マーベロンの臨床試験データと低用量ピルの研究データから読み解くメリット・デメリット
マーベロンは避妊効果のある低用量ピルです。この記事では臨床試験データや研究データからマーベロンのメリットやデメリットに関して解説しています。
お薬通販部スタッフ[監修]

低用量ピルは、手軽で確実な避妊方法として多くの女性に選ばれています。
しかし、服用を中止した後の妊娠率や血栓症など、気になる情報も少なくありません。
この記事では、マーベロンの臨床試験成績と低用量ピルに関する研究に基づき、メリットとデメリットを徹底解説します。
マーベロンを正しく理解して、正しく利用しましょう。
目次
マーベロンの避妊効果に関する臨床試験データ

飲み忘れを含めた「一般的な使用」では、妊娠率は9%とコンドームやリズム法に比べ高い避妊効果を示しました。
さらに、正しく服用を続けた「理想的な使用」の妊娠率は0.3%で、99%以上の高い避妊効果が得られます。
方法 | 理想的な使用[1](%) | 一般的な使用[2](%) |
経口避妊剤 | 0.3 | 9 |
レボノルゲストレル放出IUS | 0.2 | 0.2 |
銅付加IUD | 0.6 | 0.8 |
コンドーム | 2 | 18 |
リズム法 | 0.4〜5 | 24 |
女性避妊手術 | 0.5 | 0.5 |
男性避妊手術 | 0.1 | 0.15 |
避妊せず | 85 | 85 |
IUS:子宮内システム IUD:子宮内避妊用具 | ||
[1]:選んだ避妊法を正しく続けて使用しているにもかかわらず妊娠してしまった場合 | ||
[2]:選んだ避妊法を使用しているにもかかわらず妊娠してしまった場合(経口避妊剤については、飲み忘れを含めた場合の失敗率) |
マーベロン服用中止後の妊娠率

低用量ピル服用中止後の、初産婦及び経産婦の妊娠率は 81〜90 %です。
一方、低用量ピルを服用していない夫婦の不妊症率が 8.4〜10.1 %であり、低用量ピルを服用していない夫婦の妊娠率も90%程度であると言えます。
このことから、低用量ピルは妊娠機能への影響は少ないと考えられています。
マーベロンを服用するメリットとは

卵巣がんのリスク減少に関するデータ
低用量ピルの服用者は非服用者に比べ、卵巣がんのリスクは減少します。
また、予防効果も認められ、服用期間に比例してリスクは減少方向に変化すると報告されています。
表は、非服用者を1とした場合の相対リスクです。
服用期間 | |
3~6ヶ月 | 0.6 |
7~11ヶ月 | 0.7 |
1~2年 | 0.7 |
3~4年 | 0.6 |
5~9年 | 0.4 |
10年以上 | 0.2 |
子宮体がんのリスク減少に関するデータ
低用量ピルの服用者は非服用者に比べ、子宮体がんのリスクは1年以上服用すると減少し、予防効果が認められると報告されています。
また、低用量ピル服用中止後、この予防効果は15年以上持続したとの報告もあります。
表は非服用者を1とした場合の相対リスクです。
服用期間 | |
3~6ヶ月 | 0.9 |
7~11ヶ月 | 1.3 |
12~23ヶ月 | 0.7 |
24~71ヶ月 | 0.4 |
72~119ヶ月 | 0.4 |
120ヶ月以上 | 0.4 |
月経関連の副効果に関するデータ

低用量ピル服用者は非服用者と比べて、月経不順、月経過多などの月経異常が少なく、月経困難症の発生も少ないという報告があります。
表は、非服用者を1とした場合のオッズ比です。
月経過多 | 0.52 |
月経困難症 | 0.37 |
月経不順 | 0.65 |
中間出血 | 0.72 |
マーベロンを服用するリスクとは

心血管系のリスク増加に関するデータ
心血管系のリスクに関するデータは、以下の通りです。
静脈血栓塞栓症
低用量ピルを服用している女性は低用量ピルを服用していない女性と比較すると、静脈血栓塞栓症を発症する頻度が高まります。
非服用者と現服用者の比較 | オッズ比 |
欧州 | 3.53 |
発展途上国 | 3.25 |
(分類なし) | 4 |
虚血性脳卒中
低用量ピルを服用している女性は低用量ピルを服用していない女性と比較すると、虚血性脳卒中を発症する頻度が高いことが示されています。
非服用者と現服用者の比較 | オッズ比 |
欧州 | 2.99 |
発展途上国 | 2.93 |
出血性脳卒中
低用量ピルを服用している女性は低用量ピルを服用していない女性と比較すると、出血性脳卒中を発症する頻度が高いです。
非服用者と現服用者の比較 | オッズ比 |
欧州 | 1.38 |
発展途上国 | 1.76 |
心筋梗塞
低用量ピルを服用している女性は低用量ピルを服用していない女性と比較すると、心筋梗塞を発症する頻度が高い傾向にあります。
非服用者と現服用者の比較 | オッズ比 |
欧州 | 5.01 |
発展途上国 | 4.78 |
(分類なし) | 2.26 |
乳がんのリスク増加に関するデータ
低用量ピルを服用している女性は低用量ピルを服用していない女性と比較すると、乳がんを発症する頻度が高いと示されています。
一方で、服用を中止すると、リスクは徐々に低下し、10年以上経過すると有意な差がみられなくなります。
表は、非服用者を1とした場合の相対リスクです。
服用中 | 1.24 |
服用中止後 1-4年 | 1.16 |
服用中止後 5-9年 | 1.07 |
服用中止後 10年以降 | 1.01 |
子宮頸がんのリスク増加に関するデータ
長期間低用量ピルの服用により、子宮頸がんを発症する頻度が高まります。
なお、子宮頸がん発症リスクの最も強い因子は、ヒトパピローマウィルス感染です。
表は、非服用者を1とした場合の相対リスクです。
服用期間 | |
5ヵ月以下 | 0.99 |
6 ~ 12ヵ月 | 1.24 |
13 ~ 24ヵ月 | 1.14 |
25 ~ 36ヵ月 | 1.18 |
37 ~ 60ヵ月 | 1.39 |
61 ~ 96ヵ月 | 1.51 |
97ヵ月以上 | 2.23 |
マーベロンを始めとする低用量ピルの試験データまとめ

マーベロンの臨床試験を始め、低用量ピルのさまざまな試験データをみてきました。
マーベロンは99%以上の確かな避妊効果が得られる一方で、服用中止後の妊娠率は非服用者と変わりません。
また、卵巣がんや子宮体がんのリスクを低減するデータもありますが、副作用による血栓症や乳がん、子宮頸がんのリスクには注意が必要です。
定期的な検診により、これらのリスクを早期に発見し、適切な対処を心がけましょう。
マーベロンの作用を正しく理解し、体に起こる変化を知っておくことで、マーベロンのメリットを最大限に受けられるでしょう。
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