梅毒とは、梅毒トレポネーマ〔Treponema pallidum subspecies pallidum(T.p)〕という細菌に感染する性感染症です。
日本の患者数は1990年代以降年間1000人を下回っていたのですが、2011年から微増し始め、2015人には2000人を、そして2017年には5000人の患者が報告され、ここ数年で患者数は増加の一途をたどっています。
特に20代の女性の患者数が急増しており、2012年以降は異性間の性的接触が原因の1つにあげられています。
爆発的な広がりにより、一般家庭においても感染者が出る事態となっています。 感染をこれ以上拡大させないために各自が予防に気をつけ、疑いがある場合には検査を受ける必要があります。
梅毒が歴史上明記されたのは15世紀末になってからです。そのため梅毒の起源については諸説あります。
などがあります。
近代史に数多くの文献が残っており、日本においては1512年に初めて記録されています。 世界中の多くの人が感染し、歴史とともに治療法が確立していった病気となります。
梅毒は15世紀ごろのヨーロッパで発症しました。
その起源は諸説ありますが、一番有効な説は、探検家であるクリストファー・コロンブスがアメリカからヨーロッパに持ち帰ってきたという説です。
コロンブスの探検隊員がアメリカにて原住民の女性と性行為をおこない感染し、そのままヨーロッパに帰還したというもので、日付の整合性に難があるものの、梅毒症状の見られるアメリカ原住民の骨が発見されており、現在最も支持されています。
その他、フランス王が1494年に外国人傭兵を引き連れてイタリアに侵入し、イタリアで大流行したのが始まりというもの、もともと15世紀以前から世界に存在していたものの記録が残っていないだけだという記述も残っています。
症状が軽い状態の梅毒がもともと世界には存在し、なにかのきっかけにより、症状の軽い複数の梅毒が組み合わさり現在の症状の強い梅毒に発展ともいわれています。
またコロンブスの説と同様アメリカ起源ではありますが、アラスカとシベリアの間のベーリング海峡を通り、シベリア経由でアメリカからヨーロッパに広がったという説もあります。
いずれにせよ、記録がある15世紀のヨーロッパから現代に至るまで、感染者が絶えない病気といえそうです。
日本において、梅毒が始めて言及され記録に残っているのは1512年のことです。
「シナ潰瘍」という名で医学概論書に登場しています。 膿が滲み出てくる潰瘍であり、膿疱や花の形を逆さにしたような潰瘍の形は非常にめずらしいと言及されています。
現在最も有力視されている梅毒の起源はコロンブスの航海がおこなわれた1493年であったことを考えると、わずか20年で梅毒は世界中に蔓延したことになります。 飛行機もない交通の未発達な時代において、これは驚異的なスピードです。
1512年当時の日本は戦国時代、間もなく江戸時代を迎えようとしている時です。 梅毒は感染力が強く、当初は海外との交流のあった沖縄で蔓延し、その後花柳界でも蔓延しました。
江戸の一般庶民へも感染が拡散し、梅毒感染率は実に50%であったともいわれています。
現在はペニシリンなどの抗生物質で治療することが可能ですが、当時は有効な治療法がなく、多くの死者が出たといわれています。
また症状の1つに鼻部の軟骨炎による鞍鼻(鼻根部が陥没した状態)や、鼻の欠損などの鼻の変形が見られることがあり、川柳などで詠われるケースも多くありました。
「梅毒」という名は、できものが楊梅の果実の形に似ていたため、当時「楊梅瘡(ようばいそう)」という名称で呼ばれており、時代とともに「梅毒」に変化したといわれています。
梅毒の原因は梅毒トレポネーマという細菌に感染することです。
学名はTreponema pallidum subsp. Pallidumといい、6~14施転の螺旋状のグラム陰性菌であり、低酸素状態では長く生き延びることは不可能です。
そのため感染経路を限定することが可能です。
ヒトが自然界における唯一の宿主となります。
