ミノキシジルは現在日本における壮年性脱毛症(AGA、FAGA、びまん性脱毛症の総称)治療薬の第一選択肢に選ばれる薬です。
厚生労働省が認可しているのは塗り薬で、現在最大量はミノキシジル5%配合までとなっています。
専門クリニックでは院内製剤でミノキシジルリキッドが処方される場合もあります。
ただし、ほとんどのケースでは市販薬の育毛剤が用いられます。AGA(男性型脱毛症)の治療では内服薬とミノキシジル外用薬を併用すると治療効果が上がると報告されています。
ただし、女性の脱毛症についてはミノキシジル1%までしか認められていないので購入時には注意が必要です。
ミノキシジルはもともと高血圧症の治療薬として開発された薬です。
その後副作用に脱毛症改善効果があるということが判明し、本格的に脱毛症治療薬として研究が始まった経緯を持っています。
また歴史の古い高血圧治療薬で、1960年代にアップジョン(現在のファイザー)によって医薬品化されています。
今のような脱毛症治療用外用薬(塗り薬)が開発されたのは1980年代のロゲインが世界初です。
なお、日本では現在でも高血圧の治療用に内服薬としてミノキシジルを投与することは認められていませんが、海外ではジェネリック医薬品が開発されています。
日本では壮年性脱毛症の治療にのみ、ミノキシジル製剤の使用が許可されています。
しかし、海外では古くから高血圧の治療に飲み薬として用いられてきました。
今でもミノキシジルタブレットは日本国内未承認薬で、海外においても高血圧の治療に用いられるのが主流です。
本来、ミノキシジルの開発目的は血管拡張用剤だったので、脱毛症への治療効果は副作用です。世界初のミノキシジル製剤は1960年代のアップジョン(現在のファイザー)が創製した「ロニテン」という内服薬です。ロニテンは今でも欧米で高血圧治療薬として処方されています。
ミノキシジルに現在のようなAGA(男性型脱毛症)治療効果が認められ、本格的にAGA治療薬としての開発が始まったのはロニテンが臨床治験で処方されるようになってからです。
そして1980年代になりアップジョン社がミノキシジル2%を配合した塗り薬を開発しました。
この塗り薬には「ロゲイン」という名前がつけられています。
ロゲインがどうして外用薬として開発されたのかについては「AGA治療目的で内服処方すると副作用が強く出てしまう」ことが認められたからです。
ロゲインが開発された頃アップジョン社にはM"Aの動きが噂されます。実際にロゲインを始めとするOTC薬(薬剤師の説明を受けながら購入する市販薬)事業の大半をジョンソン&ジョンソンに売却したため、ロゲインの販売元は現在ジョンソン&ジョンソン傘下のマクニール・ラボラトリーズに移管しています。
ロゲインは日本で承認されていない医薬品なのでロニテンと同様に国内で入手するためには、個人輸入代行を使います。
その時は同じミノキシジル製剤でもロニテンとロゲインは製薬会社が異なるので注意してください。なお、ミノキシジルタブレットはロニテンのジェネリック医薬品です。
世界初の脱毛症治療薬としてロゲインが発表された時は大いに注目を集め、国内でも広いマーケットが見込まれていました。しかし、日本人と欧米人とではAGAの発症パターンが異なります。
欧米人(特に白人)に多いのは頭頂部から脱毛が進む「O型」ですが、日本人に多いのは額の生え際が後退していく「M型」です。
これは頭皮付近にある5α-リダクターゼの分布が日本人と欧米人では異なるために見られる現象で、厚生労働省は直接ロゲインを承認せず、日本人の脱毛症にフィットした治療薬の開発を指示します。
その結果1996年に大正製薬から出された「リアップ」が日本では正式なAGA治療薬第1号になりました。当時のリアップはミノキシジル1%製剤でしたが、今では1%〜5%までのシリーズ展開です。
また、2018年に大正製薬のミノキシジルに関する国内特許が消えたことを受け、現在はANGFAやロート製薬など複数の製薬会社からミノキシジル5%製剤が相次いで発売されました。
なお、2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型または女性型脱毛症に関する治療ガイドラインでは女性型脱毛症にはミノキシジル1%をもちいるのが望ましい旨が記載されています。
ミノキシジルの主な薬効は血管拡張作用です。
血管拡張剤には数多くの種類がありますが、どうしてミノキシジルに発毛効果があるのかについてはいまだによくわかっていません。
