人類にとって、薄毛は永遠のテーマです。
薄毛治療のルーツは紀元前3000年の古代エジプトにあるという説も存在し、これまで古今東西、さまざまな薄毛治療が開発されてきました。
プロペシアとは、医師が処方する世界で初めてのAGA治療薬です。
成人男性に多く見られるAGA(男性型脱毛症)に高い有効性があり、その効果は臨床試験により証明されています。
現在では世界60ヶ国以上で使用されており、日本でも2005年に厚生労働省から認可が下りてから、長年に渡る使用実績があります。
いまやAGA治療の定番となったプロペシアについて、その効果や副作用、購入方法などすべてを説明していきます。
プロペシアは男性の薄毛を改善するためのAGA治療薬として定着し、今もなお薄毛に悩む多くの成人男性に処方されています。
ですがプロペシアは、始めからAGA治療薬として開発された訳ではありません。
"AGA治療薬プロペシア"は、予想外の産物でした。
プロペシアの有効成分フィナステリドは、もともとはアメリカで前立腺肥大症の治療薬として開発されました。
ただし当初の商品名は「プロペシア」ではなく、「プロスカー」という名称でした。
しかしプロスカーの臨床試験に参加した被験者から「抜け毛が減った」という報告が相次いだのです。
こうした結果から薄毛に対する治療薬としての研究が進み、その後プロスカーと同じ成分を含有したAGA治療薬プロペシアが開発されました。
プロペシアの有効成分フィナステリドは、開発された当初は前立腺肥大症の治療薬として用いられていました。
それが今では、男性の薄毛を改善するためのAGA治療薬としても利用されています。
全くことなるように見える前立腺肥大症とAGAですが、これらには"男性ホルモンに関連して発症する"という共通点があるのです。
男性ホルモンは筋肉や骨格の発達、性欲の増加などいわゆる"男性らしさ"の形成に関わるホルモンです。
一般的に男性の方が女性よりもたくましい体つきになるのは、男性ホルモンの作用によるものです。
また女性の体内においても、男性の10分の1程度ではありますが、男性ホルモンが分泌されています。
心身の健康を維持するためには、男性ホルモンは欠かせないものです。
ですが男性ホルモンは一部の病気の発症に関わっていることから、悪者扱いされることも少なくありません。
たしかに前立腺肥大症やAGAなどは、男性ホルモンが原因で起こる病気です。
ただ男性ホルモンそのものに害はなく、むしろ健康の味方ともいえるほどさまざまな作用を持っています。
しかし時には男性ホルモンが活性化し、前立腺の肥大を引き起こしたり薄毛を進行させたりするのです。
そこで男性ホルモンの活動を抑え、前立腺肥大症やAGAを改善するために開発されたのがプロペシアになります。
前立腺肥大症の治療薬として開発された成分フィナステリドが、なぜAGA治療薬としても用いることが可能だったのでしょうか。
その答えは、フィナステリドの効果にあります。
まず前立腺肥大症とは、文字どおり前立腺が肥大することで排尿障害が生ずる病気です。
男性だけに起こる病気で、前立腺が肥大する原因には何らかの形で男性ホルモンが関わっていることが明らかになっています。
そこでフィナステリドには、男性ホルモンの活動を抑える効果があります。
体内で活性化している男性ホルモンの活動を抑制し、肥大した前立腺を縮小させることで前立腺肥大症の症状を改善してくれるのです。
そして、このようなフィナステリドの効果はAGAにも効果的でした。
なぜならAGAの発症にも男性ホルモンが関与しており、フィナステリドがその活動を抑えることで薄毛の進行も止められたのです。
ただ、フィナステリドの効果はあくまでも薄毛の進行を抑えて、今ある頭髪を維持することです。
実際に服用している方からは発毛を実感したという声もありますが、あくまでもプロペシアは予防のための薬だということに注意が必要です。
プロペシアの有効成分フィナステリドは、始めは前立腺肥大症の治療薬として用いられていました。
開発が始まったのは1991年のアメリカであり、翌年の1992年にはプロスカーというフィナステリド含有の薬が前立腺肥大症の治療薬として米国FDAに認可されたのです。
したがってプロスカーはプロペシアと同じ成分を含有している薬になります。
なお、日本ではプロスカーは承認されていません。
しかしプロスカーの販売後、臨床試験をおこなっていると被験者の方からは髪が増えた、抜け毛が少なくなったなどの思わぬ報告が上がりました。