直径は0.1~0.2 μm、長さは6~20 μmとサイズが小さく、ヒト体内でなければ生きられません。
精液や膣分泌液などに含まれており、性行為により感染します。
傷口からの浸出液や血液にも含まれますので、感染者の傷や怪我などに触れた際に、非感染者の皮膚も傷がついていたりすると感染してしまいます。
青い色彩を放つためラテン語で「青い」を意味する「pallidum」という種名が付けられています。
1998年に全ゲノムの塩基配列が公開されていますが、未だ試験管内での培養には成功しておりません。
(ただ何故かウサギの睾丸内では培養します。)
また梅毒トレポネーマは、主要栄養素の合成に必要不可欠である代謝経路の遺伝子の欠落があり、培養に時間がかかるため培養が困難です。
これらの影響により、現代でも病原性機構はほとんどが未解明のままとなっています。
梅毒の主な感染経路は性的接触です。
梅毒は代表的な性感染症であり、性行為により粘膜や皮膚を介して感染する梅毒は後天梅毒と呼ばれます。
また傷の浸出液や血液から感染するケースもあります。
一方、母子感染や輸血などの血液感染によって、出生時より梅毒に感染している場合は、先天梅毒と呼ばれます。
母子感染は妊婦が梅毒に感染しており、胎盤を介して胎児も梅毒に感染します。
先天梅毒においては、妊婦に梅毒検査が義務付けられているため、ある一定程度予防策をとることが可能ですが、後天梅毒においては本人が気づき、また予防策を講じない限り、感染が拡大してしまう傾向があります。
後天梅毒は、出生時には梅毒に感染しておらず、後天的に感染した梅毒を指し、一般的には性的接触(他人の皮膚や粘液に直接接触する行為)により感染した梅毒です。
梅毒の病原菌である梅毒トレポネーマは、精液や膣分泌液に含まれており、性器と性器の接触、性器と肛門の接触(通称:アナルセックス)、性器と口の接触(通称:オーラルセックス)などにより感染いたします。
性行為の多様化によりアナルセックスやオーラルセックスも一般的になってきており、また妊娠の可能性がないため、アナルセックスやオーラルセックス時にはコンドームを付けないケースも多く、梅毒を含む性感染症の拡大に歯止めがかからない状態です。
その他、梅毒トレポネーマは血液や傷の浸出液にも含まれており、感染者かつ非感染者が両方とも怪我をしていたり、傷のある手指が多量の菌に汚染された物品に接触して感染したりするケースもあります。
輸血による感染は、血液のスクリーニング技術の進歩により、現在ではほとんどありませんが、新鮮血液を用いた緊急輸血の際は注意が必要です。
早期に治療を開始すれば治療効果は高いですが、治療開始が遅れると生涯に渡り再発の危険性が残ることもありますので、梅毒が疑われる場合は早期に検査を受けましょう。
先天梅毒は、梅毒に罹患している母親から生まれ、出生時より梅毒に感染していることをいいます。
日本では妊婦に梅毒検査を実施することが母子保健法により義務付けられておりますので、妊婦全員が梅毒検査を受けることとなります。
一般的に、妊娠初期(4~12週)の間に血液検査にて実施されます。
梅毒に感染しているとわかったら即治療を開始します。母親が無治療の場合は高い確率で胎児が感染する可能性があり、40%は流産や死産、残りは梅毒感染による障害を持って生まれてくるといわれています。
感染率や障害の程度は母体の梅毒への感染時期によるといわれています。
母体が感染して間もない場合は、病原体は感染箇所のみにとどまっています。
この時期に治療を開始できればいいのですが、気づかない場合は、母体の血液に病原体が入ることで、胎盤を通じて胎児が感染してしまうこととなります。
実際には母体の感染時期はわからないため、胎児が感染したことを前提に治療をおこないます。
症状は出生直後にははっきりしませんが、乳児期に肝脾腫、紫斑、黄疸などの症状が、学童期になり角膜炎や難聴などが発現する場合があります。
日本での報告例は、1999年以来ずっと1桁台だったのが、2007年には49例と患者数の増加に伴い増加しています。母子感染により一層の注意が必要です。
