「不妊」とは、妊娠を考えている健康な男女が、避妊せずに性交をしても1年間妊娠しない状態のことです。過去に罹患した病気や加齢が原因で妊娠しにくくなっている場合があり、早めに検査や治療に踏み切ることが得策となるでしょう。
不妊症の治療は、原因に応じて適切な治療法を選んで行います。原因が特定できれば、治療によって自然妊娠が可能になる場合があります。
ただし、原因が分からない場合には、排卵と受精の補助が必要です。薬物療法や手術療法などが挙げられますが、両者を併用する場合もあります。
不妊治療は、2022年4月から保険診療が可能になりました。ここでは、不妊治療薬のよくある質問について回答します。
不妊治療薬は、主に以下が挙げられます。
どのお薬も、不妊症を改善するために使用します。たとえば、体外受精や機能性不妊などの場合は、排卵障害がない人にも排卵誘発剤を使います。
参考文献:一般社団法人 日本生殖学会「Q9.排卵誘発薬にはどんな種類がありますか?」
不妊治療薬には副作用があります。
副作用の1つは「卵巣過剰刺激症候群」です。卵巣過剰刺激症候群になると、以下のような症状があらわれます。
上記のような症状があらわれた場合には、直ちに医師や薬剤師に連絡してください。
不妊の原因は女性側だけに限らず、男性側にあることも考えられます。男性の不妊原因としては、以下のものが挙げられます。
上記は喫煙や飲酒、ストレスなどが原因とされていますが、適切に対処することで改善される場合もあります。
日本生殖医学会が取りまとめた生殖医療ガイドラインなどを踏まえ、2022年4月より人工受精などの「一般不妊治療」や、体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」が保険適用の対象になりました。
生殖補助医療については、一連の基本的診療は全て保険適用となり、患者の状態に応じて追加で実施される治療のうち、先進医療に該当するものは保険診療と併用できます。
参考文献:厚生労働省「不妊治療に関する取組」
マレフェMTF | クロメン(クロミッド・ジェネリック) | プレモン | ムスリパワーエクストラ | エストロフェム | プレマリン | |
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区分 | ジェネリック | ジェネリック | ジェネリック | サプリメント | ジェネリック | 先発品 |
1錠あたりの価格 | 20円~ | 176円~ | 20円~ | 126円~ | 80円~ | 114円~ |
有効成分 | メドロキシプロゲステロン酢酸エステル | クロミフェン | 結合型エストロゲン | セーフムスリ、カピカッチュ(ハッショウマメ)など | エストラジオール | 結合型エストロゲン |
効果 | 月経周期異常の改善、無月経の改善の改善など | 排卵の誘発、卵胞の成長 | 更年期障害の改善、膣炎の改善、不妊治療など | ペニス増大、ED改善 | 更年期障害の改善、女性ホルモンの補充、骨粗しょう症の予防、不妊治療 | 更年期障害の改善、膣炎などの改善 |
製薬会社 | ロイドラボラトリーズ | コサックファーマ | ウエストコースト | クナナートファーマ | ノボ ノルディスク ファーマ | ファイザー |
上記の表にまとめた治療薬について、詳しく見ていきましょう。
マレフェMTFは、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルを有効成分とする経口黄体ホルモン剤で、プロベラの後発医薬品(ジェネリック)です。
黄体ホルモンを補充して、無月経や月経周期などを改善する作用があります。
また、女性ホルモンのバランスを整えるので、機能性子宮出血の改善や黄体機能不全などによる不妊症の治療、切迫流早産などに使用する場合もあります。
マレフェMTFは、ウエストコースト製薬が開発した経口黄体ホルモン剤で、プロベラのジェネリック医薬品です。
プロベラと同様、黄体ホルモンの不足が原因で起こる動悸やうつ状態に効果が期待されるため、更年期に起こる様々な障害を改善するために使用されます。
男性ホルモンであるアンドロゲンを抑制する働きもあるため、子宮からの機能性出血や月経異常に対して効果があります。
参考文献:日経メディカル「黄体ホルモン製剤の解説」