これを機に薄毛の治療薬としての治験がおこなわれるようになり、1997年にはAGA治療薬プロペシアが、FDAに認可されました。
日本でプロペシアがAGA治療薬として認可を得たのは、2005年10月のことです。
そして現在、ヘアケア市場は拡大を続け、新たなAGA治療が次々に登場しています。
ですがプロペシアは医師が処方する世界初のAGA治療薬として確固たる地位を築いており、今もなお広くAGA治療に用いられているのです。
フィナステリドを主成分とするAGA治療薬プロペシア。
医師が処方する世界初のAGA治療薬になり、現在では多くの国々で男性の薄毛治療に用いられています。
開発したのは、アメリカに本社を置く世界的な製薬会社メルク社です。
メルク社は1992年、前立腺肥大症の治療薬としてフィナステリド含有の医薬品プロスカーを販売しました。
しかし販売後、フィナステリドは薄毛にも良い効果があることが明らかになり、1995年にプロペシアの販売をスタートしたのです。
また日本ではプロペシアはMSD社により製造販売がおこなわれていますが、MSD社はメルク社の日本法人となります。
プロペシアは、飲むAGA治療薬です。
剤型は錠剤であり、具体的には円形で薄い赤色をしたフィルムコーティング剤となっています。
錠剤の大きさに関して、表面の直径は7.2㎜・側面の厚さは3.5㎜と標準的なサイズです。
さらにプロペシアには「1㎎」「0.2㎎」という2種類の規格があります。
錠剤の形状やサイズなどはどちらも同じであるものの、0.2㎎の方が1㎎よりも濃いピンク色をしているのが見分けるポイントです。
またMSD社が製造する正規品のプロペシアには、以下のような包装形態があります。
1㎎ → PTPシート14錠入りorボトル90錠入り
0.2㎎ → PTPシート14錠入りのみ
なお、PTPシートは表面に「プロペシア〇〇㎎」という記載が、裏面にはバーコードが印刷されているのが特徴となります。
プロペシアは、男性ホルモンの活動を抑えることでAGAを改善する薬です。
しかしその薬効薬理について、実際には男性ホルモンに直接作用するものではありません。
AGAの原因となるのは、「DHT(ジヒドロテストステロン)」という活性化した男性ホルモンです。
DHTは男性ホルモンの一種「テストステロン」に、「5αリダクターゼ」という酵素が反応することで生成されます。
そこでプロペシアが作用するのは、5αリダクターゼです。
プロペシアは5αリダクターゼを阻害することでDHTが作られないようにし、AGAを改善させます。
こうした作用から、プロペシアは「5α還元酵素阻害剤」とも呼ばれます。
プロペシアの有効成分フィナステリド。
メルク社はこの成分に着目し、プロペシアやプロスカーなどの薬を開発しました。
フィナステリドは、ノコギリヤシという植物の研究から作られた成分となります。
ノコギリヤシとは、北米などに生息するヤシ科の植物です。
大自然の中で育ったノコギリヤシの果実には、中高年の男性の健康をサポートする力があるといわれます。
近年ではノコギリヤシの成分を凝縮したサプリメントも登場し、多くの男性に服用されています。
そしてノコギリヤシの研究からできたフィナステリドは、AGAの原因物質であるDHTを減らす効果があります。
当然のことながらノコギリヤシよりもフィナステリドの方が強力で、AGAの進行を抑えるためにも効果的に作用してくれるはずです。
どんな薬であっても体内に入り、そして吸収されてから効果を発揮します。
プロペシアを服用し、しっかりと効かせるためには正しい取扱方法を守ることが大切です。
有効期限や保存方法に関して、プロペシアの添付文書には以下のように記載されています。
・有効期限 → 3年
・保存方法 → 室温保存
食べ物に賞味期限などがあるように、薬にも有効期限があります。
プロペシアの有効期限は製造から3年であり、通常は外箱に記載されています。
有効期限が切れたときの有効性や安全性は保障されていないため、期限切れのものは服用しないようにしてください。
もう1つ注意したいのが、保存方法です。
薬によっては温度や湿度などの影響を受けやすいものもあり、それぞれに適した保存方法はことなります。
プロペシアの場合、室温での保存が推奨されています。
またプロペシアを割って、半錠ずつ服用している方が少なからずいらっしゃいます。
