淋病は性感染症(STD)の一種で、淋菌という病原菌に感染すると発症します。
ペニスやヴァギナなどの生殖器を中心に強い炎症を起こします。ただし、女性は男性に比べると発病しても症状が出にくく、知らないうちにパートナーに感染させてしまうことが多い病気です。
男性は尿道に強い炎症を起こし、排尿痛やペニスの先端から膿が出る、38度以上の高熱を出すなど深刻な症状を起こしやすいといわれています。
感染者の年齢層をみると20代が最も多く、性行為に対してまだ免疫ができていない年齢ほど発症しやすい傾向があります。
またSTDは同時に複数の性感染症に罹患することも多く、全淋病患者のおよそ30%がクラミジア感染症を合併します。
淋病は性感染症なので、淋菌に感染している人と性行為をおこなうと接触感染します。この場合の性行為とはセックスだけでなくオーラルセックスやアナルセックスも含んでいます。
特にオーラルセックスでは口内炎を起こし、生殖器と口腔内の両方に炎症症状を起こすことになります。
感染力が強く、汚染されたタオルや入浴施設の椅子などからも感染することがあります。
ただし、淋菌自体は高温にも低温にも弱く人間の通常生活環境内ではほとんど生存できないということがわかっているので、日常生活の中で感染する「日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)」とは区別されています。
日和見感染症の中で口腔内淋病と誤認されやすいのが口腔ヘルペスと口腔カンジダ症です。
いずれも見た目には区別をつけにくい症状(口内炎)を起こすのですが、病原菌の種類が違うので、識別診断をするためにも心当たりのある場合は医療機関を受診するか自宅検査キットを用いるなどして、 他人との接触は極力控えるようにしてください。
特に女性は生殖器よりも口腔内や子宮内に自覚症状を起こしやすい病気です。 単なる口内炎や生理不順による下腹部痛と誤解しやすいので、異常を感じた場合は自己判断で片付けないようにします。
淋病の最大の感染経路は、性行為や性交類似行為(オーラルセックスやアナルセックス、キスなど)です。
感染部位の粘膜が直接触れることや分泌物との接触により人から人へと感染していきます。このため感染している膣粘膜、口腔粘膜、直腸粘膜に直接触れることが淋病感染の最大のリスクとなります。
粘膜や分泌液が媒介となって感染が拡大していくため、母体が感染していると新生児への垂直感染(産道感染または母子感染)を起こすこともあります。
出産後も新生児にキスをしたり、指を舐めたりすることでも感染が拡大することがあるので、妊娠出産時には検査キットなどを活用することをおすすめします。
膣性交とは今では広義に解釈され、オーラルセックスやクンニ、アナルセックス、素股まで含まれていますが、本来は異性間で交わされる生殖器同士の接触行為のことで、ヴァギナにペニスを挿入することを意味しています。
いずれの場合でも淋病が感染する可能性がありますが、最も感染しやすいのは膣性交といわれています。
女性は男性よりも淋病の自覚症状が弱いため、無自覚のうちにパートナーに感染させてしまうことがあり、男性から女性よりも女性から男性への感染ルートの方に可能性が高いと指摘されています。
膣性交の感染ルートは感染した膣粘膜から男性の尿道粘膜へと感染することで、男性は感染から2〜7日程度で強い尿道炎を起こします。 またパートナー間で感染を繰り返すことを相互感染、一般的にピンポン感染といいます。
オーラルセックスとはいわゆるフェラチオ(ペニスをしゃぶる行為)のことを意味していましたが、現代ではクンニ(ヴァギナやアナルを舐める行為)も含めるのが一般的です。
オーラルセックスで淋病が感染するルートには、口腔内粘膜に感染している淋菌が生殖器に感染する場合とその逆のパターンがあります。
男性側はいったん淋病に掛かるとペニスに強い自覚症状を感じるため、治療が早く確実なので男性側から女性側への感染割合は少ないのですが、クンニやアナル舐めから口腔内感染することは十分に考えられます。
ただし、オーラルセックスの大半はフェラチオで、この場合は治療が早い男性側から女性への感染はあまり多くありませんので、オーラルセックスからの淋病感染はあまり数が多いわけではありません。
