アダフェリンジェルの副作用とは?症状の発現頻度もあわせて解説
アダフェリンジェル(アダパレン外用ゲル)の副作用と発現頻度について、重篤な症状から比較的まれなものまで幅広く解説します。臨床試験や市販後のデータに基づく情報や副作用を抑えるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
お薬通販部スタッフ[監修]

アダフェリンジェルは、主にニキビの治療に用いられる外用レチノイドで、角質ケアと抗炎症作用により、症状の改善を促します。
アダフェリンジェルの効果をより得るためには、副作用リスクを理解し、適切な使用方法を守ることが必要です。
この記事では、アダフェリンジェルの使用によって起こりうる副作用として、重大なものからまれなものまで解説します。
副作用に関する臨床試験結果などを用いて発現頻度を整理し、副作用を抑えるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
アダフェリンジェルの使用による重大な副作用

アダフェリンジェルは、ニキビ治療における標準的な外用薬の1つとして、広く使われていますが、使用初期や使用方法によっては皮膚刺激性の副作用があらわれることがあります。
ここでは、アダフェリンジェルの使用によって起こりうる副作用のうち、発現頻度が高い以下の症状を解説します。
アダフェリンジェル(有効成分:アダパレン)は、ニキビ治療における標準的な外用薬のひとつとして広く使われていますが、使用初期や使用方法によっては皮膚刺激性の副作用が現れることがあります。
ここでは、添付文書や臨床試験で確認されている、比較的頻度の高い皮膚症状のうち、注意を要する「重大な副作用」として位置付けられている項目について解説します。
皮膚乾燥
アダフェリンジェルを使用すると、皮膚が乾燥しやすくなる傾向があります。
これは、アダパレンが皮膚の角質細胞に作用し、ターンオーバーを促進する過程で皮膚バリア機能が一時的に低下するためだと考えられます。
乾燥は特に使用開始初期に集中してあらわれることが多く、口の周囲、頬、鼻の周辺など皮膚の薄い部位に強く出ることがあります。
なお、皮膚の乾燥は56.1%の頻度で発現している副作用です。
皮膚の不快感
塗布後にあらわれるヒリヒリ感、熱感、つっぱり感などの不快な感覚は、アダフェリンジェルで比較的よく見られる副作用です。
これは一過性で軽快することが多いですが、日焼け後や敏感肌の部位に使用した場合は強く感じることがあるため、肌の状態を見ながら使用してください。
なお、皮膚の不快感は47.6%の頻度で発現している副作用です。
皮膚剥脱
皮膚表面の薄い皮がむけるような状態(剥脱)が、アダフェリンジェルの使用初期にあらわれることがあります。
これは、お薬の作用によって角質が排出されやすくなるためだと考えられ、過剰に広範囲に使用した場合や高濃度の製品を併用した場合に悪化することがあります。
軽度であれば様子を見ることも可能ですが、びらんや出血を伴うような場合は使用を中止し、医師に相談すべき症状です。
なお、皮膚剥脱は33.5%の頻度で発現している副作用です。
紅斑
アダフェリンジェルの刺激により、局所的な発赤(紅斑)が生じることがあります。
特に敏感肌の方や、洗顔直後・入浴後など皮膚がやわらかい状態での塗布では、赤みが強く出ることがあります。
紅斑が広範囲または持続的にあらわれる場合には、使用量や使用頻度を減らす、または医師と相談して対処法を見直してください。
なお、紅斑は21.9%の頻度で発現している副作用です。
そう痒症
アダフェリンジェルの使用部位において、かゆみ(そう痒)が出現することも確認されています。
これはアレルギー反応ではなく、皮膚への物理的刺激や乾燥による神経反応によって引き起こされると考えられています。
強いかゆみを伴う場合は、保湿剤との併用や塗布量の調整が必要になる場合があります。
なお、そう痒症は13.2%の頻度で発現している副作用です。
アダフェリンジェルの使用による稀な副作用