しかしプロペシアは割って飲むことを前提としておらず、正しい効果を得られる保障もないため割らずに服用してください。
特に女性は割れたプロペシアに触れることも禁忌とされており、妊婦の方が触れると成分が経皮吸収されて胎児の成長に悪影響をおよぼすおそれもあります。
ノコギリヤシという植物の研究から開発された成分フィナステリド。
研究の過程で抜け毛を減らす効果があることが明らかになり、AGA治療薬プロペシアの有効成分として活用されるようになりました。
中高年以降の男性によく見られるAGAですが、発症には男性ホルモンのはたらきが関わっていることがわかっています。
フィナステリドには男性ホルモンのはたらきを抑える作用があり、それによってAGAの進行を食い止め、脱毛症状を改善します。
またフィナステリドの適応症はAGAだけでなく、前立腺肥大症など他の病気の改善にも効果的です。
ここからは有効成分フィナステリドについて、その作用や適応症などをご説明いたします。
フィナステリドは、男性ホルモンを抑制する効果があることから「抗アンドロゲン薬」に分類されます。
アンドロゲンとは、男性ホルモンの別名です。
一口にアンドロゲンといっても、その中にはさまざまな種類の男性ホルモンが存在します。
・テストステロン
・DHT(ジヒドロテストステロン)
など
人が心も身もともに健康に生きていくために重要なのが、テストステロンです。
テストステロンは男性では主に睾丸で、女性では副腎や卵巣で分泌されています。
肉体や精神面に多大な影響を与えることが知られており、テストステロンは前向きに生きていくために重要です。
しかしテストステロンは、同じく体内に存在する酵素の5αリダクターゼと結びつくことでDHTに転換されます。
DHTは活性化したテストステロンになり、男性胎児において性器の発達を促す作用があります。
ですが成人男性にとっては薄毛や前立腺の肥大、ニキビなどを引き起こすことから"悪玉男性ホルモン"と表現されることもあるホルモンです。
そこでフィナステリドは5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制する薬になります。
AGAは、DHTという原因物質により引き起こされる脱毛症となります。
前述したように、DHTは活性化した男性ホルモンです。
男性ホルモンの1種であるテストステロンに、5αリダクターゼという酵素が反応することでDHTが生成されます。
テストステロン + 5αリダクターゼ = DHT
テストステロンは、そのままであれば頭髪に悪影響を与えることはありません。
しかしDHTとなることで一転、髪の毛の成長を邪魔するようになります。
生成されたDHTは、さらに前頭部や頭頂部に存在する「アンドロゲンレセプター」という受容体に結びつき、脱毛因子とも呼ばれるTGF-βの増殖を促します。
髪の毛には、新しく生えてから抜け落ちるまでの周期を表す「ヘアサイクル」があります。
通常は2~6年ほどの成長期があり、髪の毛は太く長く成長していきます。
ですが上記のメカニズムでAGAを発症すると、成長期が大幅に短縮されて髪の毛が十分に成長できなくなるのです。
そこでフィナステリドには、テストステロンをDHTへと転換する5αリダクターゼの活動を阻害する作用があります。
5αリダクターゼの活動を阻害することによりDHTが作られる数が少なくなり、AGAが改善されるのです。
フィナステリドの適応症は、AGAだけではありません。
他には次のような病気にも効果を発揮します。
・前立腺肥大症
・前立腺がんの予防
AGAの原因物質として知られるDHTですが、さらに前立腺肥大症などの発症につながることもあります。
前立腺肥大症は50代以上の男性に特に多く、前立腺が肥大することで尿が出にくい、スッキリしないなどの症状が生じます。
前立腺の肥大は中高年以降の男性によく見られる現象で、その原因としてDHTが関与しています。
そのためDHTの生成を抑えるフィナステリドは、前立腺肥大症の改善にも効果的です。
またフィナステリドは、前立腺がんの予防にも役立つと考えられています。
アメリカでは1994年から「前立腺がん予防試験(PCPT)」が実施され、フィナステリドを定期的に7年間服用した場合の前立腺がんの発症リスクについての調査がおこなわれています。
PCPTによれば、フィナステリドを服用していた被験者はプラセボ群と比べて前立腺がんの発症リスクが25%低下していたと報告されました。