男性同性愛者の間で多いのがアナルセックスです。アナルセックスでは淋病以外にもHIV感染症や梅毒などさまざまな性感染症に罹患するリスクが高まります。
こちらもオーラルセックス同様に直腸粘膜に感染した淋菌がペニスや口腔内粘膜に感染するという感染ルートになります。
アナルセックス自体がアブノーマルな行為と思われがちですが、男性の場合前立腺を直接刺戟することで快感が増し、性ホルモンが活発に分泌されることで前立腺肥大や前立腺がん、うつ傾向の予防と改善になります。
ですからアナルセックスを拒否するよりもしっかりと予防するようにしてください。 アナルセックスの場合は、直接粘膜に触れなければ感染リスクを下げることが可能です。
妊婦が淋病に感染していた場合、出産時に新生児にも淋病が感染するリスクがあります。 これを母子感染、または垂直感染あるいは産道感染とます。
淋病の原因菌である淋菌は、膣内粘膜に感染していることが多いので、まだ免疫力が不十分な新生児が産道を通ってくるときに淋菌に感染してしまうケースです。
新生児が淋病に感染した際に最も注意しなければないことは眼球粘膜に感染して、強い炎症を起こし、最悪の場合は失明に至るというケースです。
人の赤ちゃんは生まれてから目が開くまでに時間がかかるため、発見が遅れると失明率は上昇します。
さらにごく稀なケースですが、新生児淋病が進行すると淋菌が血流にのって全身に広がり、菌血症や敗血症を起こし命に危険がおよぶこともあります。
淋病の症状は男性と女性で異なります。
自覚症状が強く出るのは男性側で、一番代表的な症状が重度の尿道炎です。
一方の女性は下腹部に違和感や不正出血やおりものが多く見られるものの、痛みがそれほど強くないので体調不良やストレスからくる生理不順と混同しやすく、自覚症状が自然消滅していくとそのまま放置され、性行為によって感染が拡大していく病気です。
このため男性から女性への感染よりも女性から男性への感染の方が多いといわれています。
淋病を確定するためには、男性の場合はペニスから膿が出てくるので目視もできますが、女性の場合は膣分泌液を顕微鏡で観察し、培養同定検査をおこなうなど少し時間がかかる検査がおこなわれます。
男性の淋病は特に尿道に強い炎症を起こすのが特徴的です。
女性に比べると尿道に症状が出やすいのは、膣性交によって感染するケースが最も多いからです。また一度発症したら自然治癒することはほとんどなく自覚症状がどんどんひどくなっていきます。
尿道炎の症状として特徴的なのが、排尿時痛、血尿、尿道排膿、排尿困難、尿道掻痒感、発熱、悪心(気分が悪くなること)です。
淋病を長期間放置していると尿道が狭くなる「尿道狭窄」を起こし、排尿困難から尿崩症や腎機能障害、さらに進行すると慢性腎炎を合併することがあります。
また、高熱によって精巣や前立腺の機能が低下し、無精子症、男性不妊症、性欲減退、前立腺肥大症などの泌尿器系の疾患や、抑うつ状態、不眠症、うつ状態などの精神疾患を合併することがあります。
抗生物質の投与でほとんど完治しますが、治療が遅れると完治後も排尿しづらくなる排尿障害が残ることがあります。
性行為後に排尿時痛や亀頭から膿が出てきたらただちに泌尿器科を受診して治療をおこなってください。最悪の場合菌血症などで命に危険がおよぶ可能性もあります。
女性の淋病は男性ほど強い自覚症状が出ない場合が多く、放置して感染を拡大させてしまう可能性があります。
症状は下腹部痛、不正出血、おりものの増加、生理不順など、ストレスからくる生理周期の障害と勘違いしやすく、自覚症状も強くなったり弱くなったりを繰り返します。
男性と同様に放置していて治るものではありません。産婦人科でしっかりとした治療を受けることが重要です。
また女性の場合、オーラルセックスを求められて口腔内感染を起こすケースが男性よりも多くなります。この場合は口内炎が広範囲で起こります。
ヘルペスやカンジダ症と症状がよく似ていますが、いずれも性感染症なので放置しないでしっかりと治すようにしてください。
女性の場合は、強い自覚症状ではないので検査キットなどを活用して淋菌の存在が確定できてからの治療でも良いのですが、検査結果が出て治療が済むまでは性行為をしないようにしてください。
