フルナイトは、入眠障害などの不眠症治療に用いられる非ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。

有効成分のエスゾピクロンは比較的すみやかに効果があらわれる睡眠薬として知られていますが、依存性や精神症状、呼吸抑制、肝機能障害などの副作用も報告されています。

この記事では、フルナイトの副作用として重大な症状やまれな症状などについて詳しく解説します。

副作用を抑えるためのポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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フルナイトの服用による重大な副作用

フルナイトは、比較的副作用が少ないお薬とされていますが、中には重大な症状として以下のようなものが報告されています。

依存性（薬物依存）

フルナイトは、長期間や高用量での使用により精神面・身体面の両方で依存が生じるおそれがあります。

依存が生じると、服用を中止または減量した際に離脱症状として、以下のような症状があらわれる場合があります。

自己判断で急に中止すると症状が強まり、日常生活に支障をきたす危険性もあります。

服用期間や用法・用量は医師の指示に従い、必要最低限に留めることが重要です。

依存の兆候がある場合は、早期に医療機関へ相談してください。

精神症状・意識障害

フルナイトの服用により、以下のような精神症状・意識障害があらわれる場合があります。

また、注意力や判断力の低下、意識がもうろうとするなどの意識障害を引き起こすこともあります。

これらの症状は高齢者や肝機能が低下している人で発生しやすく、転倒や事故の危険性が高まる傾向にあります。

症状が急に出現することもあり、本人が自覚しにくい場合もあるでしょう。

服用中に異常な言動や精神状態の変化、極端な集中力低下などが見られた場合、すみやかに医療機関を受診してください。

呼吸抑制

フルナイトは中枢神経を抑える作用を持つため、服用によって呼吸が浅くなったり遅くなったりする「呼吸抑制」が起こることがあります。

高齢者や、慢性閉塞性肺疾患（COPD）や睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患を抱える人は注意が必要です。