しかし、ミノキシジルの高い血管拡張作用によって頭皮付近の毛細血管に至るまで拡張され、毛根に必要な栄養素と酸素が運搬されて、発毛が促進します。
ところが、いくらミノキシジルを使っても、生活習慣の乱れ、偏食、運動不足または慢性的にストレスを感じている状態だと発毛促進効果が低くなってしまいます。
そのためAGA治療では投薬と同時に生活習慣の改善指導がおこなわれます。
特に食生活の見直し、運動不足の解消、そしてストレスケアは重要なテーマです。
脱毛というのは加齢、ストレス、運動不足、食生活の乱れ、不眠などによってヘアサイクルが乱れるとおこります。
毛が生えて伸びるというのは毛乳頭細胞内で盛んに細胞分裂が起こっている証です。
脱毛症になると毛乳頭細胞内の細胞分裂は不活性化し、髪の毛が細く弱い「未熟な状態」で抜けていきます。
そのまま放置しているとやがて毛包ごと消失して「完全脱毛」を起こします。
完全脱毛を起こした毛穴は閉じてしまいそこから毛が生えることはありません。
すなわち脱毛症対策は早めに講じておくべきなのです。
男性の場合は20代ですでに10%の割合でAGAを発症しているので、気がついたら即AGA対策を取った方がよいでしょう。
男性脱毛の約90%がAGAなので、ミノキシジルを脱毛対策に使うことはとても有効です。
ミノキシジルの毛細血管まで拡張する強い作用によって毛乳頭細胞に接続している極小な毛細血管までしっかりと開き、血行を改善して毛乳頭を活性化させます。
たっぷりの血液を得て活性化した毛乳頭から生えてくる髪の毛は太く丈夫で、ハリやコシもしっかりしています。
アポトーシスとは古い細胞が率先して剥離していき、新しい細胞と入れ替わる現象のことです。新陳代謝(ターンオーバー)を想像していただければわかりやすいと思います。
ヘアサイクルには初期成長期、中期成長期、後期成長期、退行期、休止期というステージがあり、毛の再生を司る組織(毛包)が退行期に入るタイミングで「TGF-β」という物質が作用します。
脱毛症になるとアポトーシスが異常活性化をおこします。
しかしミノキシジルを投与すると、このTGF-β因子は抑制され、ヘアサイクルが早期退行期に移行するのを食い止めます。その結果、成長期を正常な状態に近づけていきます。
さらに育毛因子のミトコンドリアKATPという物質によってTGF-βは抑制されます。
ミノキシジルの血流改善効果によってミトコンドリアKATPが解放されやすくなり、毛母細胞のアポトーシスを遅らせることが可能となります。
KATPとはATP感受性チャネルの略称です。
ATPとはアデノシン二リン酸という物質で、リン(元素記号P)にはエネルギーを蓄えて燃焼する作用があります。これが細胞分裂や増殖時のエネルギー源になります。
表皮から下の部分に隠れている毛を「毛根」といいます。
毛穴の構造は毛根を包み込むような袋状で、毛根の最深部には毛母細胞があります。
そして毛根全体を覆う「毛包」という組織があり、毛母細胞の中では活発に細胞分裂を繰り返す「毛乳頭」が毛細血管に接続しています。
脱毛症が起こる原因の一つに「血流障害」があります。頭皮付近の血管は毛細血管ですが、毛乳頭に接続している血管はその毛細血管からさらに枝分かれしている微細な血管です。
したがって、血流障害が起こるとすぐに毛乳頭への血流が遮断してしまいます。
ミノキシジルの血管拡張作用はこの毛乳頭に接続している微細な毛細血管まで広げる力があり、育毛に必要な栄養と酸素を円滑に運び込みます。
休止期終盤から成長期にかけての毛乳頭は非常にアクティブな状態です。
代謝活動が活発なので老廃物が沢山つくられて血管を通じて排出されていきます。
つまり、血流障害を起こすと毛は栄養失調、酸欠、代謝不良を起こし、育毛が不完全な状態で脱毛を起こします。
他の血管拡張剤に比べてミノキシジルの作用は強いので、脱毛症治療には最適な医薬品といえます。
ミノキシジル5%製剤として人気があるリアップとスカルプDメディカルミノキのCMを見ると「発毛」という言葉を頻繁に使っていることがわかります。
ミノキシジル製剤は「育毛剤」のカテゴリーなのですが、育毛は「生えた毛を育てる」というニュアンスであり、それよりもさらに強力な「発毛」という言葉で訴求力を高めています。
実際に医薬部外品や化粧品のカテゴリーでは「発毛」という効果を表記できないので、これは医薬品のミノキシジル製剤の特権といってもよいでしょう。
完全脱毛を起こす前ならば、かなり進行したAGAでも60%〜70%の育毛効果を発揮する「高い治療効果」を持つ医療用成分がミノキシジルです。
