スマトリプタンの併用禁忌と服用してはいけない人の特徴を解説
スマトリプタンは片頭痛に効果があるお薬ですが、特定のお薬との併用が禁忌とされています。スマトリプタンの服用前には、併用禁忌薬について十分に理解し、該当する場合は医師または薬剤師に相談することが重要です。
お薬通販部スタッフ[監修]

この記事では、スマトリプタンの併用禁忌薬と服用してはいけない人の特徴を解説します。
スマトリプタンは、片頭痛に対して効果のあるお薬です。
エルゴタミンや5-HT1B/1D受容体作動薬など、片頭痛に効果のある他のお薬との併用は禁忌とされています。
また、併用禁忌のお薬は他にもあり、スマトリプタンの服用前には現在服用中のお薬を医師や薬剤師に伝え、適切なアドバイスを受けることが重要です。
目次
スマトリプタンに併用禁忌はある?

スマトリプタンは、以下の医薬品との併用が禁忌とされています。
分類 | 効果 | 注意事項 |
エルゴタミン・エルゴタミン誘導体含有製剤 | 片頭痛 | 血圧上昇、もしくは血管攣縮が増強されるおそれがある。 |
5-HT1B/1D受容体作動薬 | 片頭痛 | 血圧上昇、もしくは血管攣縮が増強されるおそれがある。 |
MAO阻害薬 | パーキンソン病 | スマトリプタンの作用が増強されるおそれがある。 |
上記のお薬を併用すると、重篤な副作用を引き起こすリスクが高くなります。
ここからは、それぞれの詳細などを詳しく解説します。
エルゴタミン製剤
エルゴタミン製剤は、片頭痛に使用されるお薬です。
広がった脳の血管を収縮させることで、片頭痛などの痛みを和らげる作用があります。
スマトリプタンも同様に血管収縮の作用を有しているため、併用することで過度の血管収縮が生じ、血流が著しく低下するリスクがあります。
これにより、手足の冷えやしびれ、最悪の場合は重篤な虚血症状を引き起こす可能性があるため、エルゴタミンとスマトリプタンの併用は避けるべきです。
エルゴタミン誘導体含有製剤
エルゴタミンの誘導体も、スマトリプタンと併用すると過度の血管収縮を引き起こすリスクがあるため、併用禁忌とされています。
これらの誘導体には、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩やエルゴメトリンマレイン酸塩などが含まれ、片頭痛や偏頭痛の治療に用いられます。
エルゴタミン誘導体はエルゴタミンに類似した作用を持ち、血管収縮を引き起こすため、スマトリプタンとの併用によって重篤な血流障害が起こるおそれが高まります。
5-HT1B/1D受容体作動薬
5-HT1B/1D受容体作動薬は、スマトリプタンと同様に片頭痛の治療に用いられ、セロトニン受容体に作用することで血管収縮を促します。
スマトリプタンと併用すると、過剰なセロトニン作用が生じ、セロトニン症候群が発現するリスクがあります。
セロトニン症候群は発熱や発汗、不安、下痢などの危険な症状があらわれるので、すみやかな対応が求められます。
MAO阻害薬
MAO阻害薬(モノアミン酸化酵素)は、スマトリプタンと併用することで血中のセロトニン濃度が過度に高まり、セロトニン症候群が発症するリスクがあります。
MAO阻害薬は、パーキンソン病の治療に使用されることが多く、神経伝達物質であるセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの分解を阻害することで効果を発揮します。
しかし、スマトリプタンと併用することで、これらの物質の濃度が異常に上昇し、神経系に大きな負担をかけるおそれがあるため、併用禁忌とされています。
スマトリプタンを服用してはいけない人