しかしフィナステリドは、前立腺がん検査をする際の指標となるPSAの数値にも影響を与えます。
そのためフィナステリドの服用中に前立腺がんの検査をおこなう場合は、PSA値を2倍した数値を目安にすることが一般的です。
AGAは、DHTという原因物質が引き起こす男性特有の脱毛症になります。
DHTの正体は、活性化した男性ホルモンです。
人の体内にはテストステロンという男性ホルモンが存在し、骨や筋肉の発達、気持ちを前向きにするなどさまざまなはたらきをしています。
しかしテストステロンが5αリダクターゼという酵素と出会うと、活性化したDHTへと転換してしまうのです。
DHTは幼少期の男性にとっては成長に欠かせないホルモンであり、主に性器を発達させるはたらきが知られています。
ですが成人になると一転、DHTは頭皮に存在する受容体と結びつき、脱毛症状を引き起こしてしまうのです。
そこでプロペシアは5αリダクターゼを阻害し、テストステロンからDHTの転換を防いでくれます。
これによりDHTの生成が抑制され、AGAが改善されます。
「効果」と「効能」、似ている言葉ですがそれぞれの意味はことなります。
まず効能とは、理想的な条件下で薬を服用したときに得られる有効性のことです。
服用する方の年齢や体質が全て同じ条件であり、また医師が指導したとおりに服用することが前提となります。
プロペシアは、AGAの元凶であるDHTの生成を抑えることにより脱毛症状を改善するAGA治療薬です。
AGAを発症すると抜け毛が増える、髪のボリュームが減るといった症状に加えて、軟毛化が見られることもあります。
軟毛化とは髪の毛が細くなる、柔らかくなるなどの症状です。
こうした症状は、DHTがヘアサイクルを狂わせるために起こります。
1本1本の髪の毛は通常、2~6年の歳月をかけて太く長く成長していきます。
ですがDHTはヘアサイクルを数ヶ月~1年ほどに短縮してしまうために、髪の毛の成長が邪魔されてしまうのです。
そこでプロペシアを適切に服用し、DHTの生成を抑える効果が発揮されることでヘアサイクルの乱れが正常化されます。
これにより髪の毛も再びしっかりと成長できるようになるため、AGAによる脱毛症状の改善効果が期待できるようになります。
薬の効果とは、一般的な条件下で服用したときに得られる有効性を表します。
効能との違いは理想的な条件下で服用した場合の有効性(効能)か、あるいは一般的な条件下で服用した場合の有効性(効果)か、という点にあります。
薬を服用する方の年齢や体質が全て同一で、さらに全員が決められたとおりに服用したとすると、全員が同じような有効性が得られると考えられます。
しかし実際には若者からお年寄りまで薬を服用しますし、体質も人それぞれです。
また人によっては他の薬も服用していたり、時には飲み忘れたりすることもあるかもしれません。
このように一般的に考えられる条件のもとで薬を服用したときに得られる有効性が、薬の効果となります。
プロペシアは開発時に臨床試験がおこなわれ、AGAに対して非常に高い有効性があることを認められています。
ですが臨床試験の対象者は20歳~50歳の、心身ともに健康な中軽度までのAGA患者さんでした。
つまり対象者よりも年齢の高い50代・60代の方や、重症のAGA患者さんの場合は効果の期待値が下がると考えられます。
プロペシアの添付文書には、効果効能に関して"男性における男性型脱毛症の進行遅延"と記載されています。
服用することでAGAの改善効果が期待できる薬で、これまで多くのAGA患者さんに処方されている実績があります。
その有効性も証明済みであり、国内でおこなわれた臨床試験ではプロペシア1㎎の長期間の服用により次のような結果が報告されています。
AGAが改善された、あるいは薄毛の進行が止まった方を合わせるとプロペシアは約98%の方に効果があるAGA治療薬ということになります。
また長く服用を続ければ続けるほど、AGAの症状が改善された割合が増えていることも分かります。
ただし改善されたといっても、どの程度改善されているかは人によってことなります。
実際のところ大半は軽度の改善であり、著明な改善が見られた方は頭頂部で6%、前頭部で2%とごくわずかです。
プロペシアは発毛を期待して服用するのではなく、あくまでもAGAの進行を遅らせ、現状維持をするための薬だと認識して服用することが大切です。
