スマトリプタンの臨床試験と結果をわかりやすく解説!

この記事では、片頭痛に効果のあるスマトリプタンの適切な用量と安全性について、欧州を中心に行われた3つの臨床試験から得られた知見を解説します。合計1,900例以上の患者データをもとに、各用量の効果と副作用、安全性についての検証結果を紹介します。

頭痛薬 痛み止め 頭痛・発熱

記事公開日:2025.03.14

最終更新日:2025.03.14

お薬通販部スタッフ[監修]

スマトリプタンの臨床試験と結果をわかりやすく解説!

この記事では、スマトリプタンの臨床試験の結果を解説します。

世界的に使用されている頭痛薬スマトリプタンの有効性と安全性について、欧州を中心に3つの大規模な臨床試験が行われました。

「どの用量が最適なのか」「追加投与しても安全なのか」といった医薬品の有効性や安全性等の情報が、1,900例以上の患者データから明らかになっています。

この記事では、試験結果をもとにスマトリプタンの効果と安全性について詳しく解説します。




スマトリプタン錠の臨床試験結果

片頭痛治療薬スマトリプタンについて、以下の臨床試験が実施されました。

  • 6ヶ月間の片頭痛発作時に投与
  • 3回の片頭痛発作に対して各用量を単回投与
  • プラセボを対照に追加投与

上記の試験の詳細と結果を解説します。


6ヶ月間の片頭痛発作時に投与

欧州3ヶ国(英国、ドイツ、ポーランド)の72施設で、片頭痛患者407例を対象に実施された大規模なオープン試験です。

6ヶ月にわたり、片頭痛発作時にスマトリプタン25mg、50mgまたは100mgを投与し、その有効性と安全性が検討されました。

そのうち338例が3回までの発作治療を、さらに271例が4〜6回の発作治療を完了しています。

この試験は、スマトリプタンの長期使用における有効性と安全性を確認する上で重要な研究です。

以下の項目についてより詳細に見ていきます。

  • 試験の目的
  • 対象患者
  • 用法・用量
  • 試験結果

順番に解説します。



試験の目的

試験の目的は、スマトリプタン錠50mgの効果と安全性を基準に、患者の満足度の高さを確認することです。

加えて、25mgおよび100mgの用量について増減する理由を詳しく検討しました。

  • 患者視点からの治療効果
  • 医学的な安全性

片頭痛発作時に服用する各用量について、上記2点を総合的に評価し最適な使用方法の確立を目指しました。



対象患者

本試験の対象は、以下の要件をすべて満たす人です。

  • 12ヶ月間にわたって、国際頭痛学会(IHS)の基準に基づく片頭痛を罹患した
  • 過去12ヶ月間に中等度から重度の片頭痛発作が月に1~6回ある
  • 18~65歳である
  • 他の頭痛と明確に区別できる



主な除外基準には以下の条件が含まれます。

  • 虚血性心疾患または重度の高血圧の既往歴のある人
  • 妊婦・授乳婦
  • てんかんの既往歴のある人
  • 薬物やアルコールを乱用している人
  • 特定の医薬品(エルゴタミン含有薬、MAO阻害剤など)を服用中の人

上記の要件を満たし、かつ除外基準を満たさない人を対象に試験が行われました。



用法・用量

試験では、中等度以上の片頭痛が発生した際に、スマトリプタン(25mg、50mg、100mgのいずれか)を1回投与しました。

4〜24時間以内に再発した際は、次の片頭痛発作時用の治験薬を追加投与できます。

安全性を確保するため、以下の医薬品が併用禁止とされました。

  • 鎮痛剤・制吐剤(6時間以内)
  • エルゴタミン含有薬剤(24時間以内)



試験結果

この試験では、3回の片頭痛発作後の治療においてスマトリプタン50mgを投与したあと、患者自身に4〜6回目に服用する用量を選択させました。

患者が選択した用量と有害事象の発生状況は以下のとおりです。

評価項目25mg(減量)50mg(維持)100mg(増量)
用量の変更率12%37%50%

十分な効果を感じられなかったことが理由で、100mgに増量した人は半分に上りました。

また、単回投与後の有害事象の発現率は以下のとおりでした。

評価項目25mg50mg100mg
有害事象の発現率32%35%33%



主な有害事象として、以下が報告されました。

  • 悪心・嘔吐
  • 筋骨格痛
  • めまい
  • うずき
  • 頭痛

いずれの有害事象も一過性で重篤なものは非常に稀でした。

これにより、50mgと100mgの用量は患者満足度が高く、安全性が確保された治療選択肢であることが確認されました。





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3回の片頭痛発作に対して各用量を単回投与

欧州4ヶ国(ベルギー、フィンランド、ドイツ、オランダ)の33施設で実施された、二重盲検クロスオーバー試験です。

片頭痛発作3回に対してそれぞれ25mg、50mg、100mgの用量をランダムに投与し、その効果と安全性を直接比較しました。

299例中257例が3回の発作治療を完了し、用量による頭痛改善度や副作用について詳細な評価が行われました。

以下の項目についてより詳細に見ていきます。

  • 試験の目的
  • 対象患者
  • 用法・用量
  • 試験結果

順番に解説します。



試験の目的

この試験では、主に以下の3点が評価項目とされました。

  • 患者が好む用量
  • 各用量での安全性と忍容性
  • 各用量での片頭痛発作に対する有効性

患者の主観的な満足度と客観的な治療効果を検討し、最適な用量を決定するために重要なデータを集めました。



対象患者

本試験の対象は、以下の要件をすべて満たす人です。

  • 12ヶ月間にわたって、国際頭痛学会(IHS)の基準に基づく片頭痛を罹患した
  • 過去12ヶ月間に中等度から重度の片頭痛発作が月に1~6回ある
  • 18~65歳である
  • 他の頭痛と明確に区別できる



