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バイアグラの特徴~世界初のED治療薬~

バイアグラの特徴|ED症状に適した治療薬の効果

ED治療のための画期的新薬

バイアグラの画期的な点は錠剤で服用しやすいことです。
持ち運びに便利で、いつでもどこでも服用可能で、いちいち診察せず薬の処方だけで済ませることも可能です。
単純といえば単純なのですが、これが人気の秘密の一つかもしれません。

経口薬のバイアグラが出る以前は、アルプロスタジルを主成分とする注射薬のカバージェクトやミューズがED対策の主流でした。

これは厚労省の認可が現在も下りていませんので、入手形態はもっぱら個人輸入やネットとなります。
よってデータが無く、シルデナフィルとの有効性を比較することができないのですが、まず注射ですので病院に出向かなければならず、必ず診察が伴います。

さらにどうしても陰部に注射針を刺しますので、痛みを避けることができません。
このように、それまでの投与方法に問題があったため、バイアグラの登場は願ってもない光明となったのです。

  • 注射が嫌なら痛みの少ない別の方法もある。
    例えば、アルプロスタジルを尿道の先端に挿入し、薬剤が周辺組織に拡散するのを待っても効果は同じ―。

目次

  1. ED症状に適したバイアグラ
  2. 販売直後から人気殺到!待望の夢の薬
  3. バイアグラがもたらしたED治療の改革
  4. 関連ページ

ED症状に適したバイアグラ

適応するED症状

現在のED治療はバイアグラを中心に据えていて、問診や検査等により経口投与が可能かどうか調べます。

EDは原因と症状により一般的に心因性、器質性、混合性、薬剤性の4つに分類されますが、バイアグラはいずれにおいてもある程度の有効性が認められています。

その裏付けとしてファイザー社は使用成績調査による有効率を示していますが、勃起機能改善において89.9%、性行為能力向上において87.7%という高い数値となっています。

現状においてEDの疾患領域は泌尿器科が中心ですので、まずは泌尿器科医にかからなければなりません。
精神的な部分が原因に思われる心因性EDと診断された場合、精神科での治療をすることになります。

包茎が原因であれば美容外科の領分となりますが、最近では生活習慣病からくるEDが増加傾向となっていて、内科あるいは心療内科でも診療範囲に含まれてきているのです。

その中でも軽度の心因性EDで、性交への不安やパートナーとのトラブル、ストレス、疲労などが勃起不全の要因になっている場合は、カウンセリングで改善されることが多いため、バイアグラは不要となります。

ですが再発防止、セックスパートナーの重荷を軽減する意味で、バイアグラが処方されるケースも増えています。

器質性EDの場合、脳血管障害や脊髄損傷など神経性からくるもの、糖尿病や動脈硬化など血管性からのもの、包茎やぺイロニー病など陰茎性からのもの、精巣機脳の低下といった内分泌性からのものと様々な症状を起因としているため、基本はED治療薬での治療になります。

すでに述べた通り、バイアグラとはさまざまな原因のEDに効果が高い治療薬なので、病院やクリニックでの処方も多くされてきました。

バイアグラの服用に効果がみられない場合はバキュームデバイスの利用やホルモン療法、陰茎形成術など外科的な手術により治療を進めていくことになります。

バイアグラの特徴

バイアグラの主成分シルデナフィルは、陰茎海綿体のPDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素を選択的に阻害し、NANC(非アドレナリン非コリン作動性)神経や海綿体内皮細胞に内在する一酸化窒素を刺激することにより産生されたcGMP(環状グアノシン一リン酸)という神経伝達物質の分解を抑制します。

そして陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させ、血流量が増加し、陰茎を勃起、維持させる働きをします。

PDE5を50%阻害する濃度IC50値は陰茎海綿体で3.5nmol/L、血小板で6.1nmol/Lと強力に阻害し、PDE5を1とした場合の効力比はPDE1が1/80、PDE2~PDE4が1/2000、PDE6が1/10とPDE5だけに狙いを絞って作用する、高い選択性を示しています。

cGMPの分解抑制作用では、cGMP量を50%増加させるのに必要なシルデナフィル濃度が0.43~0.52nmol/Lと顕著な値となっており、一酸化窒素による弛緩反応に対する増強作用もファイザー社により確認されています。

また、EDの改善率は25㎎投与で58.3%、50㎎投与で72.4%と国内の臨床試験で確認され、いずれも高い数値が報告されました。

挿入の頻度と勃起の維持について臨床効果も調査がおこなわれ、国際勃起機能スコアに基づく数値を算出、挿入頻度が投与前1.65に対し25㎎3.52、50㎎3.82、勃起維持が投与前1.30に対し、25㎎2.97、50㎎3.53となり、有意差が認められています。

販売直後から人気殺到!待望の夢の薬

発売当初の評判

「バイアグラ時代」(メイカ・ルー著、作品社)によりますと、バイアグラは発売前からマスコミの注目を浴び報道が過熱していたようです。

その過熱ぶりから、飲んだらすぐ効くという動機付けができあがっていたと見られます。
臨床の段階におけるプラセボ(偽薬)効果は絶大で、そうした思い込みで勃起発現する被検者が多かったという状況でした。