クロメン(クロミッド・ジェネリック)は、クロミフェンクエン酸塩を有効成分とする排卵誘発剤で、クロミッドの後発医薬品(ジェネリック)です。
排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発や生殖補助医療における調節卵巣刺激、乏精子症における精子形成の誘導などを目的に使用します。
クロメンは、コサックファーマが開発した排卵誘発剤で、クロミッドのジェネリック医薬品です。
排卵障害は、排卵までの過程で卵が発育しないことや育ってもうまく排卵できない状態です。 基礎体温で、排卵障害の大まかに把握できますし、生理不順が続く場合も可能性があります。
卵胞刺激ホルモンの分泌を増やして、卵胞の発育を促して排卵させる様にします。
参考文献:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 添付文書「クロミッド錠 50mg」(PDF)
プレモンは結合型エストロゲンを有効成分とするエストロゲン製剤で、プレマリンの後発医薬品(ジェネリック)です。エストロゲン(卵胞ホルモン)は女性ホルモンの1種で、生殖器官を維持する役割があります。
このお薬にはエストロゲンを補充して、ほてりや発汗などの更年期障害による症状を改善する効果があります。また、不妊症や卵巣欠落症状、膣炎(老人、小児および非特異性)や機能性子宮出血などにも有効です。
プレモンは、ウエストコースト製薬が開発した結合型エストロゲン製剤で、プレマリンのジェネリック医薬品です。
女性ホルモンのエストロゲンは妊娠や出産以外にも体内で様々なはたらきをしています。 卵巣の機能が徐々に低下してエストロゲンが放出されなくなると、顔のほてり・のぼせ・異常な発汗・疲れ・不眠などの症状があらわれます。
加齢や身体的ストレスで減少したエストロゲンを補充して、女性ホルモンの不足により引き起こされた症状を改善します。
参考文献:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 添付文書「プレマリン錠 0.625mg」(PDF)
ムスリパワーエクストラは、クナナートファーマ社が製造販売しているサプリメントです。
古代の健康科学やインドのアーユルヴェーダを参考に、自然植物から抽出された特別処方で作られた治療薬です。男性機能の強化、若返りなどの特徴を持つセーフムスリやカピカチュなどのハーブや薬用植物で作られています。
体調を整えて心身を安定させるので、男性にも女性にも良い効果があり、滋養強壮や性機能改善などの効果をもたらします。
ムスリパワーエクストラは、クナナートファーマ社が開発したサプリメントです。
インドアーユルヴェーダを基に数多くのハーブが性生活のストレスを軽減し、心身の状態を安定させます。
男性には勃起障害の改善効果、ペニス増大、性的欲求の増加、射精量の増加、精液の質改善、精子数の増加などの効果や女性の性交痛や不感症などに効果があり、パートナー同士でお試しいただけるサプリメントです。
エストロフェムは、エストラジオールを有効成分とするお薬です。主に、閉経後の女性や子宮を摘出した女性に使用され、エストロゲン量の減少に伴うほてりや骨粗しょう症の予防に繋がります。
女性ホルモンを補充する役割もあり、最近ではトランスジェンダーの方にも使用されています。
エストロフェムは、女性の更年期障害の改善や不妊症の治療、骨粗しょう症の予防などに用いられる女性ホルモン剤です。
女性ホルモンを補充するはたらきがあるため、MtFの方の女性化のためにも用いられています。 1日1錠服用するだけですが、作用が持続するようになっています。
プレマリンは、プレモンと同様に結合型エストロゲンを有効成分としている治療薬で、エストロゲンを補充する作用があります。
更年期障害による症状や不妊症、卵巣欠落症状や膣炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血などを改善します。
プレマリンは、ファイザー社が開発した結合型エストロゲン製剤です。
更年期障害前後で、女性ホルモンが少なくなることによって、心身に様々な症状があらわれます。 女性ホルモンとして主な働きをするのがエストロゲン(卵胞ホルモン)で、プレマリンは体内で活性型エストラジオールに変換され更年期障害などの症状を改善します。
参考文献:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 添付文書「プレマリン錠 0.625mg」(PDF)