医薬品では「効果」と「効能」という言葉を使い分けます。
一般的にはひとくくりにして「効果効能」という使い方をすることが多いのですが、実はこの2つの言葉は似て非なるものです。
効能とは「ある結果をもたらす働き」のことで、医薬品の場合は投与した結果として起こる作用のことを意味しています。
ミノキシジルは本来高血圧治療薬ですので、投与すると血管が拡張し全身の血流が増大する作用があり、その結果、血圧が正常化するというのが「効能」です。
その一方外用薬のミノキシジルは脱毛症治療薬です。
そしてその効能は脱毛症改善であり、もう少し具体的にいえば、毛乳頭の活性化を促すことです。
ただし、毛の再生というのは弱った毛乳頭の血流を改善すればすぐに髪の毛が丈夫になるというわけではありません。
いったん弱まった毛根は抜けるまで弱ったままです。
そして再生した毛乳頭が健康ならば毛髪も太く元気になります。
休止期にある毛穴で再生される毛根が正常かどうかは生えてみないとわかりません。
したがって、少なくとも3ヶ月以上は連続してミノキシジルを投与しないと医学的な判断はできないことになります。
効果とは「ある行為や作用によってもたらされる望ましい結果」のことです。
ミノキシジルの効果は、そのものズバリ丈夫な毛が生えてくることです。
人の毛髪の寿命は健康な状態でおよそ4年〜6年といわれています。
ところが、脱毛症を起こすとヘアサイクルは数ヶ月〜1年程度に短縮されます。
脱毛班(脱毛を起こしている部位)は同じ部位でも隣接する毛穴の発毛周期が異なるので、見た目で判断できるほどの改善効果を得るには最短6ヶ月ほどミノキシジルを連続投与しなければなり
ません。
大正製薬がリリースしているリアップX5(ミノキシジル5%)の公式ホームページで公開されているデータでは、連続投与6ヶ月で軽度改善、中等度改善、著明改善を合わせて90%以上の治療効果が得られています。
ただしその内訳は
となります。
ここでいう「中等度改善」とは新たに毛が生えてきたことが目視できるものの、健康な発毛部位と比べた場合に「薄さ」が目立つ程度です。
日本皮膚科学会が策定した2017年度版の男性型ならびに女性型脱毛症の治療ガイドラインによれば、AGAの治療でもっとも推奨されるのはプロペシア(内服薬)とミノキシジル5%外用薬の併用です。
この治療法は推奨度が最高ランクのA評価です。プロペシアはAGAを引き起こす直接的な原因物質の5α-リダクターゼという酵素の働きを阻害して、AGAの進行を食い止めます。
プロペシアの登場によりAGAが皮膚科で治療できる皮膚疾患に認められました。
5α-リダクターゼの働きはテストステロンという男性ホルモンをDHT(ジヒデロテストステロン)という違う男性ホルモンに変異させることです。
つまり、プロペシアで直接的な原因物質(5α-リダクターゼ)の働きを抑制し、ミノキシジルで血流を促進、毛乳頭を活性化させるという「相互作用」によってAGA治療効果を高めます。
相互作用といっても作用機序が異なるため、互いに干渉し合うことはほとんどない治療法であり、現在AGA治療ではプロペシアとミノキシジル5%の併用が第一選択肢となります。
併用による副作用はほとんどありません。
ただし、プロペシアは女性に対する適応はありませんので服用しないでください。
有効成分ミノキシジルを配合した薬は一般薬として流通しています。
2018年まで国内で承認されていたのは大正製薬のリアップシリーズだけでした。
しかしミノキシジル関連特許が消失したことで今ではスカルプDメディカルミノキ5(アンファ)、リグロEX5(ロート製薬)などいろいろな製薬会社から新製品がリリースされています。
大正製薬のリアップ以外はミノキシジル5%製剤が多いのでAGA(男性型脱毛症)専用治療薬です。女性型脱毛症にはミノキシジル1%の使用が推奨されていますが、商品化されているのはリアップから出ている「リアップジェンヌ」です。
その他日本では未承認ですが、ロゲイン、ミノキシジルタブレットも有名なミノキシジル製剤です。
ロゲインは世界で初めて承認されたAGA治療用外用薬です。
現在はファイザー(旧アップジョン)が製造・販売しています。
日本初のミノキシジル製剤リアップと比較されることの多い塗り薬ですが、違いはほとんどありません。
発売当初ロゲインがミノキシジル2%配合だったのに対しリアップは1%配合だったので、1990年代〜2000年ごろまではロゲインの需要もありました。