薬には、それぞれ決められた服用方法があります。
効果や安全性、体内での吸収速度なども踏まえた上で決められており、薬が持つ効果効能を最大限に引き出すためには、決められた服用方法を守ることが大切です。
薬を正しく服用するためには、さまざまなポイントがあります。
プロペシアは正しく服用することで薄毛の進行が食い止められ、また人によっては発毛効果も期待できるAGA治療薬です。
ですが誤った方法で服用するとプロペシアが持つ効果を得られない、場合によっては健康被害が起こるリスクもあります。
以下ではプロペシアの効果を最大限に引き出すための服用方法について、さまざまな角度から解説していきます。
プロペシアの効果を実感できるまでの服用期間については、個人差があります。
早い方だと服用を始めてから3ヶ月ほどで効果が見られますが、通常であれば6ヶ月の服用期間は必要になります。
なお、この間は毎日忘れずに服用しなくてはなりません。
そして注意したいのが、プロペシアはAGAを完治させる薬ではないということです。
服用している間は原因物質DHTの生成が抑えられ、AGAの改善効果が発揮されます。
しかしこれは、プロペシアの効果により一時的にAGAの進行を食い止めているにすぎません。
服用を中止すると再びDHTが生成されるようになり、AGAが進行します。
そのためプロペシアを服用する際は"効果をどれくらいで実感できるか"だけでなく、"いつまで服用を続けるか"ということも重要になります。AGAを治療することで自分はどうなりたいのか、いつまで治療を続けるのか。
AGA治療のゴールは自分自身で決めなくてはなりません。
またプロペシアの添付文書には、6ヶ月以上プロペシアの服用を続けても効果が見られない場合、服用を中止するように注意書きがされています。
これは、6ヶ月以上服用を続けても効果が出ない場合、プロペシアによる薄毛の改善は期待できないため、そのままプロペシアを服用し続けるか検討した方が良いということです。
プロペシアは、服用を始めてから効果を実感するまでに6ヶ月はかかるのが普通です。
薄毛に悩む方にとって、この期間はもどかしく感じるかもしれません。
ですがプロペシアの効果を実感するまで、ある程度の期間が必要になることには理由があります。
髪の毛は"成長期→退行期→休止期"の3つの時期から成るヘアサイクルに従い、生えては抜けを繰り返します。
通常、これら一連の流れを約2~6年かけて一周します。
しかしAGAを発症すると、原因物質DHTにより一連のヘアサイクルが乱されてしまうのです。
普通であれば約2~6年もある髪の毛の成長期が数ヶ月~1年と大幅に短縮されてしまい、髪の毛が十分に成長できずに薄毛が進行してしまいます。
そこでプロペシアは、DHTの生成を阻害する作用により乱れていたヘアサイクルを正常化してくれます。
すると短くなっていた髪の毛の成長期も元の状態に戻り、髪の毛が太く長く成長できるようになります。
ただ、ヘアサイクルが戻ったとしても髪の毛が伸びるスピードは変わらないため、プロペシアの効果を実感するまでにはある程度の服用期間が必要になるのです。
薬の効果を最大限に引き出すためには用法・用量を守り、正しい方法で服用することが大切です。
プロペシアの服用方法は、添付文書に次のように記載されています。
・0.2㎎を1日1回の服用
・必要に応じて適宜増量できるが、1日1㎎が上限
毎日欠かさず服用を続けることで、ヘアサイクルが正常化し薄毛の進行が改善されます。
なお、薬の服用にはタイミングが決められていることがありますが、プロペシアを服用するタイミングは特に決まっていません。
製造元のMSD社がおこなった調査によれば、空腹時・食後において、吸収速度や量などに変化はありませんでした。
したがってプロペシアは食事の影響がなく、食前・食後問わずに服用できます。
しかし24時間ごとに服用することが望ましいため、毎日決まった時間に服用するようにしましょう。
また飲み方の注意点ですが、プロペシアは割って飲まないようにしてください。
たとえばプロペシア1㎎を割って半錠ずつ飲むと、毎月のコストを節約できてお得なように感じます。
ですがプロペシアを割って服用した場合の安全性や有効性は認められておらず、そのような飲み方は推奨できません。
薬を服用する際には、いくつか注意したい点があります。
・飲み合わせ
・服用してはいけない方
