アスタリンインヘラーの使い方は?吸入方法や効果的な方法も解説
アスタリンインヘラーの正しい使い方や、効果的な吸入方法について解説します。その他、成人・小児ごとの吸入回数やタイミング、使用時の注意点もまとめて紹介。安全かつ効果的に使うためのポイントを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
お薬通販部スタッフ[監修]

アスタリンインヘラーは、気管支喘息や気管支炎などによる急な呼吸困難に対して使用される「リリーバー」タイプの吸入薬です。
速やかに気道を拡げ、呼吸をラクにする作用がありますが、その効果を十分に引き出すためには正しい使用方法を理解しておくことが重要です。
この記事では、アスタリンインヘラーの基本的な吸入手順や成人・小児別の吸入回数、1日の上限、使用するタイミングなどをわかりやすく解説します。
アスタリンインヘラーを初めて使用する人はもちろん、すでに使用している人も安全かつ効果的に活用するためのポイントとして参考にしてください。
目次
アスタリンインヘラーの基本的な使い方(吸入方法)

アスタリンインヘラーは、正しい手順で吸入することで薬剤の効果を十分に発揮できます。
以下は、アスタリンインヘラーを使用するときの基本的な手順です。
STEP1.キャップを外して吸入器をよく振る
アスタリンインヘラーの使用前には吸入口のキャップを外し、吸入器を上下に数回しっかり振ってください。
薬剤は溶液と噴霧ガスから構成されており、均一に混ざっていないと吸入される成分量にばらつきが出るおそれがあります。
また、吸入器が逆になっていないかを確認し、正しい向きで準備してください。
STEP2.息を吐き出す
吸入を行う前には、口の外でゆっくりと息を吐ききることが大切です。
肺の中の空気をある程度出しておくことで、吸入時により深く薬剤を吸い込むことができるようになります。
このとき、息を止めたり急いで吐いたりする必要はありません。
自然な呼気で構いませんが、深く吐き出す意識を持つことがポイントです。
STEP3.息をゆっくり吸い込みながら吸入する
吸入口を口に咥えたら、噴霧と同時にゆっくりと深く息を吸い込みます。
この動作と噴霧のタイミングが合わないと、薬剤が口腔や咽頭にとどまってしまい、気道に届かず効果が下がることがあります。
できるだけ薬剤を肺まで届けるイメージで、一定のスピードで吸うことがポイントです。
STEP4.吸入器を離して呼吸を戻す
吸い終わったら口から吸入器を離し、口を閉じて数秒間息を止めてゆっくりと吐きます。
息止めによって薬剤が気道に留まり、しっかりと作用する時間を稼ぐことができます。
その後は、通常通り呼吸を整えてください。
必要に応じて2吸入行う場合は、30秒から1分程度間隔を空けてから再度吸入するようにしましょう。
アスタリンインヘラーの効果的な使い方(服用方法)

アスタリンインヘラーは、正しい用量と頻度を守って使用することで、気道拡張作用をより効果的に引き出すことができます。
ここからは、年齢別の標準的な吸入回数と、1日あたりの上限について解説します。
症状の強さや年齢に応じて適切な吸入回数が定められており、これを守らないと十分な効果が得られないだけでなく、副作用のリスクも高まるため注意が必要です。
成人は1回につき2吸入を守る
成人では、1回の使用につき2吸入(計200μg)が基本的な用量とされています。
これは、気管支を広げるために必要とされる有効な量であり、急性症状の緩和を目的とした使用において標準的な内容です。
吸入の際は、2吸入を一度に連続して行わず、1吸入ごとに30秒〜1分程度の間隔を空けることで、薬剤の気道への到達効率が高まります。
小児は1回につき1吸入を守る
小児の場合、1回1吸入(100μg)が原則とされています。
小児では薬剤への感受性が高く、副作用が現れやすいため、必要最小限の量で使用することが基本です。
年齢や体重、症状の程度によっては医師の判断で調整されることもあるので、必ず医師の説明に従って使用するようにしてください。
吸入は1日4回までとする
アスタリンインヘラーの1日の最大使用回数は、成人・小児ともに4回までとされています。
これを超えて頻繁に使用すると、β2刺激作用により心拍数の上昇や電解質異常(低カリウム血症)などの副作用が起こるおそれがあります。
症状が治まらず、1日4回以上使用する必要があると感じた場合は、自己判断で使用を継続せず、早めに医療機関を受診してください。
アスタリンインヘラーを使うタイミング

アスタリンインヘラーは、症状が現れたときに迅速に使用する「リリーバー(頓用薬)」として位置付けられています。
定期的に使う予防薬とは異なり、必要時にのみ使用することが基本です。
以下は、使用が推奨される代表的なタイミングをまとめたものです。
タイミング | 理由 | 注意点 |
喘息発作が起きたとき | 急激な気道収縮を緩和するため。使用により数分で効果が期待できる。 | 使用後も改善しない場合は医療機関を受診する。 |
運動前(運動誘発性喘息の既往がある場合) | 運動による気道収縮を予防するため。運動の15〜30分前に使用。 | 日常的に必要な場合は医師に相談してコントローラー薬を検討する。 |
就寝前(夜間喘息の兆候がある場合) | 睡眠中の発作を予防・緩和するため。 | 夜間頻回に使う必要がある場合は、治療計画の見直しが必要になる。 |
呼吸苦・息切れを感じたとき | 軽度の気道狭窄を早期に緩和するため。 | 過剰な使用は副作用の原因となるため、回数に注意する。 |
このように、アスタリンインヘラーは症状が現れたときや起こりそうなときに使用するお薬で、定期的に使用することを前提としたものではありません。
したがって、何度も使用する必要がある場合は治療方法の見直しや他のお薬との併用が必要になる可能性があります。
自己判断は危険を伴うので、医師判断のもと使用頻度やタイミングを調整してください。
アスタリンインヘラーを使うときの注意点