除外された患者は以下のとおりです。

  • 虚血性心疾患まの既往歴のある人
  • 妊婦・授乳婦
  • てんかんの既往歴のある人
  • 薬物やアルコールを乱用している人
  • 特定の医薬品(エルゴタミン含有薬、MAO阻害剤など)を服用中の人



用法・用量

この試験では、中等度の片頭痛発作が起こった際にスマトリプタン(25mg/50mg/100mgのいずれか)を1回投与します。

患者にはそれぞれ異なる片頭痛発作3回に対してランダムに用量が割り振られ、異なる用量の効果と安全性を比較するよう設計されています。

また、鎮痛剤や制吐剤は6時間以上、エルゴタミン含有製剤は24時間以上の間隔をあけるよう定められました。


試験結果

試験の結果、各用量に対する頭痛改善効果と有害事象の発現率、投与終了後に患者が選択した用量は以下のとおりです。

評価項目25mg錠50mg錠100mg錠
4時間後の頭痛消失率40%程度53%65%
単回投与後の治療薬と関連した副作用の発現率13%15%27%
投与終了後の患者が選択した用量21%31%35%

投与1時間後には25mgと比較して100mgの有効率が有意に高いことがわかり、2時間後には50mgの有効率が有意に高いことがわかりました。

また、用量が増えるほど有害事象の発現率も高くなる傾向が見られましたが、いずれも許容範囲内で、安全に使用できることが確認されています。

さらに、3回の発作治療を終えたあと最も多くの患者が100mgを選択しており、高用量の方が患者も効果を感じられることがわかりました。




プラセボを対照に追加投与

欧州を中心とした以下16ヶ国101施設で実施された、大規模な二重盲検試験を紹介します。

  • オーストリア
  • ベルギー
  • カナダ
  • フランス
  • ギリシャ
  • オランダ
  • アイルランド
  • イスラエル
  • イタリア
  • ノルウェー
  • ポーランド
  • ポルトガル
  • スペイン
  • スウェーデン
  • 英国
  • ドイツ

3回の片頭痛発作ならびに再発時に、スマトリプタンまたはプラセボを追加投与し、効果と安全性が評価されました。

片頭痛患者1,246例が解析対象として組み入れられています。



以下の項目についてより詳細に見ていきます。

  • 試験の目的
  • 対象患者
  • 用法・用量
  • 試験結果

順番に解説します。



試験の目的

この臨床試験の目的は、以下の4点です。

  • スマトリプタン100mg投与後2時間での追加投与の有効性を確認する
  • 4~24時間以内に再発した片頭痛に対する100mg追加投与の有効性を検討する
  • 初回投与で効果が不十分だった場合の追加投与による治療効果を評価する
  • スマトリプタンの単回または反復投与による安全性と忍容性を確認する

これにより、追加投与が臨床的にどのような意義を持つか明確にされました。



対象患者

この試験では、以下の条件を満たす患者が対象となりました。

  • 12ヶ月間にわたって、国際頭痛学会(IHS)の基準に基づく片頭痛を罹患した
  • 月に1~6回、中等度または重度の片頭痛発作がある
  • 18~65歳
  • 片頭痛と他の頭痛を明確に識別できる



除外基準は次のとおりです。

  • 虚血性心疾患や重度の高血圧の既往歴のある人
  • 妊婦
  • 授乳婦
  • 薬物やアルコール乱用歴がある人
  • 重度の合併症を有する人



用法・用量

この試験では、以下のフローで最大3回の片頭痛発作まで評価が行われました。

  • 中等度以上の片頭痛発作時にスマトリプタン100mgを単回投与する
  • 2時間後にスマトリプタン100mgまたはプラセボを追加投与する
  • さらに4〜24時間以内に頭痛が再発した際は、追加で100mgまたはプラセボを投与する

最大で3回の異なる片頭痛発作時と再発時に対して試験を実施し、追加投与の有効性と安全性を評価しました。

試験結果

試験の結果、100mgを追加投与した場合の有効性と副作用発現率は以下のとおりです。

評価項目100mg錠+プラセボ100mg +100mg
4時間後の有効率77%80%
有害事象の発現率36%38%
重度な有害事象の発現率9%8%
治療薬と関連した副作用の発現率32%34%

このことから、スマトリプタンの単回投与後にプラセボを投与した際の有効性は、スマトリプタンを2回投与した際の有効性と同程度であることがわかりました。

また、主な有害事象として以下が報告されました。

  • 傾眠
  • 浮動性めまい
  • 悪心・嘔吐
  • 倦怠感・疲労

追加投与による有害事象の増加や重症化は確認されていません。

このことから、スマトリプタンの追加投与は安全であり、忍容性も良好であると評価されています。




まとめ

まとめの見出し画像

スマトリプタンの3つの臨床試験により、片頭痛治療における重要な知見が得られました。

50mgと100mgの用量で高い有効性が確認され、特に100mgでは早期からの効果が確認されています。

追加投与においても、安全性が維持され主に軽度の有害事象に留まりました。

これらの試験結果から、スマトリプタンは片頭痛治療において有効性と安全性のバランスが取れた治療薬であることが裏付けられています。

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