スマトリプタンは、特定の人には服用が適さない場合があります。
以下に、服用を避けるべき主なケースを挙げ、それぞれの背景やリスクについて説明します。
スマトリプタンに対して過敏症の既往歴のある人
スマトリプタンに対する過敏症の既往歴がある人は、服用が禁じられています。
過敏症とは、お薬の成分に対するアレルギー反応を示す症状のことを指し、皮膚の発疹、痒み、腫れ、呼吸困難などのアレルギー反応があらわれる場合があります。
特に、過去にスマトリプタンの成分に反応したことがある場合は、再び服用することでアレルギー反応が悪化するおそれが高くなります。
そのため、医師の診断に基づき、スマトリプタン以外の治療法が推奨されます。
心筋梗塞の既往歴がある人
心筋梗塞の既往歴がある人は、スマトリプタンの服用を避けるべきです。
スマトリプタンは血管収縮作用があり、冠動脈に負担がかかりやすく、血流が再び途絶える危険性があります。
心筋梗塞は、心臓の血流が不足することで心筋が壊死する疾患であり、再発を防ぐためには血管を安定させることが非常に重要です。
スマトリプタンによる血管収縮作用は、片頭痛の原因となる血管拡張を抑制する目的で有効です。
しかし、心筋梗塞の既往歴がある場合は、再発を促す要因になることがあります。
脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往歴がある人
脳血管障害や一過性脳虚血性発作(TIA)の既往歴がある人も、スマトリプタンの服用が禁忌とされています。
スマトリプタンは脳血管にも作用するため、血流障害のリスクが高まります。
脳血管障害は、脳の血管が破れることで引き起こされる障害で、血管の一時的な閉塞や出血が原因です。
一過性脳虚血性発作は、一過性の脳虚血に伴い神経症状が生じる疾患です。
短時間で回復するものの、再発や脳卒中のリスクが高く、慎重に管理しなければなりません。
スマトリプタンの血管収縮作用により脳血流が制限されると、これらの既往歴がある人は再発のリスクを高めるおそれがあります。
虚血性心疾患や異型狭心症がある人
虚血性心疾患や異型狭心症がある人は、スマトリプタンを避けるべきです。
スマトリプタンは血管収縮を引き起こし、特に冠動脈に影響を与えるため、血流が不足する心疾患を悪化させるリスクがあります。
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓で心臓の血管が狭くなり、十分に酸素や栄養が届かない状態を指します。主に、狭心症や心筋梗塞が含まれます。
異型狭心症は、血管のけいれんによって冠動脈の血流が低下するので、血管に直接作用するお薬によって症状が誘発されやすくなります。
スマトリプタンの服用により冠動脈の収縮が起こると、これらの症状が再発または悪化するおそれがあるでしょう。
末梢血管障害や肝機能障害を有する人
末梢血管障害や肝機能障害がある人も、スマトリプタンの服用は避けるべきです。
末梢血管障害は、四肢や身体末端部の血流が悪くなる疾患で、血管収縮を促すスマトリプタンが症状を悪化させるおそれがあります。
また、肝機能障害がある場合、お薬の代謝が正常に行われないため、スマトリプタンが体内に蓄積し、副作用のリスクが高まります。
肝臓で代謝されるお薬は、肝機能が低下していると分解や排出が遅れるため、過剰に体内に残り、深刻な副作用が出現するおそれがあります。
高血圧症の人
高血圧症の人も、スマトリプタンの服用を避ける必要があります。
なぜなら、スマトリプタンは血管を収縮させる作用があり、血圧が上昇するリスクがあるからです。
高血圧症は、動脈に過度の圧力がかかる状態であり、お薬の影響でさらに血圧が上がると、脳卒中や心筋梗塞などの合併症が発生するおそれがあります。
スマトリプタンが血管に作用することで、血圧が急激に上昇する可能性があるため、血圧が高い人は特に服用に注意が必要です。
まとめ

スマトリプタンは片頭痛に効果的なお薬ですが、中には併用禁忌や特定の疾患がある人の服用が禁忌とされています。
特に、過去にスマトリプタンに対する過敏症の既往歴がある人や心筋梗塞、脳血管障害、一過性脳虚血性発作などの既往歴がある人は、重大な副作用が生じるリスクがあるため服用できません。
また、虚血性心疾患や異型狭心症、末梢血管障害や肝機能障害、高血圧症の人も、血管や血流に関する作用が身体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、慎重な判断が求められます。
スマトリプタンを安全に服用するためには、服用前に現在の健康状態を正確に医師へ伝え、他の治療法を含めた適切なアドバイスを受けることが重要です。
スマトリプタンを服用する際には、こうしたリスクを理解した上で、安全に治療を進めることが求められます。
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