アルコール依存症とは、大量のお酒を長期間に渡り飲み続けることによって、アルコールの摂取による精神的や肉体的な作用に強くとらわれる精神障害で、アルコールなしではいられない状態になってしまう薬物依存症です。
始めは単なる習慣として飲酒していたのが、気つけば飲酒しないと気分が落ち着かなくなります。
徐々に飲酒量が増え、お酒が切れるとイライラしたり冷や汗をかいたりという精神的肉体的症状が出始め、アルコールから離れられなくなります。
誰でもかかる可能性のある病気で、日本の患者数は230万人程度といわれています。
アルコール依存症の診断基準として、WHO(世界保健機関)の診断基準である「ICD-10」によりガイドラインが定められています。
これらの特徴を有する人がアルコール依存症と診断されます。
その他、アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)でもアルコール依存症の診断基準が作成されており、こちらは主に研究用の診断基準として用いられています。
アルコール依存症の診断基準の1つに、飲酒に対する強い欲望と脅迫感があります。
たとえば、就業前になると常に飲みに行くことを考える、自宅にはお酒を常備しておかないと落ち着かない、他のことのためなら外出は面倒と思える状況でも、お酒のためなら外出するのを厭わないなどがあげられます。
ひどくなると、飲酒しなければと調子が出ないと感じる、そのために勤務中や医者に止められているにもかかわらず飲酒を続けるという連続飲酒発作が起こります。
会社員においては、業務時間中にトイレや会議室などで隠れて飲酒するといった例が報告されています。
さらに症状が悪化すると、数時間ごとに飲酒し、身体の限界まで飲酒する連続飲酒と呼ばれる状態になります。
そして限界まで飲酒し、身体がアルコールを受け入れなくなると断酒し、回復すると再び飲酒を始めるというパターンを繰り返す「山型飲酒サイクル」に移行する場合があります。
目が覚めている間は常に飲酒のことを考え、お酒を飲むべき環境ではないとわかっているのにアルコールをやめられない、また常に手元にお酒がないと落ち着かなく、アルコールへの精神的依存が見られる状態です。
飲酒量のコントロールができない症状は、アルコール依存症の診断基準に抵触します。例えば、次の項目にあてはまる場合、アルコール依存症の疑いがあります。
このように、アルコールの飲酒量をコントロールできないほどの飲酒願望を「飲酒渇望」といいます。
飲酒渇望とは飲んではいけないと理解していても、お酒を飲みたい気持ちを抑えられない飲酒欲求です。
少しでもお酒を口にしてしまうと、アルコールの摂取に関しては自分の意思は働かなくなり、ほどよい量で飲酒をやめるということはできなくなっています。
アルコール依存症の離脱症状とは、常にアルコールが体内にある状態が普通となり、アルコールによる脳の神経抑制が通常状態となってしまっているために、アルコールが体内から抜けていく過程において生じる、神経の興奮状態により起こる不快な症状のことです。
離脱症状には早期離脱症状と後期離脱症状があり、早期離脱症状は飲酒をやめ数時間で下記のような症状が発現します。
後期離脱症状は飲酒をやめ2~3日で下記のような症状が発現します。
離脱症状の継続は個人差がありますが、早期離脱症状は2日ほど、後期離脱症状は5日ほど持続するのが一般的です。
離脱症状は禁酒のみならず、飲酒量を減らした際にも発現します。
離脱症状を避けるためにさらにアルコールを求めるようになるのがアルコール依存症の診断ポイントの1つです。
耐性ができた証拠がある場合も、アルコール依存症の診断に影響します。
当初は少量のアルコールで満足できていたのに、かつて酔っていたアルコール量では全く酔わなくなり、アルコールの飲酒量がどんどんと増えていってしまいます。
この状態を「耐性」ができたといいます。
アルコール依存症の患者は耐性ができることにより、通常であればとても飲めない量のアルコールを平気で飲む場合があります。
まず適正な飲酒量というのを頭に入れておく必要があります。日本では多量飲酒の基準として「1日の平均飲酒量が6ドリンクを超える」と定義しています。