梅毒の感染者が急増している原因の1つに、 梅毒の症状が現れたり消えたりを繰り返すことがあげられます。
いったん症状が消えてしまいますので、患者は治った、一時的であったと勘違いして、治療をせず放置してしまうケースが多いのです。
感染後3週間は第一潜伏期と呼ばれており、症状がありません。 感染から3週間後に感染箇所にしこりや潰瘍が出現しますが、特に治療をおこなわなくても数週間で消えてしまいます。
その後感染から3ヶ月後まで症状がなく、この期間は第二潜伏期と呼ばれています。 感染から3ヶ月後には、丘疹・バラ疹などの赤い発疹が全身に発現したり、扁平コンジローマと呼ばれる平らなできものが性器や肛門などに発現したりします。
そしてこれらの症状も特に治療することなく、数週間で消えてしまうのです。 その後治療をおこなわないと 梅毒は体内に潜伏し、徐々に全身を蝕んでいきます。
この時期は潜伏梅毒と呼ばれており、感染1年後を境にして、早期潜伏梅毒および後期潜伏梅毒と呼ばれています。
さらに感染から3年後に、ゴム腫や結節といわれるゴムのように柔らかいできものが、骨や皮膚、筋肉に発現するという新たな症状が現れるという、 実に長い潜伏期間を要する油断のならない病気といえます。
梅毒の内、後天的に性行為などによる感染する梅毒である後天梅毒の症状は、感染からの時期により第1~4期に分けられます。
第1期は感染後3週間から3ヶ月、第2期は感染後3ヶ月から3年、第3期は感染後3年から10年、第4期は感染後10年以降を指します。
第1期では感染部位にしこりや潰瘍が発現します。
第2期では、病原菌である梅毒トレポネーマが全身に広がり、手足などに発疹が現れます。
第1期および第2期の症状は特に治療しなくても数週間で消失します。
第3期では、結節やゴム腫が皮膚・筋肉・骨に発現してきます。
そして第4期では、動脈瘤や大動脈炎など非常に重篤な症状が発現します。
先天梅毒は乳児期および学童期に症状が発現することがあります。
第1期は感染後3週間から3ヶ月の期間を指します。
感染3週間後に感染部位である陰部にしこりが発現します。このしこりは初期硬結と呼ばれており、コリコリとした小さな赤い隆起です。
この初期硬結は、時が経過すると中央がジクジクした状態に変化します。これを硬性下疳といいます。
その後鼠径部(脚の付け根)のリンパ節に腫れが発現する場合があります。これは横痃や横根と呼ばれています。
いずれも痛みがないのが特徴であり、3~12週間経過すると特に治療しなくても消失してしまうことが多く、気づかないケースが考えられます。そのため第1期に梅毒の感染に気づくのは稀です。
第2期は感染後3ヶ月から3年の期間を指します。
第1期では病原体である梅毒トレポネーマは感染部位だけにとどまっていましたが、この時期はすでに体内に侵入しており、血液にのって全身に広がっています。
そのため体幹や、手のひら、足の裏を中心に淡い紅い発疹が発現します。
見た目がバラに似ていることから、バラ疹と呼ばれており、放置していると数週間で消失するため見逃されるケースが多くあります。
その後、全身に直径1cm位までのコリコリとした丘疹性梅毒疹ができます。
性器や肛門にできる丘疹性梅毒疹は、扁平コンジローマと呼ばれています。
また手のひらや足の裏には梅毒性乾癬という赤っぽい湿疹ができ、引っ掻くとフケのようなものが剥がれ落ちます。
丘疹性梅毒疹や梅毒性乾癬により梅毒の診断が下るケースが多くあります。
第3期は感染後3年から10年の期間を指します。
治療をおこなわないでいると梅毒がさらに進行し、骨・筋肉・皮膚に結節やゴム腫と呼ばれる、ゴムのような固さの腫瘍が発現します。
現代は医療が発達したため、多くの患者が第2期で診断され治療を開始するケースがほとんどであり、ゴム腫が発現するケースは稀となっています。
ゴム腫は皮膚表面だけではなく、肝臓や血管などの内臓にできるケースもあります。