しかし、現在リアップも5%までミノキシジルの配合量が認められ、薬局やネット通販で気軽に買えることもあって、リアップ人気がロゲインを圧倒している感じです。
しかし、個人輸入代行を使うとリアップよりも安く購入できるので、長期継続使用するためにロゲインを選ぶ方もいます。
カークランドとはアメリカで製造・販売されているミノキシジル5%配合のロゲインジェネリックで、ロゲイン同様日本未承認薬です。
ネットの個人輸入代行業者を通じて購入した場合、4,000円前後が相場です。
リアップシリーズには5%ミノキシジル配合製品として、リアップX5とリアップX5プラスという2つの製品があります。
リアップX5は6,000円〜7,000円、X5プラスが7,000〜8,000円というのがネットでの相場なので、カークランドの方が安く入手できます。
リアップはリキッドタイプのみに対し、カークランドはスポイトタイプ(リキッド)とフォームタイプ(ムース)があります。
またアルコール配合量はリアップより多いので「ツンとする刺激臭がある」という口コミが目立ちます。
ミノキシジルタブレットはロニテンのジェネリック医薬品です。
日本では未承認薬なので入手するには院内処方で取り扱っているAGAクリニックで処方してもらうか、個人輸入代行業者を通じてネット購入するという方法です。
ただし、ミノキシジルタブレットの本来の薬効は高血圧治療です。
また、内服薬なので導入を検討する場合は医師に相談をしてからの方がよいでしょう。
特に何らかの持病を抱えて投薬治療を受けている人は必ず主治医に相談してから服用することを心がけてください。外用薬に比べて内服薬は副作用が出やすい傾向があります。
プロペシアのように特定の酵素に作用するタイプの薬ではなく、全身の血管を拡張させる作用があるので、毛髪以外の体毛を濃くする「全身多毛症」を起こすリスクがあります。
日本で承認されているミノキシジル製剤の中ではシェアおよび認知度No.1の塗り薬がリアップっです。国内大手製薬会社の大正製薬が製造・販売をおこなっています。
現在リアップはシリーズ化されていて、ミノキシジル1%製剤、女性用のリアップジェンヌ、ミノキシジル5%を配合したX5とX5プラスがラインナップされています。
X5とX5プラスの違いは育毛成分配合量の違いです。
X5プラスには育毛サポート成分が配合されており、さらに育毛効果を高める処方となります。
X5に比べると、その分価格が高めですが進行したAGAにはX5プラスの方がおすすめです。
リアップは一般薬ですが、内服薬であるプロペシアの処方を受けて併用することが現在のAGA治療では第一選択肢となります。
2018年に大正製薬が保有しているミノキシジル関連特許が切れたことで、いち早くミノキシジル製剤販売を発表したのはスカルプDシリーズを展開しているアンファです。
国内では育毛に特化したヘアケア商品で人気のスカルプDです。
人気タレントを起用したCMで知名度も高くメディカルミノキ5も発売前から注目を集めていました。
しかし、アンファがリリースしているミノキシジル製剤は「スカルプDメディカルミノキ5」だけなので、女性の脱毛には適応がありません。
購入する際には必ず薬剤師から説明を受けるため、女性の使用目的で誤って購入することはないと思いますが、その点はご理解ください。
効果・効能、副作用、使用感については「リアップX5」と同等とみてよいでしょう。
日本で承認されているミノキシジル製剤は塗り薬のみです。
しかし、海外にはいろいろなミノキシジル製剤があり、ミノキシジルタブレットのように飲む薬が存在します。
薬には必ず副作用がつきまといます。
重篤な副作用を起こさないようにするためにも薬は正しく使用し、異常を感じた場合はすぐに医師または薬剤師に相談してください。
特に現在何らかの持病を持っていて、投薬治療を受けている人はミノキシジル製剤の導入に際して主治医または皮膚科医に相談してから購入するようにしてください。
ミノキシジルの血管拡張効果は非常に高いので、他の薬との組み合わせには十分な注意が必要です。
本来ミノキシジル内服薬を脱毛症の治療に使うのはイレギュラーな方法です。
日本はもとより国際的にも公的に認められている例はありません。
しかし、一部の臨床所見で有用性が認められていて、インターネットを介して情報が広がっています。
日本皮膚科学会の見解(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)によればミノキシジル内服薬による男性型および女性型脱毛症の治療推奨度はDランクです。