6ドリンクとは、ビールなら1500ml、日本酒なら540ml、ワインならグラス6杯程度、焼酎(25度)なら300ml程度を指します。
1日の平均飲酒量が6ドリンクを超えるとアルコール依存症になる危険性が増加するといわれています。
健康な生活を送るための1日の平均飲酒量は
といわれています。
酔いからの回復に要する時間が延びつつあることも、アルコール依存症の診断基準の1つとなります。
これは当然のことながら、いつまでも酔っ払った状態でいると、職場や家庭における人間関係の悪化をもたらします。
また、依存する傾向にある方の特徴として、飲酒以外の興味や楽しみを次第に無視するようになってきます。
すべてにおいてアルコールを第一に考えるようになるのです。などの症状が発現することが報告されています。
日本はアルコールに比較的寛容な国です。
週末2日間にわたって飲酒を続けても、仕事始めの月曜日に引きずらなければ、社会的には許容されます。
もちろん家庭的に許容されるかどうか各家庭によりますのでご注意ください。
家族を無視しての飲酒は家庭崩壊の危機です。
月曜の朝になってもアルコールが持ち越される場合は、許容範囲を逸脱していますので、まずここで自分にブレーキをかけることが大切です。
許容量を超えたアルコール摂取により有害な結果が起きていることが明らかであるにもかかわらず、以前としてアルコールの摂取を継続してしまう状態を指します。
特に家族や周囲の人の忠告や説得には耳を貸さない傾向があります。
これは、アルコールによって、自分に都合よく考えるようになり反省しないためと考えられています。
自分でも薄々わかってはいるものの、飲酒の快感を追い求め、自分は依存症ではないと勝手に納得し、自分の殻に閉じこもるようになります。
参考文献:厚生労働省「アルコール健康障害対策」
アルコール依存症の原因になりうる理由は人それぞれです。
何かお酒に逃げたいと思う状態があり、お酒に手を出してしまうというケースもあれば、特別な原因は特になかったというケースもあります。
特別な原因がある場合は、何かしたらストレスや虚しさ、コンプレックス、人間関係の問題など現状に不満があり、その状態を一時的にでも解消したいとお酒に走ってしまうようです。
特別な原因がない場合は、迎え酒が理由となっている人が多いというデータがあります。
二日酔いをさらにお酒で押さえていくという迎え酒で対応している内に、徐々に依存症に移行していくというケースです。
ストレスに対応しようとして、アルコールに手を出し、依存してしまうケースが多く報告されています。
などのストレスがあり、そのストレスを一時的であろうとも忘れたく、アルコールに走ってしまいます。
一時の開放感を求め、毎日アルコールを摂取するようになり、気づけばアルコールの摂取量が増え、耐性ができ、アルコール依存症になっていたというケースが多いようです。
気分転換やリラックスを求め、アルコールに手を出し、依存してしまうケースが多く報告されています。趣味がない人や、趣味はあってももはやおこなう気力や時間の無い人が陥りやすい傾向があります。
仕事だけに生きていたサラリーマンが退職すると、趣味がないため、日中の時間を持て余し、特にすることがないため昼から飲み始めるといった生活を送り出し、依存症になる方も数多く報告されています。
アルコールによる気持ちの良い酔いによる快感を追い求め、依存症になるケースが多く報告されています。
もちろん気持ちよく酔えている内は何ら問題ありません。それにアルコールは麻薬と違い合法であるため、ハードルが低くなります。
しかしながら、その快感を追い求めすぎてしまい、毎日飲酒するようになると結果的に飲酒量が増えます。
すると耐性が形成されてしまい、以前のアルコール飲酒量では、酔わなくなり快感が得られなくなります。
快感を追い求め、アルコール摂取量を増やしてしまうことになり、気づいたらいつの間にか依存症になっていたというパターンが多いようです。
人とのつながりを求めアルコールに走る例も少なくありません。