この時期にくると治療をおこなったとしても、病原菌である梅毒トレポネーマを完全に体内から排除することは難しくなることが知られています。
第3期に到達する前に治療を開始できるかが、その後の予後が良好かどうかの分かれ目になりそうです。
第4期は感染後10年以降の状態を指します。
病原菌である梅毒トレポネーマは体内の奥深くまで入り込んでおり、皮膚や粘膜を超えて広がりを見せ、血管や神経、脳、脊髄が侵されています。
脳、中枢神経や大動脈に影響がおよび、脳が侵されることによる麻痺性痴呆、大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、中枢神経系が侵されることにより記憶力低下や性格の変化を引き起こす進行麻痺、脊髄が侵されることで傷みや運動失調などが引き起こされる脊髄ろうなどの神経梅毒にまで発展してしまいがちです。
ここまでくると、発現する症状は命に関わる危険性があります。
先天梅毒の場合、まず母体が梅毒に感染し、未治療であると40%は死産や流産になるといわれています。
また無事誕生したとしても障害が起きることが多いのがこのケースです。
出生時の症状ははっきりとはしませんが、乳児期になると、肝臓や脾臓が大きく腫れてしまう肝脾腫、内出血により紫色に斑点が生じる紫斑、粘液や皮膚が黄色くなる黄疸などが発現します。
鼻にもよく症状が発現し、鼻炎や出血性鼻漏(鼻血のような鼻水)、鞍鼻などが生じます。
その他、骨の中が炎症する骨髄炎、骨の周りの膜の炎症の骨軟膜炎、骨の病変による痛みのため手足が動かせない「Parrotの仮性麻痺」などが生じる場合もあります。
進行すると髄膜炎や、頭蓋内に髄液がたまる水頭症、哺乳障害などが生じるケースも報告されており、乳幼児期にこれらの症状が発現する梅毒は早期先天梅毒と呼ばれます。
なお、乳幼児期には症状が発現せず、学童期になって初めて症状が発現する晩期先天梅毒もあります。
その代表的な症状は、角膜炎・内耳性難聴・のこぎり状の歯と呼ばれる「ハチンソンの三徴」です。
その他、骨の周りの膜が厚い骨膜肥厚、骨にゴム腫の発現、視力障害、関節炎、知能障害などが発症する場合もあります。
梅毒に感染しているかどうか検査をおこないたい場合は、病院にいくか、自治体によっては保健所で検査をおこなっているところもあります。
基本的には血液検査にて、抗体を検出するための血清診断をおこなうことで判断します。
カルジオライピンという非特異的な脂質抗原を用いる「脂質抗原法」と、病原菌である梅毒トレポネーマの抗原を使用する「TP抗原法」という方法であり、基本的にはこの2つの方法を組み合わせて、確定診断および治療方法を決定します。
両検査とも梅毒に感染後4週間以上経過しないと陽性反応が出ませんので、症状があるのに陰性となった場合は、再度時間をおいて検査をおこなってください。
梅毒に感染の疑いがある場合には、医療機関の診断を受けるようにしましょう。
皮膚科や感染症専門の科、その他、男性なら泌尿器科、女性なら産婦人科で診察を受けてください。
口腔内に異常を感じられた方は、耳鼻咽喉科を受診しても問題ありません。
梅毒に感染したかもしれない旨を医師に告げ、確定診断のために血液検査を受けてください。
血液検査は通常2つの方法の組み合わせで実施されます。
梅毒トレポネーマ抗原を利用する「TP抗原法」で梅毒の感染の有無を確かめ、非特異的な脂質抗原を用いる「脂質抗原法」で、治療による変化により、病気の進行具合を精査し、治療効果を判定します。
梅毒に感染に思い当たる場合でも、医療機関を受診するのを躊躇われる方もおられるかと思います。
そんな時はお住まいの自治体が検査をおこなっていないか調べてみるとよいでしょう。
お住まいの自治体によりますが、無料で検査をおこなっているところもありますし、中には匿名で大丈夫であり、予約も不要としている自治体もあります。
また土日や夜間の検査に対応している自治体や、即日結果が出る自治体もあり、各自治体で検査に対するハードルを下げる努力をおこなっています。