その理由はエビデンス不足と全身多毛症になるリスクが高いということですが、「多毛症になるリスクがある」ということは、発毛効果の高さを裏付ける根拠と解釈できます。
日本でもAGA治療薬としてミノキシジルタブレットを処方している医療機関があります。
服用方法は1日1回2.5mg×2錠を水かぬるま湯で飲むのが一般的です。
飲み忘れた場合は気がついた時にその日の分を服用しますが、1度に2回分(4錠)飲んではいけません。
服用中に副作用などの身体異常が発生した場合はできるだけすみやかに処方医もしくは皮膚科医に相談してください。女性への処方はケースバイケースですが、妊婦や授乳中の場合は原則として処方できません。
そして高血圧性疾患の治療を受けている方は自己判断ではなく主治医に相談した上で服用を開始してください。
現在日本でもAGA(男性型脱毛症)の治療にミノキシジル外用薬を使用する場合、5%配合薬を用いるのが一般的な処方です。
医療機関によっては独自にミノキシジルローションを処方するところもありますが、基本的にはリアップX5やスカルプDメディカルミノキのような一般薬を用います。
世界的にはロゲインが有名です。
ミノキシジル外用薬は1日2回脱毛班に塗布します。
日本製の容器は逆さにすると一回塗布分の液量がアプリケーターに入り、容器の先端を頭皮に押し付けるようにして液剤を出して使います。
その後は液だれに注意しながら脱毛班を軽く指の腹でマッサージするように揉みこんでいきます。頭皮全体に使用する必要はありません。
脱毛班の程度にもよりますが、1回量は日本人にもっとも多いM字脱毛に合わせた量です。
一本あたり60プッシュ分(約1ヶ月)の計算です。
ミノキシジル外用薬も、つけ忘れた場合は気付いたタイミングで塗布します。
こちらも連続して2回分を塗布してはいけません。
女性向けのロゲイン(女性用)もアプリケーターに1回分の薬液が入り、それを塗布するという使用法です。
ただし、女性の脱毛症は頭部全体に症状が拡大するので毛髪の薄い部分に対して重点的に塗布します。
脱毛症というのはヘアサイクルの影響を強く受けます。毛髪は隣り合わせた毛穴が同時に抜けていくというわけではありません。
ヘアサイクルには成長期(初期・中期・後期)、退行期、休止期があります。
退行期は完全に毛根が毛細血管から離脱しているため、この時期にミノキシジルを投与しても効果は得られません。
しかし、近接した毛穴では休止期や成長期に入っているため、連続した投与が望ましいとされています。
一度弱った毛乳頭はいったん抜けて再生するまで活性化するということはありません。
このためミノキシジルの効果が最大限発揮されるのは新たな毛乳頭が形成される休止期の後期から成長期のごく初期の段階と考えられます。
人のヘアサイクルは健康な状態で4〜6年、進行したAGAでは数ヶ月といわれています。
頭皮の毛細血管がミノキシジルで拡張した場合、脱毛班部では弱った毛乳頭の代謝が進むので初期脱毛と呼ばれる大量の脱毛を起こすことがあります。
初期脱毛は副作用やAGA症状の悪化ではなく薬効が現れている兆候です。
この時期に薬を中止せずに少なくとも3ヶ月は使い続けることがミノキシジルの正しい使い方です。
AGA(男性型脱毛症)の治療ではミノキシジルとプロペシアを併用します。
プロペシアは世界で初めて承認されたAGA治療用の飲み薬で、主成分はフィナステリドです。
医療の世界では一般的に「主成分:薬剤名」という表記なので、ネット検索する場合はフィナステリドの方が関連文献へのヒット確率は高まります。
ミノキシジルは塗り薬、プロペシアは飲み薬というのが一番認識しやすい違いです。
AGA治療薬の内服は他にもプロペシアジェネリックとザガーロ(主成分:デュタステリド)があります。
ザガーロはプロペシアの改良型といわれていますが、今でもAGA治療の第一選択肢で選ばれるのは実績のあるプロペシアです。
ミノキシジルの主な作用は血管拡張作用、血流改善作用ですが、プロペシア(フィナステリド)は5α-リダクターゼという酵素の働きを阻害する作用です。
5α~リダクターゼはテストステロンという男性ホルモンをDHT(ジヒデロテストステロン)という男性ホルモンに変異させる時に働く酵素です。
テストステロンには毛を丈夫にする育毛作用がありますが、DHTは男性の生殖活動に深く関係している物質です。頭皮付近にはテストステロン受容体という物質があり、血液中のテストステロンを受け取って毛乳頭に届け、活性化させます。
