれており、要指導医薬品と一般用医薬品に分類されます。
睡眠改善薬のほとんどは一般用医薬品の内の第二類医薬品という、薬の組み合わせや副作用などの安全性に注意が必要なものの、患者さんへの説明は努力義務に抑えられ、また医薬品師のほか、登録販売者も販売できる医薬品ですので、比較的容易に入手することが可能です。
またネットでの販売も認められています。
慢性的な不眠症に悩まれておられるものの、医療機関の受診を躊躇われる方、もしくは一時的な不眠症状を改善したいものの店頭での購入は嫌だと思われる方は、通販を活用されるといいでしょう。
不眠症の医薬品を通販で購入したい方は、日本国内で承認が取得されている治療薬ではなく、海外市場にて販売されている治療薬を個人輸入するという方法があります。
日本国内では、不眠症治療薬は処方せん医薬品に指定されており、医師の診断に基づき発行される処方せんを調剤薬局に提出することで初めて入手することが可能です。
そのため、日本国内にて代表的な通販サイトであるAmazonや楽天では取り扱っていません。
一方、海外市場で販売されている不眠症治療薬は、 個人利用目的かつ一定数量までであれば、厚生労働省に事前に通知しなくても、海外から輸入可能であることが薬機法で示されています。
医師の診察および処方せんは不要です。個人輸入代行業者を介し、代行業者が提供する通販サイトから購入してください。
また一時的な不眠症状への治療薬である睡眠改善薬も同様に海外から個人輸入してもいいですし、国内においてもインターネットにて購入可能です。