これは、梅毒を含む性感染症の広がりを防ぐために実施されており、HIV検査も同時におこなえるケースも多いようです。梅毒は早期発見、早期治療が肝心です。ぜひ保健所を活用してください。
梅毒に感染が疑わしい場合に、病院にも保健所に行くのにも抵抗にある方におすすめなのが、セルフ検査キットの使用です。
セルフ検査キットはインターネットで発注可能であり、郵送にて検査キットが自宅に届くのでわざわざ出向く必要はありません。
検査キット内記載された指示に従って血液を採取します。
血液採取は、検査キットに含まれている採血器具を用いておこないます。
通常は小さな針を指先に指し、一滴程度の血液を採取するのみですので、危険性はほぼなく、どなたでも簡単におこなうことが可能です。
その場で結果がわかるキットと、キットを返送すると検査結果を後程郵送もしくは電子メールなどで知らせてくれるキットがありますので、いずれの方法かを確かめてから注文するようにしましょう。
梅毒の治療は、ペニシリン系抗生物質による投薬治療がおこなわれています。
海外ではペニシリンGの筋注単回投与が基本となりますが、日本国内ではペニシリンGは使用できないため、ビクシリンやサワシリンなどのペニシリン系抗生物質の長期間服用となります。
基本的には1回500mgを1日3回経口服用し、服用期間は梅毒の感染からどれくらい経過しているかで異なります。
梅毒感染後3週間から3ヶ月の第1期では2~4週間、梅毒感染後3ヶ月から3年の第2期では4~8週間、梅毒感染後3年から10年の第3期では8~12週間の投与が目安となっています。
感染からどれくらい経過しているかわからない場合は、基本的には8~12週間の治療が推奨されています。
神経梅毒の場合は、ベンジルペニシリンカリウムもしくはセフトリアキソンを点滴静注し、決められた期間継続投与します。
ペニシリンアレルギーを有する患者には、ドキシサイクリンまたは塩酸ミノサイクリンを使用します。妊婦にも基本同様の治療をおこないますが、胎児への副作用を懸念して塩酸ミノサイクリンは使用しません。
治療効果の判定は、抗体価がある一定の数値まで下がったかどうかで判定します。
梅毒の治療には主にペニシリン系の抗生物質を使用します。
梅毒はペニシリンに対して耐性がないため、ペニシリンにて治療可能です。梅毒の治療に使用される代表的なペニシリン系抗生物質には、アモキシシリンや、ビクシリン、バイシリンなどがあげられます。
なお、梅毒に感染してから1年以内の患者さんの治療においては、治療の初期において、38℃台の高熱が出ることがあります。
これはヤーリッシュ・ヘルクスハイマー現象といって、梅毒の病原菌である梅毒トレポネーマが一気に死滅するために身体が反応しておこる発熱であり、薬の副作用ではありません。
初回治療の場合は、慎重な観察が必要です。
梅毒の主な治療薬の1つにアモキシシリンがあげられ、基本的に1回500mgを1日3回経口服用します。
治療初期にはヤーリッシュ・ヘルクスハイマー現象と呼ばれる、38℃前後の発熱、全身倦怠感、頭痛、悪寒、発疹、筋肉痛などの一時的な増加が起こることがあります。
これらは梅毒の病原菌である梅毒トレポネーマの破壊により起こる現象で、アモキシシリンの副作用ではありません。
日本国内では、有効成分にアモキシシリンを含有する梅毒治療薬は複数承認されており、入手には医師の処方せんを必要とする医療用医薬品として流通しています。
代表的なものに、アステラス製薬が販売するサワシリン、アスペンジャパンが販売するパセトシン、武田薬品が販売するアモリン、Meiji Seikaファルマが販売するワイドシリンなどがあげられます。
ジェネリック医薬品も複数承認され、市場で販売されています。
アモキシシリンは、日本性感染症学会が2018年に公表した梅毒診療ガイドにおいて治療の第一選択薬です。
アレルギーがない場合は、基本的にアモキシシリン1回500mg1日3回で4週投与を基本とし、治療初期にみられるヤーリッシュ・ヘルクスハイマー現象の発熱と、投与開始8日目ごろから起こりやすい薬疹に注意することとされています。