ところが5α-リダクターゼによってDHTに変異させられてしまうと、テストステロンの育毛能力が消失してしまいます。
もともとテストステロンとDHTは組成がそっくりなので、テストステロン受容体がまちがってDHTを受け取り毛根に運んでしまうと、毛乳頭は不活性化してAGAが発症します。
したがって、プロペシアでAGA発症の直接原因物質(5α-リダクターゼ)を抑制し、ミノキシジルの作用で血行を促進させて毛乳頭の活性化を促進する、といった効果作用の違いがあります。
2017年に策定された日本皮膚科学会のAGA治療に関するガイドラインでは、ミノキシジル外用薬とフィナステリド内服を併用することでさらに治療効果があがると報告されています。
併用治療の相乗効果としてはフィナステリド(プロペシア)でAGAの直接的な原因物質「5α-リダクターゼ」の活動を抑制し、頭皮付近でおこるテストステロンの減少を阻止します。
そしてミノキシジルの血流改善効果で毛乳頭を健康な状態にして、ヘアサイクルを回復するというのが見込まれる相乗効果です。
心配されることは、相乗効果が高まることで副作用のリスクも上昇するのではないかということですが、そもそも内服薬と外用薬の併用であり、成分的にも作用機序(薬の効き方)が異なるので、併用することで副作用が強くなるということはありません。
ただし、FAGA(女性型脱毛症)に関しては、フィナステリドの投与が認められておらず、ミノキシジルについても1%配合にとどめておくべきというのがガイドラインで決められています。
女性の体内でも男性ホルモンは分泌されているので、DHT由来の女性型脱毛症があるという疑いは消せませんが、AGA治療薬の効果が男性並みに高くなることは望めないので、女性にAGA内服薬を処方することはありません。
ミノキシジルは医薬品なので副作用に関するエビデンスも開示されています。
副作用には主な副作用、重篤な副作用と副作用状症状があります。
ミノキシジルの主な作用は血管拡張による血流改善効果です。
そのため、副作用状症状としてめまい、頭痛、紅潮などが起こりやすくなります。しかしこれらは一時的なものであれば気にせず使い続けます。
副作用状症状が起こるのは一過性の身体異常であって、薬に体が慣れると症状が消失してきます。
また、副作用状症状の発現は薬が効いている証拠です。日常生活に支障がないレベルの副作用状症状ならば継続投与するのが望ましいとされています。
ミノキシジルを塗布するとその部分の毛細血管が広がり血流の量が増加します。
ミノキシジルタブレットでは全身の血管が拡張するので、血圧に関係する副作用が起こりやすくなります。
もっとも多いミノキシジルの副作用は「かゆみ」です。 またミノキシジルは水に溶けにくい性質を持つため、育毛剤の溶剤にアルコール、プロピレングリコールを使用します。
これらの物質は刺激性があり、敏感肌や乾燥肌の方はミノキシジルよりも溶剤に対してアレルギー性の皮膚症状を起こすことがあります。
ミノキシジル自体のアレルギーには
などのさまざまな症状が起こると懸念されます。
したがってアレルギー体質には慎重投与をおこない、ミノキシジルアレルギーの方には投与不可です。
ミノキシジル外用薬を使う場合は異常のない皮膚に微量を塗布し、アレルギー反応を示さないことを確認する「パッチテスト」をおこなってから使用してください。
現在持病があり、投薬治療を受けている方は薬の手帳を使って薬剤師からのアドバイスを受けたのちに購入します。
初期脱毛はミノキシジルを使用し始めたころに起こる副作用の一種です。
しかし、副作用といってもヘアサイクルが正常化する時に起こる異常なので、初期脱毛を起こしてもミノキシジルを使い続けます。
初期脱毛が起こるのは、ミノキシジルの血管拡張作用によって毛根と頭皮に十分な栄養と酸素が行き渡り新陳代謝が活性化するからです。
AGAは毛穴の機能不全でおこる皮膚病です。
新陳代謝(皮膚の代謝)が活性化すると機能低下を起こしている皮膚細胞が早めに剥離していきます。この時起こる脱毛が「初期脱毛」です。
つまり、初期脱毛を起こしているということはミノキシジルが効果を発揮し始めているという証拠です。
ただし、初期脱毛時にかゆみ、塗布部の腫脹、頭痛、大量のフケなどが発生した場合は念のために皮膚科を受診してください。
外用薬は溶剤の刺激でただれや脂漏性皮膚炎を起こす危険性があります。
初期脱毛では一度に大量の脱毛を起こします。
ただし、症状が落ち着くとヘアサイクルは正常化して、抜け毛はぐっと少なくなります。
そして皮膚の状態が正常化すると、かゆみやフケも落ち着きを見せます。