薬によっては一緒に飲んではいけない薬や、食べ合わせが良くない食品があります。
ですがプロペシアの製造元のMSDによると、プロペシアとの飲み合わせが良くない薬や食品は報告されていません。
つまりプロペシアには併用禁忌薬がなく、現在服用している薬があっても、安心してプロペシアの服用を始めることが可能です。
また添付文書では、次のような方はプロペシアの服用を禁忌とされています。
・成分フィナステリドに過敏症の既往歴がある方
・妊婦または妊娠している可能性のある女性
・授乳中の女性
過敏症とは、いわばアレルギーのことです。
過去にフィナステリドを含有した薬を飲んで蕁麻疹、かゆみなどのアレルギー症状が出た経験がある方は、プロペシアを服用できません。
さらにプロペシアは男子胎児の発育に影響をおよぼすおそれがあります。
したがって妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性はプロペシアの服用はもちろん、成分が経皮吸収されることから割れた錠剤に触れることも禁忌です。
AGA治療薬には、プロペシア以外に次のような薬も存在します。
・ザガーロ
どちらの薬にも高いAGA改善効果があり、今やプロペシアと並んで定番のAGA治療薬です。それぞれの薬とプロペシアにはどのような違いがあるのか比較していきます。
まずザガーロは、プロペシアと同じ作用を持つAGA治療薬です。
両方とも5α還元酵素阻害剤と呼ばれ、AGAの原因物質DHTを生み出す5αリダクターゼの活動を阻害することにより、AGAを改善します。
しかしザガーロとプロペシアには、決定的な違いがあります。
5αリダクターゼには「1型・2型」の2種類が存在し、プロペシアが阻害するのは2型の5αリダクターゼのみです。
それに対し、ザガーロはどちらの5αリダクターゼも阻害するため、プロペシアよりも強力な効果を発揮します。
続いてミノキシジルは、プロペシアとは全くことなる作用を持つAGA治療薬です。
ミノキシジルは血行を改善する作用により、毛根に栄養を届けやすくすることで発毛を促します。
AGAの進行を食い止めるプロペシアの効果を"ブレーキ"とすると、ミノキシジルの効果は"アクセル"と表現できます。
ミノキシジルとプロペシアは一緒に使うこともでき、併用することでより効果的にAGAを改善することが可能になります。
どんな薬においても付き物なのが、副作用の存在です。
たとえば風邪薬は熱を下げる、くしゃみや鼻水を抑えるなどの効果があります。
しかし副作用として眠気を生ずる風邪薬も多く、服用後に頭がボーっとすることは多くの方が経験していると思います。
こうした薬の副作用がなぜ起きるのか、その原因は1つではありません。
薬自体が持つ作用、薬の飲み方、あるいは体質や体調などさまざまな問題が考えられます。
ですが薬である以上、副作用のリスクはゼロではありません。
またプロペシアは長期的に服用を続ける薬なので、効果だけではなくどんな副作用があるのか知っておくことも重要です。
プロペシアの副作用について、国内でおこなわれた臨床試験により調査されています。
同試験によると副作用が認められたのは276例中11例(4.0%)であり、主な症状は以下のとおりでした。
・性欲の減退 → 3例(1.1%)
・勃起不全(ED) → 2例(0.7%)
プロペシアに性機能に関する副作用は有名であり、服用に際して心配をされる方も多く見受けられます。
しかしこのように性機能に関する副作用が起こる確率は低いものなので、過剰に心配をする必要はありません。
また、プロペシアによる重篤な副作用には「肝機能障害」があります。
肝機能障害が起きているときに見られる主な症状は、次のとおりです。
ですが、肝機能障害の発症率は不明とされています。
なぜなら肝臓に負担を与えるのはプロペシアだけではなく毎日の食生活やアルコール、その他に服用している薬なども肝臓に影響をおよぼします。
したがって肝機能障害がプロペシアによるものなのか、それとも他の要因によるものなのか判断ができないのです。
いずれにせよ、プロペシアの服用後に何らかの異変を感じた場合は服用を中止し、最寄りの医療機関にご相談ください。
プロペシアを飲み始めた時期に、一時的に抜け毛が増えることがあります。
こうした症状もプロペシアの副作用の1つで、一般的に「初期脱毛」と呼ばれます。
薄毛を改善するために薬を飲んでいるのに、抜け毛が増えると驚いたり、不安に感じたりするかもしれません。