ここでは、アスタリンインヘラーの使用時に押さえておきたい注意点について解説します。
アスタリンインヘラーは、正しく使用すれば効果的な救急用吸入薬ですが、使用方法を誤ったり管理を怠ったりすると、効果が十分に発揮されなかったり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。
症状が発現したときに使用する
アスタリンインヘラーは、喘息や気管支炎などによる急な呼吸困難や息切れがあらわれたときに使うリリーバーです。
症状が出ていないときに使用するのは本来の目的にあっておらず、不要なお薬の吸入によって副作用のリスクが高まる可能性もあります。
発作時や予兆があるときに使用し、頻回に必要となる場合は治療方針の見直しが必要です。
ボンベを濡らさないように注意する
吸入器の金属製ボンベ部分が水に濡れると、内部の薬剤が冷えすぎて噴霧不良を起こしたり、構造的に破損するおそれがあります。
特に、洗面所や浴室など湿度の高い場所での保管や使用は避け、濡れた手で持たない・水気の多い場所に置かないといった管理が大切です。
また、使用後にキャップをしっかり閉じることで、吸入口への水分の侵入も防げます。
最低でも週1回以上はアダプターを洗浄する
吸入器のマウスピース(アダプター)部分は成分や唾液、ほこりなどで汚れが蓄積しやすい構造になっています。
そのまま使用を続けると、噴霧不良や細菌の繁殖、吸入効率の低下につながる可能性があります。
そのため、最低でも週1回以上は水洗いし、完全に乾燥させたうえで再装着してください。
また、洗浄時はボンベを取り外すことも重要です。
症状が重篤な場合は医療機関を受診する
アスタリンインヘラーは発作を一時的に緩和するお薬で、根本的な治療薬ではありません。
もし吸入しても呼吸困難が改善しない場合や、動悸・めまい・不整脈などの副作用が強く出た場合は、すみやかに医師の診察を受けてください。
また、1日あたりの最大使用回数を超えても症状が続くようであれば、治療内容の再検討や他のお薬の導入が必要になる可能性があります。
アスタリンインヘラーの使い方に関するよくある質問

ここでは、アスタリンインヘラーの使い方に関するよくある質問に回答します。
アスタリンインヘラーの使用後はうがいすべき?
アスタリンインヘラーの使用後にうがいは必須ではありませんが、推奨される習慣です。
アスタリンインヘラーはステロイド薬ではないため、カンジダ症やのどの炎症といった副作用を防ぐためのうがいは義務付けられていません。
しかし、吸入器の噴霧によって口腔内に残留する薬剤や添加物が刺激になることがあり、口の乾燥や軽い違和感を覚えるなどの報告もあります。
そのため、吸入後に軽く水でうがいをすることで、不快感を軽減し、口腔環境を清潔に保つ効果が期待できます。
アスタリンインヘラーの使用による死亡例はある?
添付文書や国内市販後調査などにおいて、アスタリンインヘラーの使用による明確な死亡例は記載されていません。
ただし、過剰使用や副作用の重篤化によって重大な心血管系(不整脈・心停止)を引き起こすリスクが理論上あるとされており、注意が必要です。
特に、1日の最大使用回数(通常は4回まで)を超えて吸入を繰り返すことは、低カリウム血症や不整脈を招く可能性があります。
アスタリンインヘラーを使用する場合は必ず医師の指示に従い、用法用量や頻度を守ってください。
アスタリンインヘラーは心臓に負担がかかるって本当?
個人差はありますが、アスタリンインヘラーの使用によって心臓へ影響が出る可能性があります。
アスタリンインヘラーの主成分であるサルブタモール硫酸塩は、β2受容体を刺激する作用により気道を拡張しますが、同時に心臓のβ1受容体にも軽度に作用することがあります。
その結果、脈拍数の増加(頻脈)、動悸、不整脈といった心血管系への副作用が報告されており、心疾患のある方は特に注意が必要です。
心臓に疾患の既往がある場合や、高用量での使用が続く場合は、副作用の兆候に注意しつつ、医師の管理下で安全に使用することが重要です。
まとめ

アスタリンインヘラー(一般名:サルブタモール硫酸塩)は、気管支喘息や気管支炎などによる急な呼吸困難を緩和するために使用される吸入薬であり、速やかに気道を拡げる効果が期待できます。
その効果を十分に引き出すには、正しい吸入手順を守ることが不可欠です。
使用前の振り出しから吸入時の呼吸法、吸入後の息止めまで、1つひとつの工程を丁寧に行うことで薬剤がしっかりと気道に届きます。
また、成人と小児では吸入回数に違いがあり、1回の吸入量や1日の上限を守ることが、副作用を防ぐための重要なポイントです。
アスタリンインヘラーは定期的に使う予防薬ではなく、発作時や症状の予兆があるときに限って使用する頓用薬です。
過剰な使用は副作用の原因になりかねません。
日常的な管理としては、アダプターの定期的な洗浄や保管時の湿気対策など、器具そのものの扱いにも気を配る必要があります。
万一、動悸・めまい・不整脈などの症状が強く出た場合や、吸入しても症状が改善しない場合は、医師に相談のうえで使用方法や治療方針の見直しを検討することが重要です。
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