アルコールは「飲みコミュニケーション」という言葉もあるように、人間関係を円滑にしてくれる手助けとなります。
飲むことで相手方の本音を聞き出せるという一面もあります。
しかしながら、あくまで許容量の範囲内で気持ちよく飲むことを前提としていることを忘れないでください。
またお酒の席はにぎやかであり、誰かと飲むことで、自分は一人ではないと自分にいい聞かせること、またある程度は人とのつながりを確保できることが、アルコールに依存するきっかけとなるようです。
何か自分にコンプレックスがあり、お酒の力を借りることでそのコンプレックスを解消できる、もしくは和らげる場合、常にお酒の力を借りるようになると依存症に発展することがあります。
このように自分のコンプレックスを解消するメリットを感じた場合に、お酒を常用するようになってしまった、お酒にはまっていってしまったなどのケースが報告されています。
現実逃避の手段としてアルコールに手を出す例が数多く報告されています。
など、現実から逃げてしまいたい気持ちから、アルコールに手を出してしまい、記憶がなくなるまで飲んでしまうといったケースです。
アルコールを飲んでも現実は変わらず、現実逃避するために連続して飲酒するようになり、依存症に発展することはけして少なくはありません。
不眠やうつ状態の対処としてアルコールに手を出す例が数多く報告されています。
アルコールは入眠作用がありますが、不眠症を解消する手段にはなりません。
入眠のためにアルコールを利用していると、アルコールの覚醒作用で何度も目を覚ましてしまうことになり、余計に不眠が悪化いたします。
またアルコールによる排泄によっても目を覚ましてしまうこととなります。
またうつ状態も、アルコールによる酔いで一時的にうつ状態を紛らわせているだけなので、かえってうつ病の症状の悪化につながります。
結果としてアルコールにより一時的に状態を紛らわすことを繰り返すことで、アルコール依存になり、不眠やうつ状態も悪化してしまうこととなります。
参考文献:ウィキペディア「アルコール依存症」
アルコール依存症は急に発症するものではありません。
継続して大量の飲酒をおこなうことにより、いつしか飲酒が習慣化して、精神的に依存するようになり、身体的に依存するようになり、アルコールから逃れられなくなるといったように、徐々に進行していく病気です。
お酒を大量に飲む方は、常にアルコール依存症になるかならないかの境界線におられるものと推測されます。この境界線を超えないことが大切です。
境界線を越えると、アルコールへの精神依存が、身体依存へと進行し、アルコールなしでは生活できなくなります。
アルコール依存症は回復可能な病気ですが、その治療は早ければ早いほど、回復も容易であることがわかっていますので、早期治療が肝心です。
アルコール依存症のスタートは、習慣飲酒が始まることにあります。
機会があるごとに飲むようになり、飲まない日はなくなります。
気分の高揚を求めて飲酒するケースが多く、大量の飲酒によりアルコールに対する耐性が形成されると、それまでの飲酒量では酔えなくなります。
そのため、徐々に飲酒量が増えていき、ほろ酔い気分では満足できなくなり、ひどく酔う場面が頻発するようになります。
お酒がなければ物足りなく感じる、またはリラックスできないといった精神依存が形成され、何かあればお酒に手を出すようになります。
またひどくなってくると、記憶の欠落(ブラックアウト)が起こったり、日常生活で飲む機会を何よりも優先したりするようになります。
アルコール依存症の初期症状として、身体依存が形成されます。
お酒が体内から切れてくると、身体的な症状である悪寒や不眠、下痢、微熱、寝汗といった軽い症状が出始めてきます。
しかしこの段階では、この症状がアルコール依存症によるものだと気付く人は少なく、軽い体調不良か風邪だと誤認識されるケースが多くあります。
飲酒する時間が待ち遠しくなり、それまでの時間は落ち着かなくなったり、イライラしたりします。家族がその異常を認知し始め、お酒の量を控えるように本人に忠告するのもこの時期です。