ですが初期脱毛は薬が効いているサインであり、むしろ良い兆候といえるのです。
なぜ初期脱毛が起こるのか、その答えはヘアサイクルにあります。
AGAを発症すると、ヘアサイクルが乱れて髪の毛の成長期が大幅に短くなります。
太く、長く伸びていくはずだった髪の毛が十分に成長できなくなり、細く弱い髪の毛が目立つようになります。
そして細く弱くなった髪の毛はやがて抜け落ち、薄毛が徐々に進行していくのです。
そこでプロペシアを飲むと、薬の効果により乱れていたヘアサイクルが少しずつ正常な状態に戻ってきます。
ヘアサイクルが正常化するにつれて新しい健康な髪の毛が生えてくるようになり、このときに古い髪の毛が押し出されて一時的に抜け毛が増えます。
これが初期脱毛のメカニズムです。
なお、初期脱毛はプロペシアの服用を始めてから約1~2週間した頃に見られることが多いようです。
その後、個人差はあるものの短い方では約1~2週間、長い方では約1~3ヶ月で抜け毛が治まっていきます。
プロペシアには、ジェネリック医薬品も登場しています。
ジェネリック医薬品とは新薬の特許期間が過ぎた後に、他の製薬会社が厚生労働省の認可を得て、新薬と同じ成分で作られる薬のことです。
プロペシアジェネリックは、大きく「国内製」「インド製」の2種類に分かれます。
日本では2015年、ファイザー社が国内で初めてプロペシアのジェネリックの製造販売承認を取得しました。
このことを皮切りに、多数の製薬会社からプロペシアジェネリックが販売されています。
対するインド製のプロペシアジェネリックには、次のような種類が存在します。
特にフィンペシアは日本国内での人気・知名度が高く、入手して服用している方も多くいらっしゃいます。
ジェネリック医薬品は、先発薬と同じ有効成分で作られる薬です。
しかし効果は先発薬と同等なのか、ここでは国内初のプロペシアジェネリックであるファイザー社の例をご紹介します。
ファイザー社製のプロペシアジェネリック「フィナステリド錠」は、健康な成人男性を対象として先発薬プロペシアと同等の効き目があるのか調査がおこなわれています。
被験者にはフィナステリド錠・プロペシアを交互に服用してもらい、服用後の血中濃度などを測定しました。
その結果、どちらの薬も体内での吸収速度や量に差はなく、効果は同等であると証明されています。
他のプロペシアジェネリックも臨床試験により先発薬と同等の効果効能や安全性があることを認められているため、安心して服用できます。
新薬を開発するためには10年を超える歳月と、数百億円もの費用が必要です。
しかしジェネリック医薬品は先発薬と同じ有効成分を使用し、しかも開発期間や費用も少なくて済むために先発薬よりも低価格で購入することが可能となっています。
ジェネリック医薬品の価格は、一般的に先発薬の約2~5割ほどです。
特にプロペシアは、一度服用するだけで薄毛の進行が止まり、失った髪の毛が戻ってくる薬ではありません。
AGAの改善効果を実感するためには通常6ヶ月、短くても3ヶ月以上は毎日服用を継続する必要があります。
このように長い間飲み続ける薬の場合は、ジェネリック医薬品に変更することがおすすめです。
価格も安いため毎月の薬代の差を実感しやすく、AGA治療を長く続ければ続けるほどコストの削減につながります。
今日では、薄毛治療にさまざまな選択肢が登場しています。
プロペシアは医師が処方するAGA治療薬としては世界で初めて登場し、いまやもっともポピュラーな存在です。
当初は前立腺肥大症の治療薬として開発された薬でしたが、販売後の臨床試験からAGAにも効果があることが判明しAGA治療薬プロペシアが誕生しました。
日本ではMSD社が製造販売をおこなっているプロペシアですが、購入するには複数の経路があります。
さらに長期的な服用が前提になるプロペシアは"価格"も重要ですが、購入経路によって価格もことなります。
以下ではプロペシアの代表的な購入経路である医療機関での処方や通販での購入について、またプロペシアが市販されていない理由などを解説していきます。
医療用医薬品であるプロペシアを入手したいとき、まず考えたいのが医療機関の利用です。
AGA治療をおこなっている一般病院の皮膚科や専門クリニックを受診することで、プロペシアを処方してもらえます。
しかしAGAの治療は、残念ながら保険が適用されない自由診療です。