ジェネリック医薬品とは「後発薬」全体を意味します。
病院で処方される医薬品のジェネリックは薬価が下がる傾向があります。
しかし、一般薬のミノキシジルは必ずしも先発薬と比較して安くなるとは限りません。
現に後発薬のスカルプDメディカルミノキ5は先発薬のリアップX5よりも市場販売価格が高くなります。
5%ミノキシジルの後発薬はANGFA以外に、ロート製薬のリグロEX5、リアップシリーズの最新薬リアップX5プラスなどがありますが、やはり販売価格はリアップX5よりも高くなる傾向があります。
また、内服薬のミノキシジルタブレットは高血圧治療薬ロニテンのジェネリックですが、こちらはロニテンよりも価格は安いのですが、ミノキシジル内服薬は日本未承認薬です。
ジェネリックの効果は基本的に先発薬と同等です。
ただし、一般薬のミノキシジル外用薬は皮膚を保護する保湿成分、育毛を促進させる成分、刺激性の少ない溶剤を追加するなど使用感をアップさせる工夫がみられます。
育毛剤にはツンとする匂いがあり、それが苦手という方も多いのですが、ジェネリックのスカルプDメディカルミノキ5、リグロEX5はほとんど匂いがありません。
さらに容器にも工夫が見られ、先端の細いリアップシリーズに比べるとスカルプDとリグロでは液だれしにくい仕様です。
一方内服薬のミノキシジルタブレットは先発薬のロニテンと同等の薬効といわれています。
一般的にジェネリック医薬品は価格が安くなるのが魅力的なのですが、今までに説明してきた通り、一般薬のミノキシジル外用薬は後発薬の方が高額になる傾向があります。
しかし、ネット通販のキャンペーンや定期購入で安く買える場合があります。
それ以外に安く購入する方法としておすすめなのは個人輸入代行です。
ミノキシジルタブレットはロニテンに比べると3割以上やすい価格で購入できます。
外用薬もロゲインジェネリックのカークランドはリアップX5の半額以下で購入できます。
ただし、為替事情の影響を受けるため、毎回同じ値段で購入できるわけではありません。
より低価格で購入するには細かい価格チェックが必要です。
ミノキシジルはAGA治療薬として厚生労働省が正式に承認している医薬品成分です。
もっとも一般的な購入方法は薬剤師が常駐している薬局やドラッグストアでの購入です。
AGA専門クリニックや病院ではミノキシジルローションを調剤しているところもあります。
しかし、一般薬のミノキシジル外用薬も5%配合タイプが多いので効果はそれほど変わりません。
内服薬のミノキシジルタブレットは個人輸入代行か取り扱っているクリニックでの購入になります。ロニテンやミノキシジルタブレットは薬局やドラッグストアでの取り扱いがありませんので注意してください。
また個人輸入代行業者を使う時は、海外輸入薬を取り扱っている国内のネット通販を使うのが一般的なやり方です。
ミノキシジルは病院やAGA専門クリニックで処方してくれます。
この場合も薬剤師の指示にしたがって正しく使用してください。
現在、日本皮膚科学会が策定したAGAとFAGAの治療では1%〜5%ミノキシジルの使用が推奨されています。
普通の皮膚科ではAGA治療時に飲み薬(プロペシアやザガーロ)とリアップなどの一般薬の併用がすすめられます。
AGA専門クリニックなど薄毛治療を専門とするクリニックでは院内製剤で独自のミノキシジル製剤を処方してくれるところが多いようです。
一般薬の女性専用ミノキシジル外用薬は1%配合タイプです。
症状によってミノキシジル2%の方が適していると判断された場合は病院や専門クリニックで独自に処方されます。
ただし、どこの病院でも独自処方のミノキシジルを取り扱っているわけではありません。
飲み薬のミノキシジルタブレットは専門クリニックでも取り扱いが少ないので処方を希望する場合は事前にインターネットで調べておくとよいでしょう。
また、AGAなどの脱毛症治療は健康保険が効かない自由診療です。
自由診療では薬代だけでなく、診察代、検査代も全額自己負担になります。
ミノキシジル外用薬は一般薬なので薬局やドラッグストアでも購入可能です。
しかし、第一類医薬品の指定を受けているので、購入する際には必ず薬剤師から副作用やその他の医薬品との組み合わせ、禁忌などについて一通りの説明を受ける必要があります。
このような薬の販売方法をOTC(オーバーザカウンター)といいます。
医薬品は副作用のレベルによって第一類〜第三類にランク付けされています。
第一類はもっとも副作用と成分の強い薬のカテゴリーです。