ひどくなると、お酒が原因による遅刻や欠勤、ケアレスミスや誤った判断、またふらつきによる転倒などによる怪我、アルコール誘因性の疾患などの目に見える問題が発生するようになり、本人も節酒を一度は試してみる時期です。
アルコール依存症の中期症状としては、トラブルが表面化してきます。
お酒が体内から切れてくると、軽い手の震えや恐怖感が出てくるようになります。
特に夜に飲酒して、朝起床時にその症状が出てくるのが一般的です。
そしてその症状を抑えようと、さらに飲酒する迎え酒を始めるようになります。
この時期には、お酒が原因による遅刻や欠勤、ケアレスミスや誤った判断、アルコール誘因性の疾患、ふらつきによる転倒などによる怪我、飲酒運転の検挙などの目に見える問題が常態下してきます。
自分が飲酒しなければならない状況に後ろめたさを感じており、隠れて飲んだり、嘘をついて飲んだ事実を公にしないようにしたりします。
家族とのトラブルが多くなるのもこの時期です。また職場でも上司からの注意や警告が始まる時期でもあります。
アルコール依存症の後期症状としては、人生の破綻がやってきます。
自分がアルコールに頼らなければならない異常を認知しており、飲酒量をコントロールしようとしますが、すでに精神的にも身体的にも依存してしまっているため、うまくいきません。
お酒が体内から切れてくると、強い不安やうつ状態に襲われるため、お酒を切らすことはできなくなる連続飲酒発作が見られるようになります。
終始お酒を摂取するようになり、まともな食事をとらなくなります。
お酒が原因のよる肝疾患などの病気も悪化していきます。
日常生活や仕事をこなすことが困難になってきます。
この時期になると、家族や社会からの信用は失われ、最悪な場合は死に至るケースもあります。
アルコール依存症の治療は、基本的にアルコールを体内から除去、つまり断酒するという作業になります。
アルコールには依存性があり、アルコール依存症の方は離脱症状が顕著に出ます。
本人の意思ではコントロールができませんので、日本では基本的に患者に入院してもらい、アルコールから隔離し、かつ他の人の監視下におき、離脱症状に対処していくことが治療の主体です。
また本人に飲酒による現在の問題を認識させ、本人の意思を断酒に向かせるという心理的な療法が併用されることもあります。
治療には数年かかり、一般的には3年断酒できると、その後安定した生活を送ることが可能となります。
アルコール依存症の患者は、お酒を飲みたいという欲求を自ら抑えられない精神依存と、お酒が切れると手足の震えなどの離脱症状があらわれる身体依存に陥っています。
そのため日本では基本的に入院治療にて、断酒を行います。
解毒治療中は離脱症状が必ず現れるからです。
ひどい患者は「振戦せん妄」という意識障害を起こすケースもあります。
病態に応じて補液したり、各種症状に応じた薬剤(うつ状態には抗うつ剤、幻覚には抗不安薬、不眠には睡眠薬など)を投与したりなどして治療をおこないます。
また肝臓に重い障害がある場合もこの時期に治療を開始します。およそ3週間で離脱症状が治まってくるのが一般的です。
解毒治療で心身の状態が安定した後は、リハビリ治療へと移行します。
リハビリ治療では、個人精神療法や集団精神療法などが実施され、患者本人が断酒する意欲の継続を支えます。
個人精神療法とは、飲酒に対する考え方に加えて、幼少時代や家族のこと、経済的なことなど個人的な内容の相談に乗ることで、解決策を共に探っていく療法です。
集団精神療法は、数名の患者さんが医師らの監視の下、飲酒および断酒に関するさまざまなテーマを話し合うことで、回復について考えていくという療法です。
またこの時期には酒害教育という、飲酒問題の現実を認識し、飲酒による害についての知識を習得することで、断酒への決断を強固なものとし、再発を予防する治療も実施されます。
アルコール依存症の治療には、抗酒剤や、飲酒欲求を抑える治療薬が投与される場合があります。
一般的に投薬治療はリハビリ治療と併用しておこなうことが推奨されています。
抗酒剤はアルコール依存症が再発することを予防する対策の1つとして補助的に使用される薬剤です。