また、アルコールや他の中枢抑制薬（睡眠薬や抗不安薬など）と併用すると、呼吸抑制のリスクがさらに高まります。

重度の場合、酸素不足によって意識障害や命にかかわる事態を招くおそれがあります。

服用中に息苦しさ、異常な眠気、呼吸の乱れなどが見られた場合、自己判断で服用を中止せず、すみやかに医療機関を受診することが重要です。

肝機能障害

フルナイトは肝臓で代謝されるお薬で、まれに服用によって肝機能障害が発生することがあります。

肝機能障害に分類される主な症状として、以下が挙げられます。

肝機能が低下するとお薬の代謝が遅れ、体内に成分が蓄積して副作用の発現リスクが高まる可能性があります。

長期間服用している場合や、肝疾患の既往歴がある人は注意が必要です。

定期的な血液検査による肝機能の確認が望ましく、異常が認められた場合は医師の判断で減量や中止、他のお薬への切り替えが行われます。

アナフィラキシー

フルナイトの服用後、まれに全身性の強いアレルギー反応であるアナフィラキシーが発生することがあります。

個人差はあるものの症状は急速に進行し、以下のようなアレルギー反応があらわれます。

服用直後に皮膚の異常や息苦しさなどがあらわれた場合、直ちに服用を中止してください。

過去にお薬や食物でアナフィラキシーを起こした経験がある人は、事前に医師へ申告することが重要です。

一過性全健忘・もうろう状態・睡眠随伴症

フルナイトの服用により、服薬後の出来事を覚えていない「一過性全健忘」や、覚醒しているのに意識がはっきりしない「もうろう状態」が起こることがあります。

また、睡眠中に無意識で行動する「睡眠随伴症（夢遊症）」として、以下のような行動が報告されています。

これらの症状は本人に記憶がないことが多く、事故やケガ、周囲への危険に影響するおそれがあります。

発症リスクは、主に服用量やアルコールとの併用などによって高まるでしょう。

異常行動や記憶欠落が見られた場合は、すみやかに医師へ相談することが大切です。

フルナイトの服用によるまれな副作用

フルナイトの服用によるまれな副作用として、主に以下のような症状が報告されています。

傾眠

フルナイトの服用により、強い眠気や傾眠（異常な眠気）があらわれることがあります。

これはお薬の中枢神経抑制作用によるもので、日常生活に支障をきたす場合があります。

傾眠状態が続くと、注意力の低下や転倒事故の原因となるため、運転や危険作業は避けてください。

症状が強い場合は医師に相談し、服用量の調整やお薬の変更などを判断してもらいましょう。

味覚異常

フルナイトの服用により、まれに味覚異常が報告されています。

たとえば、口の中で金属味や苦味、あるいは通常とは異なる味を感じることがあり、これが食事の楽しみを損なったり、食欲減退に繋がったりする場合があります。

多くの場合、味覚異常は一過性であり、服用の継続や中止により自然に改善することが多いといえるでしょう。

ただし、症状が長期間続いたり、強い違和感がある場合は自己判断せず医師に相談し、必要に応じて治療や服用方法の見直しを検討してください。

めまい・頭痛

フルナイトの服用により、めまいや頭痛があらわれることがあります。

これはお薬の中枢神経抑制作用や、血圧の変動による影響と考えられます。

起立時にめまいが生じる場合は、転倒や事故のリスクが高まるため注意が必要です。

めまいや頭痛が頻繁に起こったり症状が強かったりする場合は、自己判断で中止せず医師に相談してください。

医師は服用量の調整や、別のお薬への切り替えを検討することがあります。

また、症状が続く間は自動車の運転や危険を伴う作業は控えてください。

口の渇き

フルナイトの服用により、口の渇き（口腔乾燥症）があらわれることがあります。

これはお薬の作用によって唾液の分泌が抑えられるためで、不快感だけでなく口内炎や虫歯のリスクを高めることもあるでしょう。

口の渇きを感じたら、こまめな水分補給を心がけるとともに、日頃から丁寧な口腔ケアをおこなうことが重要です。

症状が長期間続いたり、口内の不快感や痛みが強い場合は、医師に相談して適切な治療や対処法を検討してください。

お薬の使用継続にあたっては、専門医の指示を守ることが大切です。

その他

フルナイトの服用によるその他の副作用として、以下のような症状が挙げられます。

	1%未満	頻度不明
主な副作用	・うつ病 ・不安 ・注意力障害 ・異常な夢 ・口腔内の不快感 ・口腔内の乾燥 ・下痢 ・便秘 ・倦怠感 ・湿疹　など	・神経過敏 ・記憶障害 ・試行異常 ・錯感覚 ・感情不安定 ・錯乱状態 ・発疹 ・瘙痒症 ・消化不良 ・嘔吐 ・筋肉痛 ・片頭痛 ・背部痛 ・高血圧 ・末梢性浮腫　など

フルナイトは、サンファーマが開発した不眠症治療薬で、ルネスタのジェネリック医薬品です。 1箱：3,290円～

フルナイトの副作用に関する臨床試験結果

フルナイトの有効成分「エスゾピクロン」の副作用に関しては、複数の臨床試験で安全性が検証されています。

以下では、高齢者を対象とした短期試験、成人を対象とした中期試験、そして6か月間の長期試験の結果をまとめました。

概要	対象	投与量・期間	傾向
高齢者試験（2週間）	65〜85歳（231例）	1mg・2mg（毎晩投与）	最も多い副作用は「不快な味」（1mg群8.3%、2mg群11.4%、プラセボ15.0%）。重大な転倒・健忘・幻覚などは報告なし。
成人試験（6週間）	21〜64歳（308例）	2mg・3mg（毎晩投与）	味覚異常が最も多い。3mg群で入眠後覚醒時間が有意に短縮。離脱症状や耐性は確認されず。
長期試験（6ヶ月）	21〜69歳（788例）	3mg（毎晩投与）	有害事象はエスゾピクロン群81.1%、プラセボ群70.8%。主な症状は不快な味、頭痛、吐き気、倦怠感。離脱症状や重篤な副作用は報告なし。