発症頻度の高い副作用には初期脱毛、かゆみが報告されています。
持病があって投薬治療を受けている方、あるいは日頃からフケやかゆみを感じている方は薬剤師に相談してください。場合によってはミノキシジルが使えないことも考えられます。
一般薬なので薬剤情報は商品に同梱されています。一通り使用上の注意書きを読んで正しく使ってください。
AGA(男性型脱毛症)と女性型脱毛症では発症パターンがことなります。
それぞれの疾患専用のミノキシジル外用薬の使用を心がけてください。
ミノキシジルタブレットは未承認薬なので薬局やドラッグストアでは取り扱っていません。
ミノキシジル外用薬は医薬品を取り扱っているネット通販経由で購入できます。
薬剤師からの注意事項、問診シートへの入力など手間もありますが、わざわざ薬局やドラッグストアに足を運ばなくても購入できるので、遠隔地や過疎地に住む方にとっては便利な購入方法です。
薬局の公式サイトだけでなく、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場などの大手ネット通販でも購入可能です。
このようなネット通販では薬を使用する方の身体状態、他の薬を飲んでいないかなどのチェックシートに入力した後、薬剤師からのメールが返信されてきます。
ユーザーがそれを受け取った後に商品を発送するというのが一般的な購入の流れです。
ユーザーの身体状態や現在服用中の薬の種類によって、販売してもらえない場合もありますが、それ以外は一般的なネット通販と同じように購入できます。
脱毛症や薄毛の悩みはデリケートな問題なので、女性はネット通販を多用する傾向があります。
女性の脱毛症に対してミノキシジル製剤を使用する場合、認められているのは1%配合までです。チェックシートに嘘を記載してAGA向けの5%配合ミノキシジル外用薬を購入することはやめましょう。
またミノキシジルタブレットは国内通販での取り扱いがありません。
日本では承認されていない医薬品でも個人輸入代行業者を通じて購入できます。
今なら一般的なネット通販と同じ要領で、面倒な通関手続きもなく簡単に入手できます。
医療機関のサイトでは個人輸入代行のリスクを訴えるところもありますが、自己責任を自覚すれば完全に合法的な入手方法です。
個人輸入代行業者の信頼性と日本語で薬剤情報がしっかりと開示されているかなどの要点を押さえておけばリスクを低くすることが可能です。
ただし、幾つかの注意点があります。
それは申し込みから薬が手元にとどくまで時間がかかること、薬代は為替の影響受けるので、毎回同じ値段で入手できるとは限らないということです。
また副作用を起こして医療機関を受診する場合は、服用している薬の能書や箱を持って行っていかなければなりません。
英語力に自信があるのなら、海外通販から直接購入する個人輸入も可能です。
しかし、この場合は購入サイトや国の事情で国外発送に対応していないケースがあります。
国内トップシェアを誇るミノキシジル製剤リアップを販売している大正製薬が公表しているデータによれば、ミノキシジルには70%以上のAGA治療効果があるとのことです。
さらに2017年に男性型または女性型脱毛症の治療に関するガイドラインの改定がおこなわれ、正式に1%ミノキシジル外用薬が女性型脱毛症の治療薬として有益であるとの情報が開示されました。
このガイドラインによってミノキシジルがAGAやFAGA治療の第一選択薬となりました。AGAでは同時に内服薬が処方されます。
しかしながら、脱毛症治療は原則として自由診療なので、海外製の安いミノキシジル製剤を購入する方法があります。
脱毛治療は長期的な継続が必要なので、個人輸入や個人輸入代行の検討は十分に検討の余地があります。
法人サイト
日本皮膚科学会
1900年(明治33年)に創立された皮膚科に関する日本医学会に加入している学会です。会員に『日本皮膚科学会雑誌』を発行しており、専門医の資格取得を目指す方への研修講習会を開催しています。
製薬会社サイト
大正製薬
1912年(大正元年)に前身となる大正製薬所が設立された。一般医薬品と健康関連商品の開発をおこなっており、社章として「ワシのマーク」、栄養ドリンクのロングセラー「リポビタンD」などが広く知られている。
情報サイト
ウィキペディア(日本版)
ウィキメディア財団が管理・運営しているインターネット百科事典の日本語サイトです。 詳細かつ、網羅的な情報を掲載しており、他の辞書サイトでは容易に確認できないような事柄についての記事を確認することが可能です。