ニゾラールクリームはヤンセンファーマ株式会社が製造・販売している抗真菌薬の一種で、有効成分としてケトコナゾールを配合しています。

ケトコナゾールには真菌の細胞膜合成を阻害し、増殖を抑制する作用があるため、脂漏性皮膚炎などの真菌由来の皮膚疾患を改善するのに効果的です。

ニゾラールクリームとは

はじめに、ニゾラールクリームがどのような医薬品なのかについて解説します。

抗真菌薬の一種

ニゾラールクリームはイミダゾール系の抗真菌薬の一種です。

抗真菌作用を有する塗り薬（外用薬）はイミダゾール系、および非イミダゾール系の2種類に分類されます。

非イミダゾール系の抗真菌薬は白癬（水虫など）については高い殺菌効果を有しますが、カンジダにはあまり効果を発揮しません。

1990年代以前に製造されたイミダゾール系抗真菌薬は、白癬に対してはあまり効果を発揮せず、カンジダに対して高い効果を発揮する点が特徴です。

1990年代以降に製造されたイミダゾール系抗真菌薬は、白癬およびカンジダの双方に有効ですが、かぶれに注意する必要があるとされています。

ニゾラールクリームが日本で販売されたのは1993年ですが、海外では1982年より販売されているため、1990年代以前のイミダゾール系抗真菌薬に分類されます。

ニゾラールクリームはカンジダだけでなく皮膚糸状菌や癜風菌に対しても高い効果を発揮し、効果持続時間が長い点が特徴です。

ニゾラールクリームの歴史

ニゾラールクリームの有効成分であるケトコナゾールは、1976年にベルギーのヤンセン社で開発されました。

日本では1993年の10月に承認され、1997年の6月には脂漏性皮膚炎に対する効果・効能が追加承認されています。

有効成分

ニゾラールクリームには、有効成分としてケトコナゾールが配合されています。

ケトコナゾールはイミダゾール系の抗真菌薬で、脂漏性皮膚炎に対して唯一適応を持つ点が特徴です。

また、ケトコナゾールは白癬や皮膚カンジダ症、癜風の治療にも用いられています。

ニゾラールクリームは有効成分ケトコナゾールを含む外用の抗菌薬です。 1箱：1,300円～

ニゾラールクリームの効果

ニゾラールクリームの有効成分であるケトコナゾールには、真菌の細胞膜合成を阻害し、増殖を抑制する効果があります。

角質層への親和性や浸透性に優れており、効果の持続時間が長い点も特徴です。

国内で行われた臨床試験によって、ニゾラールクリームには脂漏性皮膚炎や皮膚カンジダ症、癜風、白癬に対する有用性が確認されました。

ニゾラールクリームの適応症状

ニゾラールクリームの適応症状は以下の通りです。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は常在菌の一種であるマラセチアの異常繁殖によって発症する、炎症性皮膚疾患の一種です。

その他の皮膚疾患とは異なり初期にはかゆみがないか、あっても軽微であるケースが多いため、発症に気づくのが遅れるとしばしば慢性的な経過をたどります。

白癬

白癬は皮膚糸状菌と呼ばれるカビの一種による感染症の一種で、家族やペット、スポーツ活動などを通じて感染するのが一般的です。

足趾の間や足裏、足の爪、陰部などに感染するケースが多く、なかでも爪を含む手足に感染したケースを水虫と呼んでいます。

癜風

癜風は皮膚の常在菌である癜風菌の異常繁殖によって発症する感染症の一種で、汗をかきやすい人に好発する点が特徴です。

発症するとカサカサとした鱗屑（りんせつ）が生じ、皮膚の表面に茶色や白色の斑が見られるようになります。

皮膚カンジダ症

皮膚カンジダ症は真菌の一種であるカンジダにより引き起こされ、股部や陰部、手指の間、口のまわりなどにジクジクした紅斑および水泡が生じます。

高温多湿の環境やオムツの使用、多汗、不潔などの要因が重なると、皮膚カンジダ症を発症するリスクが増加します。

まとめ

ニゾラールクリームは、有効成分としてケトコナゾールを配合した、イミダゾール系抗真菌薬の一種です。

ケトコナゾールには真菌の細胞膜合成を阻害し、増殖を抑制する効果があるため、脂漏性皮膚炎や白癬、癜風、皮膚カンジダ症の改善に効果的です。