放置していると直腸感染(出血、排便時痛、下痢や便秘など)、発熱、腹部痛、外陰部や下腹部の強い痛みなどを覚えるようになります。
淋病は性感染症(STD)の一種なので主な感染場所は生殖器です。 しかし、男女で生殖器の構造は変わってきますし、一口に生殖器といっても複雑な作りをしています。
さらに、行為によっては生殖器以外のところにも感染してしまうので、ここからは淋菌(淋病の原因菌)がどこに感染するのかを詳しく説明していきたいと思います。
淋菌の潜伏期間は2〜9日間ほどで感染部位には自覚症状が強く出ますが、治療をおこなわずにいて自然治癒することはありません。
場合によっては、淋菌の毒が血流にのって全身に回る菌血症や細菌性脳炎、髄膜炎などを合併し、危険な状態になることもあります。
子宮頸管とは子宮の下側、膣との接点にあたる部位です。 女性の淋病は、子宮頚管に感染するケースが最も多いといわれています。
子宮頸管に感染した淋病のことを淋菌性子宮頸管炎や膣炎とます。女性の生殖器なので、女性特有の淋病ということになります。
性交渉をするすべての女性がこの病気にかかるリスクがありますが、特に不特定多数の男性を相手にした場合、感染リスクは飛躍的に高まります。 このため淋病の予防にはコンドームの使用が推奨されています。
日本国内のSTD発生件数ではクラミジアについで多く発見されています。 妊婦が淋菌性子宮頸管炎に感染した場合は、胎児や新生児にも感染させるリスクが高くなります。
子宮は子宮頚管の奥に広がる女性器官で、受精後は胎児を育てる重要なところです。
通常はおりものによって、無菌に近い状態が維持されています。 しかし、子宮頸管に感染した淋菌を放置していると次第に広がっていき子宮にまで浸潤してくる可能性があります。
淋菌性子宮頸管炎の場合は強い自覚症状がありませんが、子宮に浸潤してきた淋病は重症化しやすく、腹痛、不正出血、違和感、おりものの増量、高熱、悪心嘔吐などが起こります。
また、子宮から腸へとさらに感染が拡大すると癒着を起こし、細菌性イレウス(腸閉塞)を起こし手術が必要になるケースや治療後に子宮の機能が低下し、不妊症を起こす危険性があります。
淋菌性子宮頸管炎の初期症状の段階で、しっかりと抗生物質治療を受けていれば、子宮内部まで感染が広がることはごく稀なケースに止まります。
卵管とは卵巣で作られた卵子を取り込み、受精した卵子を子宮へと運ぶ細い管のことです。 非常に繊細で重要な役割を持つ臓器なので、この部位に感染した場合は不妊症や重症度の高い生理不順などを起こしやすくなります。
卵管の直径は細いところで1mm程度しかありません。病原菌は粘膜組織に付着するとそこで炎症を起こし組織が腫脹します。
このため細い卵管に炎症が起こると、卵子が卵管を通り抜けられなくなったり、精子が卵子まで到達できなかったりするため、かなり高い確率で不妊症を起こします。
通常子宮頸管から奥の女性生殖器は、おりものによって不純物や病原菌が洗い流され、清潔に保たれています。
その状況から、おりものの量が増える、色や臭いが強くなるといった時には女性の生殖器に感染を起こしている可能性が考えられます。
性行為で感染する淋菌が尿道にとりつくのは主に男性です。したがって淋菌性尿道炎は男性側に多い淋病ということになります。
尿道炎を起こすと、排尿困難、排尿時痛、残尿感、亀頭から連続して膿が出るなどの強い自覚症状を覚えます。
淋病はクラミジアに次いで多い性感染症といわれていますので、このような強い自覚症状を尿道に覚えた場合は、淋病を疑って泌尿器科で治療を受けてください。
淋菌の潜伏期間は2〜9日のため、1週間ぐらい遡って性行為をした相手がいれば、その人から感染した可能性が高いので、情報を共有して一緒に治療を受けるようにしましょう。 女性よりは男性の方が発見しやすい病気です。
オーラルセックスやクンニをすると口腔内にも淋菌が感染します。
口腔とは口のなか全体のことで、淋菌が感染すると高い頻度で口内炎を起こします。 感染源は尿道分泌液や精子、膣分泌液などになります。