ビクシリンはMeiji Seikaファルマより販売されており、有効成分としてアンピシリン水和物を含有する、ペニシリン系の抗生物質です。
剤型はカプセル、ドライシロップ、配合錠、注射液などバリエーションに富んでおりますが、日本国内において梅毒治療薬として承認を得ている剤型はカプセルのみとなります。
通常、成人に対して1 回あたりアンピシリン水和物として250~500mg(力価)を、1 日4~6 回経口投与して使用し、年齢や症状に応じて適宜用量の調整が可能です。
細菌の細胞壁の合成に深く関わるタンパク質であるペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用し、細菌の細胞壁合成を阻害することで、細菌を殺し、抗菌作用を有します。
安全性の高い薬剤ですが、まれにアレルギー反応を起こすことがありますので、ビクシリンの成分やペニシリン系抗生物質に対して過敏症の既往歴のある方は服用してはいけません。
また経口避妊薬ピルと服用すると、腸内細菌叢を変化させることで、ピルの腸肝循環による再吸収を抑制し、ピルの効果が減弱するおそれがありますので、飲み合わせには注意が必要です。
バイシリンはMSD株式会社が販売する持続性経口ペニシリン製剤であり、有効成分としてベンジルペニシリンベンザチン水和物を含有します。
通常、成人に対してベンジルペニシリンベンザチン水和物として1回40万単位を1日3~4回経口投与します。なお、用量は年齢や症状により適宜増減することが可能です。
ただし高度な腎障害を有する方の場合は、バイシリンの血中濃度が持続する可能性があるため、投与量を減らすが、投与間隔を広げるなどの適切な調整が必要ですのでご注意ください。
比較的安全性の高い薬剤ですが、まれにアレルギーが起こる場合もありますので、バイシリンの含有成分やペニシリン系の抗生物質に対して過敏反応を起こしたことがある方は使用をお控えください。
細菌の細胞壁の合成に深く関与するタンパク質である、ペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用し、細菌が細胞壁を合成するのを阻害することで、細菌を死滅させ、抗菌作用を有します。
臨床試験により梅毒トレポネーマに対して強力な抗菌力を発揮することが示されています。剤型は顆粒という粉末よりも粒径の大きい粉薬となります。
梅毒の治療薬は、日本国内においては、その効果の高さから、医師の処方せんを必要とする処方せん医薬品に指定されています。 ドラッグストアなどの一般薬局や、Amazonや楽天などの一般的な通販サイトでは取り扱いがないのもそのためです。
梅毒の治療薬を入手したい場合には、まず病院やクリニックを受診し、医師の診察を受けてください。 医師があなたの状態を診察し、梅毒感染と診断すれば、梅毒の治療薬の処方せんをあなたに発行します。
その処方せんを調剤薬局に持参することにより、梅毒の治療薬を受け取ることが可能となります。
ネット通販で処方せん不要で購入できる方法もないわけではありません。
海外で販売されている梅毒の医薬品を入手する場合は、個人使用目的に限定され、かつ数量は限られますが、個人輸入代行業者を介して、海外から輸入することが可能です。
梅毒の治療薬は、処方せん医薬品という、医師が診断の上処方せんを発行し、調剤薬局にいる薬剤師がその処方せんに基づいて調剤し、一般消費者に手渡される医薬品であり、別名、医療用医薬品ともいいます。
処方せん医薬品はその効果が優れている医薬品が指定されます。
効果の優れた医薬品は、副作用にも気を配るなど、使用に際し注意が必要であり、一般消費者の使用にあたっては、医師の判断および薬剤師の説明が必要不可欠とされており、厚生労働省が指定しています。
そのため、一般薬局やドラッグストア、Amazonや楽天などの通販サイトでは取り扱っていません。 ただし検査キットは医療用医薬品ではないため、通販にて取り扱っているサイトがあります。