ここでは、不妊治療を受ける場合の一般的な流れを、4つのステップに分けて解説します。
治療の流れを押さえて、スムーズに進められるようにしましょう。
不妊を疑った場合には、産婦人科(病院によっては男性は泌尿器科)などの医療機関を受診しましょう。不妊の原因は男女のどちらにもあり得るので、医師による問診後にそれぞれ以下の検査を受けます。
女性が受ける検査 | 男性が受ける検査 |
---|---|
・ホルモン検査 ・超音波検査 ・卵管造影検査 |
・精液検査 |
医師による問診で原因が特定できる場合には、より専門的な検査を行う場合があります。
不妊の原因が特定できた場合、治療によって自然妊娠を期待できる場合があり、原因が分からない場合にも排卵や受精を補助する治療を行います。
加齢によって女性は妊娠する力、男性は妊娠させる力(生殖能力)が低下します。女性の生殖能力は30歳を過ぎる頃から低下し、35歳を超えると低下が顕著になるケースがほとんどです。原因として、子宮内膜症などの合併症の増加と卵子の質の低下などが挙げられます。
男性の生殖能力が低下するのは35歳頃です。治療方針を決定する際には、年齢も考慮します。
不妊治療を始めて排卵と受精を補助する際には、以下のように進めます。
1つの方法を数周期試しても妊娠しない場合、次の治療法にステップアップします。
体外受精の場合、精子と卵子が自然に受精しない時などは、細い針で精子を卵子の中に注入する「顕微授精」という方法をとるケースがあります。
原因にもよりますが、どの治療法を実施しても妊娠できないことがあります。元々、妊娠は年齢とも関係しているため、ある程度の年齢になったら母体への影響や胎児へのリスクも考慮し、妊娠を諦めることも視野に入れる必要があります。
治療薬の服用以外にも、さまざまな不妊治療の方法があります。人工授精などの一般不妊治療や、体外受精などの補助生殖技術に加え、手術療法も効果的な場合があります。
ここからは、不妊治療薬を服用する以外の不妊治療について見ていきましょう。
人工授精と体外受精は、方法や妊娠率などにおいて大きな違いがあります。
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
人工授精とは、卵子と精子が受精する卵管に必要十分な精子を届けるために、子宮腔内に精子を注入して不妊を治療する方法です。運動率が悪いなど、精子に問題があって妊娠しない場合などに使用します。
採取した精液から運動率の良い成熟精子を洗浄・回収し、排卵時期に合うように細いチューブを使って子宮内に注入します。
参考文献:一般社団法人日本生殖医学会 「Q10.人工授精とはどういう治療ですか?」
体外受精とは、排卵直前に手術で取り出した卵子を体外で精子と受精させる不妊治療です。
一般的に、2〜5日間ほど体外で培養してから、細胞分裂が順調で良好に発育した胚を選び、膣から子宮内に移植します。体外培養をするのは、妊娠率がより高くなることが理由です。
体外受精で出生した子どもは全世界で800万人超ともいわれています。初期の体外受精による出生児も多くが成人となり、彼らは体外受精なしで自分の子どもを得ていることが報告されています。
参考文献:一般社団法人日本生殖医学会 「Q12.体外受精とはどんな治療ですか?」
手術療法は、検査にも治療にも使用されます。腹腔鏡検査で卵管周囲の癒着や子宮内膜症などの疾患が見つかった場合には、検査と同時に治療できます。
子宮鏡手術では、妊娠の邪魔になる子宮内のポリープや子宮筋腫の切除が可能です。卵管鏡手術では、閉塞している卵管にチューブを通して開通し、自然妊娠の可能性を高めます。
参考文献:一般社団法人日本生殖医学会 「Q8.不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?」
ここでは、実際に不妊治療薬を使用した人の口コミをアイテムごとにまとめました。
順番にいくつか紹介していきます。
マレフェMTFの口コミとして、以下が見受けられました。
クロメン(クロミッド・ジェネリック)の口コミとして、以下が見受けられました。
プレモンの口コミとして、以下が見受けられました。
ムスリパワーエクストラの口コミとして、以下が見受けられました。
エストロフェムの口コミとして、以下が見受けられました。
プレマリンの口コミとして、以下が見受けられました。