肝臓のアルコール分解機能を一時的に低下させることで、お酒に弱い体質を作り上げ、飲酒量を減らします。抗酒剤は、断酒を実行し続けるための三本柱の1つです。
ちなみに残りの三本柱は通院治療と自助グループ(同じアルコール依存症の人との交流)への参加です。
その他、脳内の神経伝達物質に直接作用し、飲酒欲求自体の抑制を促す薬も投与される場合があります。
抗酒剤 | アルコール依存症治療薬 | オピオイド受容体拮抗薬 | |
---|---|---|---|
主な薬剤 | シアナミド、ジスルフィラム | レグテクト | ナルトレキソン、ナルメフェン |
アルコール依存症に有効な治療薬には、抗酒剤とアルコール依存症治療薬という2種の薬剤が一般的に知られています。
抗酒剤は、アルコールが体内で分解される過程でできる有害物質であるアセトアルデヒドの解毒を阻害することで、身体がこれ以上のアルコールを受け付けることを拒否させるようにして、飲酒量を減らす薬剤です。
アルコール依存症治療薬には、脳内の神経伝達物質に作用することで、飲酒の欲求自体を軽減する薬剤などが含まれます。
いずれも精神治療や自助グループへの参加などのリハビリ治療との併用が望ましいとされています。
クロノルは、ポンズ社が開発した抗酒癖薬で、ノックビンのジェネリック医薬品です。大量の飲酒を続けないと精神的や肉体的に自分が保てなくなるアルコール依存症で、アルコールは体内に吸収されるとアセトアルデヒドを経てアルデヒド脱水素酵素により酢酸へと分解されていきます。
抗酒剤とは、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセトアルデヒド脱水素酵素、ALDH)の働きを阻害する医薬品です。
アルコールが体内に入ると肝臓にて、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きによりアセトアルデヒドという有害な物質に分解されます。
そしてアセトアルデヒドはALDHの働きにより無害な酢酸へと分解されるのです。
抗酒剤は、ALDHの働きを阻害しますので、アルコールを服用すると有害な物質であるアセトアルデヒドの体内濃度が上昇することとなります。
アセトアルデヒドは二日酔いに代表される不快な症状を引き起こします。つまり抗酒剤を服用すると、お酒に弱い状態が作られることとなり、結果として飲酒量が減少します。
抗酒剤を服用することで、お酒に弱い状態になったと自覚することが、飲酒欲求の減少に繋がるともいわれています。
代表的な薬剤には
などがあげられます。
ただし飲酒欲求自体を抑えるわけではありません。
また飲酒のコントロールを改善する作用はありません。
そのため、基本的には精神療法や自助グループへの参加などの活動と合わせて総合的に断酒をサポートしていくことが大切です。
アカンプロサートは、インタスファーマ社が開発したアルコール依存症断酒補助薬で、レグテクトのジェネリック医薬品です。アルコール依存症は、薬物依存症の一種でお酒の飲み方をコントロール出来なくなった状態で誰でもかかる可能性があります。
アルコール依存症治療薬は、飲酒欲求そのものを抑制する薬剤です。
アルコール依存症治療薬のアカンプロサートは、日本でも承認を受け2013年から「レグテクト」の商標名で発売されています。
レグテクトは中枢神経系に作用して、飲酒欲求を抑える働きがあります。
脳内の神経伝達物質で、飲酒欲求のスイッチを担っていると考えられているのがグルタミン酸です。
レグテクトを服用すると、グルタミン酸による脳内の異常な興奮を抑制し、飲酒欲求を抑制します。
グルタミン酸作動性神経は、中枢神経系の主要な興奮性神経です。アルコール依存症の患者は、グルタミン酸作動神経が常に興奮状態に高まっているため、抑制性神経伝達の間に不均衡が生じていると考えられています。
そのため、アルコール依存症治療薬・レグテクトの服用で興奮系神経伝達を抑制し、脳内環境のバランスが整えられ飲酒欲求を抑えられるのです。
詳細なメカニズムは不明ですが、一定のアルコール依存症患者に対して成果をあげています。
