プロトピック軟膏の有効成分タクロリムスについて
プロトピック軟膏はタクロリムスを有効成分に配合したアトピー性皮膚炎治療薬です。プロトピック軟膏の有効成分について解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

プロトピック軟膏は免疫阻害薬の一種で、有効成分としてタクロリムスを配合しています。
タクロリムスは細胞内のカルシニューリンを阻害して免疫の過剰な働きを抑制し、アトピー性皮膚炎にともなう症状を緩和する点が特徴です。
本記事では、プロトピック軟膏の有効成分であるタクロリムスについて解説します。
目次
タクロリムスについて

タクロリムスの作用について解説する前に、どのような有効成分なのか知っておきましょう。
免疫抑制薬に用いられる成分の1つ
タクロリムスは免疫抑制薬に用いられる成分の1つです。もともとは臓器移植や骨髄移植にともなう拒絶反応を抑制する目的で用いられていました。
現在では関節リウマチの治療薬として用いられているほか、外用薬としてアトピー性皮膚炎の治療にも利用されています。
特徴
タクロリムスの特徴は細胞内のカルシニューリンを阻害し、ヘルパーT細胞のはたらきが活発化するのを抑制する点です。
ヘルパーT細胞が過剰にはたらくと炎症の原因となるサイトカインが放出されやすくなり、アトピー性皮膚炎の発症を促進します。
タクロリムスのはたらきで炎症を引き起こすサイトカインの放出が抑止されると、アトピー性皮膚炎にともなうかゆみや赤みの緩和が期待できます。
タクロリムスは非ステロイド性の免疫抑制薬のため、ステロイド製剤に見られる皮膚の菲薄化(薄くなる)リスクが低い点も特徴です。
歴史
タクロリムスの歴史は比較的新しく、1984年に茨城県つくば市の土壌から発見されました。
1993年に免疫抑制剤として世界に先駆けて日本で販売が開始され、1999年に入りアトピー性皮膚炎治療薬のプロトピック軟膏が開発されました。
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タクロリムスの作用

タクロリムスには主に以下5つの作用が期待できます。
それぞれについて詳しく解説します。
サイトカインの産生を抑制
タクロリムスには細胞内のカルシニューリンのはたらきを阻害し、ヘルパーT細胞からのサイトカインの産生を抑制する作用があります。
サイトカインによりアトピー性皮膚炎にともなう炎症が引き起こされるため、タクロリムスのはたらきでかゆみや赤みなどの症状を緩和する効果が得られます。
肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制
タクロリムスには、抗IgE抗体刺激により、ヒト肥満細胞からのヒスタミン遊離を阻害する作用があります。
ヒスタミンの遊離が阻害されると、アトピー性皮膚炎特有のかゆみなどの症状を緩和する効果が期待できます。ヒスタミン遊離を阻害する作用に関してはステロイドよりも強力です。
好酸球からの塩基性蛋白の遊離を抑制
タクロリムスには、ヒト好酸球からの塩基性蛋白(ECP)の遊離を抑制する作用もあります。
塩基性蛋白の遊離が抑制されることで、細胞が傷害されるのを抑止する効果が期待できます。
タクロリムスによる塩基性蛋白の遊離抑制作用はステロイドよりも強力です。
抗原提示能を抑制
ヒト皮膚ランゲルハンス細胞をタクロリムスで前処理したところ、混合リンパ球反応を抑制する作用が確認されました。
リンパ球の反応を抑えることで、アトピー性皮膚炎にともなう炎症を緩和する効果が期待できます。
アレルギー反応を抑制
アトピー性皮膚炎様症状を呈するマウスを用いた実験において、タクロリムスの投与がアレルギー反応を抑制すると分かりました。
特に遅延型アレルギー反応を強く抑制すると分かっており、アトピー性皮膚炎に対しても効果が期待できます。
まとめ

プロトピック軟膏の有効成分であるタクロリムスには、T細胞の働きが活発化するのを抑制し、アトピー性皮膚炎にともなう炎症を鎮める効果が期待できます。
非ステロイド性の免疫抑制薬のため、ステロイド製剤に見られる皮膚の菲薄化リスクが低い点もメリットの1つです。
今回の記事を参考に用法用量を守ってプロトピック軟膏を使用し、アトピー性皮膚炎の改善にお役立てください。
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