日本国内で承認を取得している梅毒の治療薬を使用したい場合は、病院やクリニックを訪れるのがよいでしょう。
医師が身体の状態を診察し、梅毒の診断が下れば、梅毒の治療薬の処方せんが発行されます。その処方せんを調剤薬局に提出すると、薬剤師が調剤し、薬の注意事項などをあなたに説明します。
そうしてようやく梅毒の治療薬を入手できます。
梅毒の治療薬を通販にて購入希望の方は、日本国内で承認されている梅毒の治療薬ではなく、海外市場で販売されている治療薬を個人輸入する方法があります。
日本国内では、梅毒の治療薬は処方せん医薬品に指定されているため、医師の診断が必要不可欠であり、診断に基づいて発行される処方せんを調剤薬局に提出することで、薬剤師から入手することとなっています、
そのため日本国内において代表的な通販サイトであるAmazonや楽天などでは、梅毒の治療薬の取り扱いはありません。
一方、海外市場で販売されている医薬品は、個人使用目的であり、かつ一定数量までであれば、厚生労働省に事前に通知することなく海外から輸入可能であることが薬事法で規定されています。その際、医師の診察および処方せんは不要です。
個人輸入する場合は、個人輸入代行業者を利用するとよいでしょう。
購入方法は通常のショッピングにて利用する通販サイトとほぼ同様で、個人輸入代行業者のWebページにアクセスし、取り扱う医薬品リストから購入する医薬品を選択します。
個人輸入代行業者が数限りなく存在しますが、海外市場にて承認を取得済みの医薬品のみを取り扱う海外の個人輸入代行業者を選択されることをおすすめします。
梅毒は日本国内において、感染者数が急増しています。主な感染経路は性行為であり、代表的な性感染症の1つといえます。
感染初期は症状が出現するものの、数週間すると消失してしまうため、非常に気づきにくい病気です。しかし、治療は早ければ早いほど効果が高く、早期発見・早期治療が欠かせません。
現代では医療技術の進歩により早期に発見できるようになっていますので、梅毒の感染が疑われる場合は検査を受けてください。
治療薬も複数開発されており、不治の病という呼び名は過去のものとなっています。梅毒も早期発見、早期治療で完治できる性感染症なのです。
医薬品情報サイト
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アモキシシリンは、ブリストル・ラボラトリーズ社が開発した淋病や梅毒などを始めとする感染症に有効な治療薬で、サワシリンやパセトシンのジェネリック医薬品です。
アモキシシリンの代表的な適応症状である淋病は、性感染症の一種で、国内ではクラミジアに次いで感染者数が多いといわれています。
淋病は重症化するほどに治療が困難なものになりますが、早期であれば抗生物質を使用して短期間で症状を緩和させる治療法があります。
アモキシシリンは、その際に使用する治療薬として効果的な医薬品として知られています。
ディヴァイン
>>ディヴァイン
ディヴァインは、シプラ社が開発したテトラサイクリン系抗菌薬で、クラミジア治療薬であるミノマイシンのジェネリック医薬品です。
ディヴァインは細菌のタンパク質合成を阻害することから、抗菌範囲が広い治療薬クラミジアを始めとして、多くの種類の細菌および感染症の治療に効果を示します。
テトラサイクリン系抗菌薬において、組織移行性が良好で生体内半減期も長く、作用持続時間が長いのが特徴です。
梅毒セルフ検査キット
>>梅毒セルフ検査キット
梅毒は2013年以降より国内発症数が増加傾向にあり、厚労省も注意喚起を促している感染症です。
梅毒は性交渉によって感染する性感染症(STD)のうちの一種で、梅毒トレポネーマという病原菌が原因となって発症します。
無治療でも一見治癒したように思えますが、適切な治療を受けずに経過すると血液を介して病原体が全身にまわり、複数の臓器に障害を起こします。
また、妊娠した女性が梅毒に感染すると、胎盤を通して母子感染を起こし死産・早産・新生児死亡・奇形のリスクが高くなります。