広範囲に感染を起こしやすい場所のため、注意が必要ですが、淋菌は温度変化に弱い性質があるので通常は食事で熱いものや冷たいものを飲み胃に流し込むとほぼ死滅するといわれています。
ただし、オーラルセックスの後2日以上経過して複数箇所の口内炎が出た場合は口腔内淋病の可能性があります。
口腔粘膜は綿棒ですぐに組織採取ができるので、家庭用の検査キットなどで診断を受けるようにすることも有効な手段です。 この場合、検査結果が出るまでの間は極力他者との接触を避けてください。
咽頭とは喉と口の接点の部分です。
先にも説明した通り、淋菌は熱や温度変化に弱いので、通常は口のなかに入り込んできても口腔内感染で済むのですが、イラマチオのように喉の奥の方までペニスを咥える行為をすると咽頭にも感染を起こす場合があります。
咽頭炎を起こすと喉が腫れ痛みを感じ、痰の量が増え濃い色が付くようになります。風邪やインフルエンザ、花粉症、喘息発作の症状と似ているので注意してください。
市販の風邪薬には抗生物質が含まれていませんが、うがい薬などを使うと殺菌できることもあります。
ただし、咽頭部までしっかりとうがいすることは大変なのでまずは耳鼻咽喉科を受診して病原菌の特定をしてもらいましょう。
オーラルセックスが感染ルートなので男性から女性、または男性同性愛者の間の感染リスクが高い病態です。
淋菌が目の粘膜に感染すると、強い炎症症状を起こします。場合によっては失明することもあるので十分な注意が必要です。
目の淋病で特に注意が必要なのは母子感染です。妊婦が感染した状態で出産をすると産道で赤ちゃんに感染してしまいます。
新生児はまだ免疫力が不完全で淋菌を自力で駆除できません。この時目に感染すると失明するリスクが高くなってしまいます。
また行為中に精子や膣分泌液、尿などが顔にかかってしまう、あるいは口腔内感染を起こしている人から愛撫の時に目の付近にキスをされるなどの行為で淋菌性結膜炎を起こす危険性もあります。
万が一行為中に相手の体液が目に入ってしまった場合はすぐに流水で洗い流し、念のために眼科を受診してください。2〜3日後に目やにが増えたりゴロゴロした感覚が出てきたりした場合は要注意です。
肛門から直腸にかけて淋菌に感染しやすいのはアナルセックスの頻度が高い愛好者や男性同性愛者です。
アナルセックスは直腸粘膜や肛門部に細かい傷がつきやすく、淋菌が感染すると悪化しやすい部位なので、アナルセックスをする時は必ずコンドームをして淋病や梅毒、HIV感染症などの性感染症予防をおこないましょう。
また、行為後はすぐに温水便座などで肛門を洗浄し、殺菌作用がある痔の治療薬を塗るとかなりの頻度で予防できます。
ただし、痛みや出血はアナルセックスによる切れ痔と混同しやすいので、感染を放置しないようにすることが重要です。
特に男性同性愛者は定期的に肛門科や一般内科を受診するか家庭用の検査キットを活用して、性感染症にかかっていないかどうかを確認するようにしてください。
淋病の潜伏期間は感染する場所によっても異なりますが、2日〜10日以内で発症するケースがほとんどです。
淋病の原因菌である淋菌は「ナイセリア属」という病原体の一種で、細胞に核を持たないウィルスとは別の病原体です。
本来は口腔内に感染するケースが一番多いのですが、感染力は強くても生命力の弱い病原菌で熱や温度変化に弱く、飲食物の熱や胃に落ちた後の胃液でほとんどが死滅してしまい、口腔から咽頭にかけて感染しても発症するケースはあまり多くありません。
淋病は梅毒と並んで人類最古の性病といわれているぐらい古い性感染症です。 そして淋病と人類の戦いは抗生物質の歴史と一致するといわれています。
新しい抗生物質ができると淋菌は絶滅するといわれ続けてきましたが、その度にその抗生物質に耐性を持つ新種の淋菌が誕生するというイタチごっこを繰り返しています。
たとえば、性器内にいた淋菌がオーラルセックスで口腔内に移動して、口腔内の毒性の弱い淋菌と交わることで、簡単に抗生物質に対する耐性遺伝子を譲渡されるということです。
このように、常に病原菌は進化し続けているため、近い将来もっと長い潜伏期間を持つ新種の淋菌が発見されるかもしれません。
人類と淋病の戦いはそのまま抗生物質の歴史であるといわれています。この説からもわかるように淋病には抗生物質の投与が高い治療効果を示します。