ここでは、アダフェリンジェルの使用によって起こりうる、比較的まれな副作用について解説します。
アダフェリンジェルは比較的忍容性の高い外用薬ですが、皮膚以外の全身的な副作用や皮膚以外の疾患との関連が疑われる症状がまれに発現することもあります。
湿疹
アダフェリンジェルの使用により、使用部位または周辺に湿疹様の炎症反応が出現することがあります。
これは、お薬に対する過敏反応の一種であることが多く、赤み・小さな水疱・かゆみ・かさつきといった症状がみられます。
症状が軽度であれば保湿などで様子を見ることも可能ですが、繰り返す場合や悪化する場合は使用を中止し、皮膚科医に相談してください。
単純ヘルペス
アダフェリンジェルの使用中に、単純ヘルペスウイルス(HSV)の再活性化による皮膚症状が出ることがあります。
これは、アダパレンによって局所のバリア機能が一時的に低下し、潜伏ウイルスが活動しやすくなるためと考えられます。
口唇ヘルペスの既往歴がある人は、使用部位に注意を払い、症状が出た場合は早めに治療薬の追加や中止を検討してください。
血中コレステロールの増加
非常にまれですが、アダパレンの全身吸収により、血中脂質(特にコレステロール値)に変化が見られたという報告があります。
これは、主に海外の高濃度製剤や長期使用例で確認されたデータに基づいており、通常の外用量では臨床的な影響はまれとされています。
ただし、脂質異常症などの既往がある人は、念のため医師と相談の上で定期的な血液検査を受けることも検討されます。
血中ビリルビンの増加
非常にまれですが、アダパレンの使用により、血中ビリルビン値の上昇(肝機能障害の一部指標)が報告された例があります。
これは、主に臨床試験や市販後調査で観察されたもので、全身吸収がごく一部で起こった場合に肝代謝に影響する可能性があると考えられています。
通常の外用量では臨床的な影響はまれですが、肝疾患の既往がある人や他の肝機能に影響するお薬を併用している人は、念のため医師と相談のうえで定期的な肝機能検査を受けることが望まれます。
その他
アダフェリンジェルの使用においては、頻度は低いものの、さまざまな皮膚症状や全身的な不調がまれに報告されています。
ここでは、アダフェリンジェルの使用によるその他の副作用を一覧にしました。
副作用 | 主な症状の説明 | 重症度 | 推奨される対応 | 備考 |
皮膚の刺激感 | 塗布部にヒリヒリ感や熱感を感じる。接触部位の不快感を伴うこともある。 | 軽度〜中等度 | 症状が強い場合は塗布量を減らすか一時中止し、医師に相談。 | 使用初期に多く見られる。数日〜1週間で自然軽快することが多い。 |
アレルギー性接触皮膚炎 | 発赤、丘疹、水疱、かゆみを伴う皮膚反応。薬剤に対する過敏反応。 | 中等度〜重度 | 使用を中止し、医師の診断を受けてステロイド外用薬などの治療を行う。 | 他の外用剤との併用や既往歴に注意が必要。 |
色素沈着 | 塗布部に黒ずみや茶色い色が残るような色素変化が起こる。 | 軽度 | 経過観察。日焼けや炎症後に悪化する可能性があるため紫外線対策を行う。 | 皮膚刺激のあとに続発することがある。 |
皮膚脱色(脱色素斑) | 塗布部の肌がまだらに白くなる、または色素が抜けたように見える。 | 軽度 | 長期持続する場合は医師に相談。過度な塗布や擦り込みは避ける。 | まれに報告されており、色素細胞への影響が関与する可能性がある。 |
頭痛 | 塗布後に報告される全身性の軽度な頭痛。 | 軽度 | 日常生活に支障がない範囲で経過観察。続く場合は医師に相談。 | 明確な因果関係は不明だが、全身吸収による可能性も考慮。 |
悪心 | 軽度の吐き気を感じることがある。 | 軽度 | 通常は自然に軽快。頻回に続く場合は使用中止を検討。 | 薬剤の匂いや皮膚刺激により自律神経が反応することが原因と考えられる。 |
それぞれの症状の特徴や、対応の目安を知っておくことで、万が一に適切な判断につながります。
これらの副作用はいずれも発現頻度は非常に低く、ほとんどの場合は軽度で一過性とされています。
ただし、個人の体質や肌の状態、併用薬の影響などによって症状の強さや持続性には差が出ることがあります。
アダフェリンジェルの副作用に関する臨床試験結果

