臨床試験の結果から読み解くエリデルクリームの有用性について
エリデルクリームはアトピー性皮膚炎にともなう症状の緩和に効果的な医薬品です。臨床試験の結果に基づいて、エリデルクリームの有用性について解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

エリデルクリームはカルシニューリン阻害剤の一種で、有効成分のピメクロリムスはアトピー性皮膚炎にともなうかゆみを緩和するのに効果的です。
非ステロイド性の医薬品のため、使い続けることによる皮膚の菲薄化を心配する必要がありません。
本記事ではエリデルクリームの有用性について、臨床試験の結果をもとに解説します。
目次
エリデルクリームについて

エリデルクリームはピメクロリムスを有効成分に配合した、カルシニューリン阻害剤の一種です。
はじめに、エリデルクリームの特徴や適応症状、製薬会社について解説します。
特徴
エリデルクリームの特徴は、細胞内のカルシニューリンの働きを阻害する点です。
アトピー性皮膚炎の発症には、2型ヘルパーT細胞が深く関わっています。
細胞内のカルシニューリンの働きが阻害されると、2型ヘルパーT細胞の活発化が抑制されるため、炎症の元となるサイトカインの放出を防ぐ結果につながります。
従来のアトピー性皮膚炎治療にはステロイド製剤が多く用いられていましたが、使い続けると皮膚が薄くなる(菲薄化)問題がありました。
エリデルクリームは非ステロイド性の医薬品で、菲薄化を心配する必要がないため、デリケートな箇所への塗布も可能です。
適応症状
エリデルクリームは、軽度〜中等度のアトピー性皮膚炎にともなうかゆみや赤みの解消に効果的です。
他の局所療法で効果が見られなかった方や、他の治療法が推奨されない方に対する第2選択療法としての適用があります。
製薬会社
エリデルクリームはスウェーデンに本拠地を置く製薬会社「メダ社(Meda Manufacturing)」が製造・販売しています。
もともとエリデルクリームはスイスのバーゼルに本拠地を置く製薬会社「ノバルティス」が製造・販売していました。
2011年にノバルティスが持つエリデルクリームの全世界での権利が、メダ社に売却された経緯があります。
その後、2016年になりメダ社はアメリカの製薬会社「マイラン(Mylan)社」に買収され、現在では皮膚科・呼吸器科領域の医薬品を販売しています。
臨床試験の結果から読み解くエリデルクリームの有用性

エリデルクリームの有用性について、国内および海外で行われた臨床試験の結果をもとに解説します。
ランダム化二重盲検対照多施設第3相試験の結果
軽度〜中等度のアトピー性皮膚炎を持つ生後3ヶ月〜17歳589名を対象に、ランダム化二重盲検対照多施設第3相試験が行われました。
6週間にわたり1%のエリデルクリームを塗布したところ、対照群との間に以下の差が見られました。
エリデルクリーム塗布群(267例) | 対照群(136例) | |
クリア | 28(10%) | 5(4%) |
クリアまたはほぼクリア | 93(53%) | 25(18%) |
軽症~回復期 | 180(67%) | 55(40%) |
アトピー性皮膚炎は症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴ですが、エリデルクリーム塗布群では、対照群に比べて有意な症状の改善が見られました。
日常診療におけるピメクロリムス製剤の有効性
アトピー性皮膚炎患者947名を対象に、エリデルクリーム1%を塗布する6ヶ月間の非盲検多施設共同研究が行われました。
疾患改善率は1週間目で53.7%、24週目で66.9%と、エリデルクリームの有効性が確認されています。
症状が悪化したのは全体の9.5%で、十分な効果が得られないために治療を中止した例は全体の4.8%でした。臨床的に予期しない有害事象の報告はありません。
小児アトピー性皮膚炎に対する長期使用の臨床試験
2歳〜17歳までのアトピー性皮膚炎患者713名を対象に、1年間におよぶ対照二重盲検試験が行われました。
その結果、エリデルクリーム(ピメクロリムス)塗布群では、対照群に比べてアトピー性皮膚炎の再燃が有意に少ないことが分かりました。
まとめ

臨床試験の結果から、エリデルクリームの有効成分であるピメクロリムスが、アトピー性皮膚炎の改善に効果的と分かりました。
症状が軽度であるほど症状の進行を予防しやすく、長期にわたりアトピー性皮膚炎を効果的に管理できることが示唆されています。
今回の記事を参考にエリデルクリームの効果について理解し、用法用量を守って正しく使用してください。
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