しかし、常に新種の耐性菌が誕生している可能性があることと、投与された抗生物質を症状が治まったからといって飲みきらずに中断することで、耐性菌ができてしまうことなどもあり、なかなか淋病根絶にまでは至っていません。
今でも淋病治療の中心は抗生物質の投与ですが、淋菌にも幾つかのタイプが存在するので医療機関を受診したり、家庭用性感染症セルフキットで検査を受けたり、淋菌の種類を特定することが最適な治療のためには重要です。
淋病の検査は病院やクリニックなどの医療機関または家庭用検査キットを使って調べられます。
医療機関を受診する場合、男性は泌尿器科、女性は婦人科、口腔や咽頭への感染は口腔外科や耳鼻咽喉科、肛門の場合は肛門科や皮膚科になりますが、性病科を標榜している医療機関があればそちらで検査することが可能です。
検査に用いる検体は尿、膣ぬぐい液、うがい液、直腸粘膜採取など感染した部位によって異なります。
潜伏期間が比較的短い病原菌なので、性行為後翌日や翌々日に検体を採取すれば感染の有無がわかります。
淋菌の種類を厳密に特定するための細菌培養同定検査には数日を要しますが、淋菌の存在だけならその日のうちに判定し、抗生物質の投与を始められます。
男性の場合、ペニスに強い自覚症状がでるので、目視や触診でも診断できます。
家庭用の性感染症検査キットの場合はキットが送られてくる日数と返送する日数、検査に要する日数を考えると5日〜14日ほど要する場合があります。
自覚症状がある場合医療機関では保険診療ですが、自宅用の検査キットは保険適用外の実費で13,000円前後かかります。 ただし、検査項目数によって費用が変わりますので、目安としてください。
淋菌の存在を確かめられたら、具体的な治療に入ります。この時は病院で治療を受けるようにしてください。
治療は、抗生物質の注射が主流です。 また注射後には投薬で淋菌の消失を待ちます。淋菌はほぼ全ての抗生物質に反応しますが、耐性種も多いので複数の淋菌が混在している場合は、途中で抗生物質が変わることもあります。
淋病治療は抗生物質の血中濃度依存で効果が変わってきます。 抗生物質の血中濃度を低濃度で長期間維持するよりも短期間でもいいので一気に血中濃度を上げることで即効性がありより高い治療効果を発揮します。
淋病とよく似た症状を起こす性感染症にクラミジアがありますが、こちらの場合は抗生物質の時間的依存効果によって治療効果を上げられるので、飲み薬による抗生物質投与がメインとなります。
このように素人目には区別がつかない性感染症でも、病原菌が異なると治療方法がかわってくるので識別検査が非常に重要なのです。
一般的な淋病の治療計画では特定後すぐに抗生物質を筋肉注射し、同時に抗生物質の経口投与を4日間連続でおこない、その後再診時に再度淋病検査をして消失していれば治療終了、まだ残存菌がいれば注射を追加して抗生物質の処方がおこなわれます。
淋病は感染症なので必ず感染源が存在します。性感染症の場合はパートナーです。
万が一、パートナー以外の人との性行為で感染したとしても、あなたが感染源になってパートナーに感染させている可能性があるので、必ずパートナーと一緒に治療を受けてください。
性器への感染の場合は男性と女性とで診療科が異なるので、パートナーの治療の経過にも注意を払う必要があります。
よく「治療をちゃんと受けたのによくならない」とか「薬を中止したら症状がぶり返した」という話を聞きますが、この場合は、パートナーの治療が不十分で再発を起こしていることが考えられます。
このようにパートナー間で感染を繰り返すことをピンポン感染といいます。
パートナーが医療機関を受診しても検査で陰性だった場合は、治療されずに帰宅する場合があります。
特に淋病は初期治療が非常に重要なので、もしパートナーが診察を拒否した場合は、一度医療機関に連絡をして同伴受診が可能か確かめてください。
一概にはいえませんが、大学病院では淋病治療に対して適切な治療をおこなわないケースが多いという報告もあります。できれば、町医者で診察してもらうのが良いでしょう。