アダフェリンゲルの有効成分アダパレンは、尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療薬として広く使用されており、複数の国内外臨床試験において有効性と安全性が確認されています。
特に国内第III相臨床試験では、アダパレン群(100例)と基剤群(100例)を比較した評価者盲検法による12週間の投与試験が実施されました。
試験では、アダパレン群における総皮疹数の減少率(中央値)が63.2%となり、基剤群の36.9%と比較して有意に高い効果を示しました。
一方で、副作用については主に局所皮膚反応が報告されています。
以下は、臨床試験結果をまとめた表です。
症状 | 発現頻度 | 備考 |
皮膚乾燥 | 37.0%(37/100例) | 治療初期に出やすく、保湿剤との併用で軽快するケースが多い。 |
皮膚剥脱(落屑) | 18.0%(18/100例) | 乾燥に伴う症状として発現することが多い。 |
皮膚不快感(刺激感など) | 16.0%(16/100例) | かゆみ・軽度の痛みなどを含む主観的な不快感が見られる。 |
紅斑 | 8.0%(8/100例) | 軽度の発赤が治療開始後数日以内に出現することがある。 |
そう痒症(かゆみ) | 5.0%(5/100例) | 軽度で短期間のケースが多い。 |
皮膚刺激 | 4.0%(4/100例) | ピリピリ感や軽い痛みとして報告される。 |
このように、アダパレンでは主に局所の皮膚刺激に起因する副作用が一定の頻度で報告されています。
ただし、これらの症状は多くが使用初期に集中し、時間の経過とともに軽快する傾向にあるとの報告もあります。
重篤な副作用や全身的な影響は報告されておらず、医師による適切な診断や保湿剤との併用などを行うことで、安全性を高めることが重要です。
アダフェリンジェルの副作用を抑えるためのポイント

ここでは、アダフェリンジェルの副作用を抑えるためのポイントとして以下を解説します。
アダフェリンジェルは、適切に使用すればニキビの改善が期待できる外用薬ですが、誤った使い方をすると、皮膚刺激や副作用が強く出ることがあるので注意が必要です。
切り傷やすり傷のある部分には使用しない
アダフェリンジェルは、健康な角質層に対して作用するよう設計されたお薬で、皮膚に傷がある部分に使用すると薬剤成分が皮膚の深部に入り込み、強い刺激や炎症を引き起こす可能性があります。
特に、出血を伴う切り傷、剃毛後の擦り傷、ニキビをつぶした後の炎症部位などには使用を避け、患部が治癒してから塗布してください。
刺激性のある外用薬との併用はなるべく避ける
アダフェリンジェルは、角質剥離作用や皮膚のターンオーバーを促進する作用があるため、単独でも皮膚刺激が出やすいお薬です。
そのため、アルコール含有の化粧品、ピーリング剤、ベンゾイル過酸化物(BPO)製剤、サリチル酸などの刺激性が高い成分との併用は避けてください。
やむを得ず併用する場合は医師に相談したうえで、塗布する部位や時間帯を変更するなどの工夫が必要です。
粘膜を避けて使用する
アダフェリンジェルは、皮膚専用の外用薬であり、目・口・鼻・陰部などの粘膜部分には使用しないでください。
これらの部位は皮膚に比べて角質層が極めて薄く、薬剤の刺激が直接強く出るため、激しい炎症やびらん、灼熱感を引き起こすリスクがあります。
誤って粘膜に付着した場合は、すぐに多量の水で洗い流すようにし、症状が残る場合は医療機関を受診してください。
まとめ

アダフェリンジェルは、ニキビの根本治療を目的とした外用レチノイドとして広く使用され、角質調整作用と抗炎症効果により、多くの人に治療効果が期待されています。
一方、使用初期には皮膚の乾燥・剥脱・紅斑・そう痒症などの皮膚刺激症状が比較的高い頻度であらわれることが知られており、これらの副作用に対する理解と対処が重要です。
また、非常にまれではあるものの、湿疹や単純ヘルペスの再活性化、血中脂質の変動など全身的な症状が報告されることもあります。
国内の臨床試験データでは、大半の副作用が軽度で一過性であり、使用継続とともに軽減される傾向があることも確認されています。
副作用を予防・軽減するためには、切り傷や粘膜への使用を避けること、刺激性の高い薬剤との併用を控えること、過度な使用をしないことなどが重要です。
副作用に過剰に不安を抱く必要はありませんが、肌の状態や体質に応じた正しい使い方を心がけてください。
異常を感じた場合は、早めに医師に相談することが、安心して治療を継続するうえで重要なポイントです。
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