しかし、レグテクト(アカンプロサート)の効果を発揮するためには、断酒していることが重要です。すなわち、断酒している人が服用すれば、断酒率は上がります。
一方で、飲酒している人がレグテクトを服用しても効果は期待できません。そのため、レグテクトの服用に際しては、断酒していることが前提になります。
参考文献:厚生労働省「アルコール依存症の薬物療法 | e-ヘルスネット」
参考文献:Wikipedia「アカンプロサート」
ノディクトは、サンファーマ社が開発したオピオイド受容体拮抗薬で、レビアのジェネリック医薬品です。アルコール依存症の症状にオピオイドが関係しています。
オピオイド受容体拮抗薬は、アルコール依存症の治療薬として注目されています。
オピオイド受容体は脳内に存在し、モルヒネ様物質の作用発現に関係する細胞表面受容体タンパク質で、モルヒネなどのオピオイド類が結合すると、鎮痛作用や多幸感を引き起こします。
そして、オピオイド受容体拮抗薬はオピオイド受容体と結合し、アルコールがもたらす報酬効果を抑制できるため、アルコール依存症の治療薬として使用されています。
アルコール依存症の治療でオピオイド受容体拮抗薬の期待される効果は、次の通りです。
代表的なオピオイド受容体拮抗薬は、ナルメフェンやナルトレキソンなどがあります。
参考文献:Wikipedia「オピオイド受容体」
ナルメフェン(商標名:セリンクロ)は、オピオイド受容体拮抗薬の一種です。
ナルメフェンは、先にヨーロッパを中心にアルコール依存症治療薬として承認され、日本国内では2019年に製造販売が承認されました。
この薬は、アルコール依存症の患者が飲酒のおそれがある時に服用すると、ナルメフェンが中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して、飲酒欲求を抑制できます。
副作用は、主に次のような症状が発現する場合があります。
副作用の症状は、投与初期に強く出る傾向です。しかし、長期間の服用によって副作用の発現率や重症度は高くならないと報告されています。
参考文献:厚生労働省「アルコール依存症の薬物療法 | e-ヘルスネット」
参考文献:大塚製薬「アルコール依存症 飲酒量低減薬「ナルメフェン」の国内申請について」
アカンプロサート
アカンプロサートは、インタスファーマ社が開発したアルコール依存症断酒補助薬で、レグテクトのジェネリック医薬品です。中枢神経系の主要な興奮性神経であるグルタミン酸作動性神経の活動が亢進し、抑制性神経伝達とのアンバランスが考えられています。アルコールを飲んだ際の興奮をおさえ飲酒欲求による依存症を改善します。
ノディクト
ノディクトは、サンファーマ社が開発したオピオイド受容体拮抗薬で、レビアのジェネリック医薬品です。報酬系の神経物質で、高揚感や多幸感といった快楽系で、オピオイド受容体を阻害すると飲んでも報酬系がブロックされているため飲酒欲求が低減してきます。
アカンプロル
アカンプロルは、サンファーマ社が開発したアルコール依存症断酒補助薬で、レグテクトのジェネリック医薬品です。飲酒欲求を抑制することでアルコール依存症を改善します。
「アルコール依存症は本当に薬で治せるの?」このような疑問がある人も多いのではないでしょうか。
最後に、実際にアルコール依存症治療薬を使った人の口コミを解説します。
アルコール依存症治療薬を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
アルコール依存症は、大量のアルコールを長期間にわたって継続して摂取することで、精神的にも身体的に依存してしまい、アルコールなしでは生活することが困難になってしまった状態をいい、薬物依存症の1つです。
いつの段階においても治療をおこなうことで回復することが可能な病気ではありますが、アルコールの離脱症状などに悩まされる点、断酒後に再び飲酒すると元の状態に戻ってしまう再発率が非常に高い病気になります。
強い意志を持って、根気よく治療を継続していく必要があり、周囲のサポートも欠かせません。
治療開始が早ければ早いほど、治療成績が上がることがわかっておりますので、早期治療をおこなうことが肝心です。