性感染症は非常にデリケートな問題を含んでいますが、感染を拡大させないためにはパートナーにしっかりと事情を説明して、理解をしてもらい積極的に治療を受けてもらうことが大切です。
淋病は抗生物質によく反応するため、治療の第一選択肢は抗生物質の投与になります。
しかも、短時間で大量の抗生物質を投与して抗生物質の血中濃度を上げることで治療効果が高くなり耐性菌ができにくいため、淋菌感染が発覚したら、ただちに抗生物質を筋肉注射か点滴で投与します。
飲み薬では淋菌への作用が遅れて耐性菌ができる可能性が高いので、家庭用検査キットで淋菌感染と判定された場合は、医療機関を受診して抗生物質投与を受けるようにしてください。
治療では、代表的な抗生物質であるペニシリン系、セフェム系、マクロライド系のいずれかが用いられますが、最も作用する病原菌の種類が多いセフェム系で治療するのが第一選択肢です。
ペニシリンは人類が初めて開発した抗生物質です。
ブドウ球菌属、連鎖球菌属、肺炎球菌、淋菌、髄膜炎菌、ジフテリア菌、炭疽菌、破傷風菌などさまざまなタイプの病原菌に優れた殺菌効果を示します。
ペニシリンは青カビから発見された抗生物質で、この抗生物質の登場によって当時不治の病とされていた梅毒や淋病などの性感染症が撲滅されたと考えられていました。
実際に、淋菌に対するペニシリンの感受性はかなり高く、ほとんどのケースではペニシリンを1回筋肉注射するだけで完治していたのですが、その後ペニシリンに耐性を持つ淋菌の存在が認められ、今ではペニシリン系抗生物質が淋病治療の第一線に登場する機会は少なくなりました。
しかし、淋病は地域性があり、感染した国や地域によって薬剤耐性の種類が異なり、ペニシリン系抗生物質に感受性を持つ淋菌がゼロになったわけではありません。
またペニシリン系抗生物質も世代を経てかなり強い抗菌作用をもつようになったため、今でも淋病治療の第一選択肢であるセフェム系抗生物質に薬剤アレルギーがある場合や、この治療薬への感受性が低いタイプの淋病では用いられることがあります。
淋病治療に用いられる代表的なペニシリン系抗生物質はアモキシシリン、カンピシリンなどです。
セフェム系抗生物質は抗菌スペクトルが非常に広く、1980年代頃から感染症治療の主役級の働きをしてきた優秀な抗生物質です。
一説ではセフェム系抗生物質の乱用が、薬剤耐性菌を持つ病原菌の種類を飛躍的に増やしたといわれていて、現在では慎重に投与することになっています。
セフェム系以降の抗生物質もいろいろなタイプが登場してきましたが、一時ペニシリン系抗生物質に耐性を持つ淋菌に対して高い感受性を示していたマクロライド系抗生物質の登場で耐性淋菌の存在もなりを潜めたかに見えました。
しかしながら近年、再びマクロライド系抗生物質への耐性を持つ淋菌が誕生し、逆にセフェム系抗生物質への感受性が高いことが認められたため、今の淋病治療の第一選択肢はセフェム系抗生物質の点滴投与になっています。
その際に用いられるセフェム系抗生物質の代表的な薬剤はセフトリアキソンナトリウムですが、点滴後は同じ作用機序を持つセファレキシンカプセルなどが投与されます。
飲み薬は途中で中止してしまうと再び耐性淋菌が誕生してしまう危険性があるので医師の指示に従い最後まで飲みきるようにしてください。
マクロライド系抗生物質はセフェム系に変わる新しい抗生物質として開発されました。
セフェム系並みに抗菌スペクトルが広く、効果が高い上に薬剤アレルギーを起こすリスクがセフェム系よりも低いことから現在多くの治療現場で用いられています。
2000年頃から淋病治療でもセフェム系に変わりマクロライド系抗生物質の投与が第一選択肢とされてきましたが、この薬にも耐性を持つ淋菌が誕生したため、今ではセフェム系抗生物質にアレルギーを持つ場合や淋病に伴う二次感染の予防などの目的で投与されることの多い抗生物質です。
特に性感染症は、単一の病気だけでなく複数の感染症に罹患していることが珍しくありません。 淋病ではクラミジアや性器ヘルペス、梅毒ではHIV感染症が合併率の高い性感染症として知られています。
このようにわざわざ淋病を治療しても他の性感染症が発病してしまわないよう同時に治療するのが望ましいとされています。