上記の臨床試験から、エスゾピクロンは短期から長期にわたり忍容性が高く、重篤な副作用の発現頻度は低いことが示されています。

一方、味覚異常や眠気、頭痛 などの比較的軽度な副作用は一定の割合で発生するため、服用中に気になる症状が出た場合は、医師に相談することが重要です。

フルナイトの副作用を最小限に抑えるポイント

フルナイトの副作用を最小限に抑えるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

低用量から服用を開始する

フルナイトは効果や副作用のあらわれ方に個人差があるため、服用開始する際は低用量から始めることを推奨します。

高齢者や肝機能・腎機能が低下している人などは、お薬の代謝や排泄が遅れ、作用が強く出やすくなります。

過量から始めると強い眠気やふらつき、転倒、記憶障害、呼吸抑制などの副作用が起こるリスクが高まるでしょう。

初回は低用量で反応を確認し、必要に応じて医師判断のもと段階的に調整することが、安全で効果的な服用に繋がります。

自己判断で増量しない

フルナイトを自己判断で増量するのは、重大な副作用や依存性のリスクを高める危険な行為です。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるフルナイトは、中枢神経抑制作用を持つため、過量服用により以下のような症状が生じることがあります。

また、長期的には耐性が形成され、さらに量を増やさないと効きにくくなる悪循環に陥り、依存性が進行するおそれもあります。

効果が不十分に感じられる場合でも、生活習慣や服用タイミング、併用薬の影響など他の要因が関与していることが多く、自己判断では解決できません。

安全性確保のため、必ず医師と相談し、適切な用量調整や治療方針の見直しを受けることが重要です。

食事と同時・食直後に服用しない

フルナイトは、空腹時のほうがすみやかに吸収され、効果が得られやすいお薬です。

高脂肪食と同時に摂取すると胃内滞留時間が延び、吸収が遅れ、入眠までの時間が長くなることがあるでしょう。

その結果、期待したタイミングでの眠気が得られず、翌朝の残存効果や生活リズムへの影響が生じる可能性があります。

フルナイトの効果を可能な限り引き出すためには、就寝前30分〜1時間の空腹時に服用することが望ましく、食直後の服用は避けてください。

アルコールを過剰摂取しない

アルコールの過剰摂取は、フルナイトの中枢神経抑制作用を増強するリスクがあります。

併用により、強い眠気やふらつき、呼吸抑制、判断力低下、記憶障害などのリスクが高まり、事故や転倒、窒息など命にかかわる事態を招くおそれがあります。

さらに、高齢者や基礎疾患がある人では危険性が増します。

フルナイトの服用期間中は飲酒を控えるか、やむを得ず摂取する場合は医師に相談してください。

グレープフルーツと一緒に飲まない

多くの内服薬は腸管で吸収され、体内で作用した後、肝臓などの薬物代謝酵素で分解されて腎臓から排出されます。

グレープフルーツや、関連する飲料などに含まれるフラノクマリン類は、このCYP3A4を阻害し、腸管での代謝を減らすことでお薬の血中濃度を上昇させます。

頭痛や過度の眠気などのリスクを避けるため、服用中はグレープフルーツやその果肉、加工品の摂取を控えることが重要です。

フルナイトの場合、この作用により分解が遅れ、副作用が強くあらわれるおそれがあります。

症状は摂取当日だけでなく、2〜3日続く場合もあるため併用は避けるべきです。

まとめ

フルナイトは効果的な睡眠薬ですが、副作用リスクを理解し適切に使用することが重要です。

依存性や精神症状、呼吸抑制、肝機能障害などの重大な副作用が報告されており、低用量から開始し自己判断での増量を避けることが安全な服用のポイントです。

また、食事直後の服用やアルコール・グレープフルーツとの併用は副作用を強めるため控える必要があります。

副作用の兆候があれば速やかに医療機関に相談し、医師の指示に従うことが大切です。