なぜならAGAの治療は厚生労働省から美容整形と同じ分類とされ、生命に関わる治療と見なされていないことが理由になります。
ただAGAの治療は長丁場になることから、できるだけ費用を抑えたいところです。
自由診療では各医療機関が自由に価格を設定できるため、病院やクリニックごとにプロペシアの処方価格がことなります。
病院やクリニック選びのときは、価格を参考にして決めることも選択肢の1つです。
また一般病院と専門クリニックでは、AGA治療の目的や内容がことなります。
一般病院では基本的に"現状維持"のためのAGA治療であることが多く、実施している治療内容はプロペシアの処方のみです。
対して専門クリニックでは"発毛"のため、プロペシア処方以外にも豊富な治療の選択肢があります。
プロペシアの処方だけでなく、他にも自分に合った治療をおこないたい方は専門クリニックを受診することがおすすめです。
たとえば風邪薬は、薬局やドラッグストアに行くと購入することが可能です。
しかしプロペシアの場合、薬局やドラッグストアでは取り扱えず、購入もできません。
薬は、大きく2種類に分かれます。
・医療用医薬品
・一般用医薬品
簡単に説明すると医療用医薬品は"医師が処方する薬"、一般用医薬品は"市販の薬"になります。
まず一般用医薬品の場合、一般の方が薬局やドラッグストアに行き、自分の判断で購入して服用できます。
決められた範囲内であれば比較的安全であり、誰でも使用できるように工夫されているのが一般用医薬品です。
これに対し医療用医薬品は効果や安全性、使用方法などの観点から、医師や薬剤師による管理が必要です。
医療機関を受診したときに処方される医療用医薬品は、患者さんの病状に合わせた種類や量が医師により決められています。
プロペシアは医療用医薬品に分類されるAGA治療薬であり、専門家による管理が必要なために薬局やドラッグストアで取り扱えないのです。
ただしAGA治療薬の中にはミノキシジルのように一般用医薬品に分類され、薬局やドラッグストアで購入できるものもあります。
近年での通信販売市場は成長を続け、利用者層が増大しています。
プロペシアも病院やクリニックに行かずとも、通販で購入できれば便利です。
しかし、先述したようにプロペシアは医師の管理が必要となる医療用医薬品です。
薬局やドラッグストアで購入できるような一般用医薬品であれば、国内の大手通販サイトである「Amazon」や「楽天市場」などで取り扱いがあります。
それに対してプロペシアは、基本的に医師の処方せんをもとに患者さんの手元に渡される薬であるため、国内の通販サイトで購入することはできません。
ですが海外の通販サイトや個人輸入代行サイトを利用し、海外からプロペシアを購入することは可能です。
これらのサイトは国内の通販サイトと同じような感覚で買い物ができ、しかも先発薬だけでなく海外製のプロペシアジェネリックの取り扱いもあります。
病院やクリニックに行く手間がなく、また医師から処方されるよりも安価で購入できることは大きなメリットです。
ただし海外通販で購入できる薬には偽物である可能性や、日本国内で効果・安全性の認められていない場合などもあるので注意してください。
プロペシアは日本を含む、多数の国々で承認を得ているAGA治療薬です。
国内で処方される機会も多く、これまでAGAに悩むたくさんの患者さんにプロペシアを服用されています。
このようにAGA治療薬としてプロペシアが世界中で選ばれる理由は、高い有効性です。
プロペシアはAGAに対する効果が高く、臨床試験により約98%の方に有効性があったことが明らかになっています。
また安全性にも優れ、プロペシアの服用による副作用の発現頻度も高くはありません。
ですがプロペシアの効果は、一般的に6ヶ月ほど継続して服用しないと実感できません。
プロペシアによりAGA治療をおこなう場合は、早めに服用を始めることをおすすめします。
医薬品情報サイト
MSD Connect
MSD社の医療関係者様向けの会員制ウェブサイトで、MSD製品や疾患に関する知識、日常診療のリファレンスとして活用できる診療ガイドライン。患者への説明用資料などの情報を得ることができます。
製薬会社サイト
大東製薬工業
1949年創業、1962年に「トノス」「ヒメロス」を発売して以来、少子高齢化という時代背景を踏まえ、性機能や更年期、さらには生活習慣病の予防や抗加齢(アンチエイジング)医療に対応する生活改善薬の開発に携わっています。