しかし現在、具体的な症状が出ていない感染症に対してむやみに抗生物質を使用することは推奨されていないため、セフェム系抗生物質が使えないという特殊な事情がない限り、マクロライド系抗生物質は治療の経過観察と淋病の完治までの間のみ限定的に投与されます。
淋病の治療時に用いられるマクロライド系抗生物質は、ジスロマック、アジー、ジスリンなどです。
淋病治療は、基本的にセフェム系抗生物質の注射が第一選択肢となります。
これは医療機関でないと受けられない治療ですので、淋病が確定したらまずは医療機関を受診してください。
注射を一回受けたらほとんど症状はなくなります。その後は淋菌を殺すために飲み薬が処方されますが、この飲み薬は確実に飲みきるようにします。
ただし、薬をなくしたなどの患者さん側の理由で再度保険証を用いた投薬を受けることはできなくなります。このような時は次に紹介する方法で薬を入手することが可能です。
淋病治療用の抗生物質(注射薬や飲み薬)は医療用医薬品です。 注射薬はもちろんですが、飲み薬も日本では 一般的な薬局やドラッグストアでは購入できません。
淋病は、まず筋肉注射か静脈注射(点滴)で抗生物質の血中濃度を急上昇させて一気に叩く治療法が選択されます。 したがって必ず医療機関での治療を優先させるべきということになります。
飲み薬は注射が終わった後、二次感染防止や予後(治療効果を継続させて様子を見ること)、または他のSTDの治療を目的としておこなわれます。
一般的には、注射薬と同じセフェム系の飲み薬が処方されます。 薬の購入方法は治療を受けた病院またはクリニックで処方せんを出してもらい、院外の調剤薬局か院内薬局で購入します。
この場合の薬代は、保険適用なので3割負担で購入することが可能です。 処方せんもなくいきなり調剤薬局に行っても、薬を売ってもらうことはできないので注意してください。
淋病の特定検査の結果他のSTD感染症が発覚した場合はその感染症に対する治療も同時に行われます。この時抗生物質が複数剤投与される場合もあります。
処方された抗生物質は耐性菌を作らないためにもしっかりと飲みきるようにしましょう。
医療機関から処方された抗生物質を紛失してしまった、あるいはまだパートナーの治療が終わっていないなどの理由で医療機関から抗生物質を処方されない状態の時は、個人輸入代行を使ってネット通販で購入することが可能です。
しかし、この場合には幾つかの注意点があります。 まず、購入できるのは海外製の医薬品であるということです。
添付されている能書が英語であり、購入はあくまでも自己責任の範疇になります。 ただし、医薬品を個人輸入で購入することは全くの合法的な入手方法なので不安視することはありません。
利用する個人輸入代行者の口コミなどをよく調べ、信頼出来るサイトであれば、一般的なネット通販を利用する感覚で医薬品が購入できます。
淋病治療用の抗生物質を通販購入で入手する時は薬が手元に届くまで時間がかかることがあります。 海外では日本未承認のジェネリック医薬品などもありますので、購入してもいいかどうかを薬剤師に確認するのも有益です。
淋病はクラミジアや梅毒と並んで感染患者の多い性感染症です。
性行為以外にキス、オーラルセックス、アナルセックスなどでも感染します。 女性よりも男性の方に自覚症状が強いため、女性は知らぬ間に感染源となり拡大させている可能性があります。
おりもの量が増えたり色と臭いがきつくなったり、不正出血が続くなどの時は婦人科を受診するか在宅検査キットなどで調べてもらってください。
治療はセフェム系抗生物質の注射と服薬が基本になります。 一回の注射と3〜14日程度の抗生物質の投与でほぼ完治しますが、パートナーと同時に治療を受けて相互感染しないようにすることが重要です。
妊婦は母子感染を起こす場合があるのでわずかな自覚症状も見逃さないようにします。
医薬品情報サイト
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東京都感染症情報センター
各都道府県等域内に1カ所、原則として地方衛生研究所の中に設置されており、保健所などからの患者情報、疑似症情報および病原体情報を収集・分析し、医師会等の関係機関に提供・公開しています。