1998年3月、FDAの認可が下りて発売となりますが、評判は発売前から高く、落ちることを知りませんでした。
それどころか宣伝の勢いはどんどん増していき、「夢の薬」、「画期的新薬」という言葉が駆け巡り騒然とする状況だったといいます。

  • (バイアグラを飲んでから)興奮しましたね、
    ペニスがしゃきっと立つのがわかりました。
    特殊というのではなかった。でも、すんなりいったんです。

    いつもより時間がかからなかったのかどうかはわからない。いつもより、自信が持てた。
    硬くなるかな、やれないんじゃないかな、という気がしなかった。
    「さあ、どうだ!」という気持ちでしたよ。

    (スタンフォード、六十五歳、白人、異性愛者、カウンセラー)
    (『バイアグラ時代』p97から)

  • バイアグラについてですが、あれは一つの病状のためのものであって、誰にでも効くわけではないでしょうね。
    ですが、正常以上になりたくてバイアグラを飲んだ健康な男性を知っています。

    (ローズマリー・バッソン、病院勤務の精神科医)
    (『バイアグラ時代』p99から)

こうして当時の生の声を例示すると、発売当初から高い評価のほどを伺い知ることができます。

日本国内での反応

バイアグラの高い評判は日本にもとどろき、個人輸入代行業者の手で多くの日本人男性の元に届くようになりました。

ところが誤った服用による死亡事例が発生したことから、医薬品の安全性を図るべく、行政から医療用医薬品として正規販売されるようになったのです。

異例のスピード審査を経て、アメリカでの発売のちょうど一年後、1999年3月に国内でも発売することになりました。

1999年という年は翌年が2000年ということで、ミレニアム問題で慌ただしかった年でした。
東京・秋葉原が家電の街からフーゾクの街に定着していった頃でもあります。

またアダルトビデオショップが軒を連ね、個室ビデオの全盛期でもありました。
風営法の改正でデリバリーヘルスという無店舗風俗サービスがはじまったのもこの年です。

この時点でのバイアグラは、風俗業界に広まった影響かED治療薬というよりも性行為を楽しむ道具という捉え方でした。

本来のED治療薬とは、性的興奮をあおる媚薬ではなく勃起不全の原因を体内から取り除く医薬品ですが、この時は「精力剤」として利用されていたのです。
その誤った認識が根強く、医薬品としての認知には時間がかかったことは間違いありません。

一方で、これに触発されて経口避妊薬の承認が1999年6月におり、正式に避妊目的の医薬品の販売が国内で始まります。これは認可申請を始めてから10年以上経ってからのことでした。

経口避妊薬の商品が先進国の中で唯一認められていない日本の、医療面での男女不均衡が如実に見て取れる事案です。

知名度No1であり続ける理由

現在では、バイアグラと聞いてどんな薬なのか、知らない人はいません。
ED治療薬を利用したことがない人にも、その名前はよく周知されています。

バイアグラは1998年に発売開始して程なく、世界中に知れ渡りました。

グローバル経済ですので日本でもバイアグラの存在が知られることとなり、その1年後に正式販売が開始されましたが、国内での発売を待てず個人輸入代行業者による通販を利用しバイアグラを入手してきた男性たちは少なくありません。

EDを痛みや時間を必要とせず改善できる革新的な薬として、バイアグラが夢の薬と言われる所以(ゆえん)がここにあります。

一方でバイアグラが追随を許さないほどの大きな存在感だったため、早くから見かけだけ似せた悪質な偽造品が流通しました。

現在では特許も切れ、国内外でバイアグラジェネリックが多く製造販売されています。例えばインド・アジャンタ社のカマグラ、インド・ランバキシー社のカベルタ、米・ザイダス社のペネグラ、インド・シグネチャーファーマのベガ、インド・シプラ社のシラグラなどのジェネリック医薬品はご存知の方も多いのではないでしょうか。

質の悪い偽造品になると人体に有害な成分が入った代物もあるため注意が必要ですが、それだけバイアグラの効果が強力で確かなものという証拠とも考えられます。

現在バイアグラは、後に続いたレビトラシアリスステンドラなど各種ED治療薬やジェネリック医薬品との市場での激しい競争をみせていますが、ED治療における処方実績では、やはりバイアグラが突出しています。

これだけシェアを取った背景は、先手必勝だったこと、商品力があったことなどさまざまな理由があげられますが、そういった開発レガシーを含めた巧みな営業戦略にあるのでしょう。

メディアを活用した広告宣伝手法から市場の創出まで、世界に類のない商品ですので、一から市場形成をおこない顧客獲得に動いたことから、多大な労力を払っていることが伺えます。

バイアグラがもたらしたED治療の改革

バイアグラが世に出たことによってレビトラシアリスステンドラ、ザイデナとED治療薬が次々と開発され、治療の選択肢がますます増えています。

薬種はいずれもPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬で、作用機序等その原理原則はバイアグラの域をでません。
バイアグラがそれだけEDの治療法に貢献した優れた医薬品ということを示していることがわかります。

これはバイアグラ現象となって社会に多大な影響を及ぼしたことからも見てとれるでしょう。
バイアグラの登場は従来の性概念を再構築するもので、治療が難しかった勃起不全に悩む男性にとって性行為が可能となる手段となったのです。

バイアグラは、いまや現代のED治療にはなくてはならない医薬品となっています。

参考文献

KEGG:バイアグラ
ファイザー社ホームページ

バイアグラ

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