コンジローマは正式名称を「尖圭コンジローマ」と言い、褐色もしくは黒褐色の扁平隆起性小腫瘍(いぼ)が多発する病気です。
腫瘍と聞くと癌をイメージされる方もいますが、そもそも腫瘍には「腫れたできもの」の意味があります。
尖圭コンジローマも大半は良性腫瘍に分類されるため、過度に心配する必要はありません。しかし、稀に癌化するケースもあるため、自分の判断で放置するのは厳禁です。
参考文献:厚生労働省「尖圭コンジローマ」
コンジローマは陰茎や外陰部など性器の周辺にできるケースが多いため、なかなか人に相談できず以下のような疑問をお持ちの方が多い傾向にあります。
はじめに、コンジローマについて多く寄せられる4つの質問についてお答えします。
コンジローマ(尖圭コンジローマ)は、陰茎や外陰部など性器の周辺に褐色もしくは黒褐色の扁平隆起性小腫瘍(いぼ)が多発する病気です。
扁平隆起性小腫瘍の大きさは人によりさまざまで、米粒程度の小さないぼが見られるケースもあれば、カリフラワー状に大きくなるケースもあります。
見た目が鶏のとさか(鶏冠・けいかん)に似ている点も特徴です。
コンジローマ(尖圭コンジローマ)は、主に陰茎や外陰部など性器の周辺などにできる点が特徴です。
男性の方は陰茎の亀頭部や冠状溝(かんじょうこう)、包皮内外板(ほうひないがいばん)、陰嚢(いんのう)、会陰(えいん)、肛門周辺などに生じやすい傾向があります。
女性の方は膣や膣前庭(ちつぜんてい)、大陰唇(だいいんしん)、小陰唇、会陰、尿道口(にょうどうこう)、肛門周辺などが好発部位です。
ただし、コンジローマを発症した方がキスやオーラルセックスをした場合、口腔内に腫瘍ができる可能性もあります。
コンジローマを発症したとしても、通常は痛みやかゆみなどの症状をともなわない点が特徴です。
しかし、コンジローマを発症した箇所やいぼの大きさによっては、痛みやかゆみを生じるケースもあります。
女性の方が膣もしくは子宮頚部にコンジローマを発症した場合、外陰の病変に似た症状が見られケースもありますが、通常は「flat condyloma」と呼ばれる扁平な隆起が見られます。
コンジローマの正式名称が「尖圭」コンジローマと呼ばれるのは、いぼの表面がとげとげしい形をしているためです。
見た目から鶏のとさかやカリフラワー、花キャベツなどと表現される点もコンジローマの特徴です。
コンジローマは適切な治療により改善が期待できますが、再発するケースも多いため注意が必要です。
コンジローマの代表的な治療法は以下の3つです。
コンジローマの発症が疑われる際には、薬物療法で改善を試みるのが一般的です。
いぼやいぼの周辺にべセルナクリームを1週間につき3回塗布し、ウイルスの増殖を抑え、自己免疫力を高めていきます。
コンジローマはウイルスに感染した結果として発症するため、即効性のある治療法はありません。
そのため、根気強く薬物療法に取り組み、症状を根本から改善していく必要があります。
治療に必要な期間は人によりさまざまですが、2週間に1回の通院が数ヶ月にわたり続くケースも少なくありません。
また、コンジローマはしばしば再発するため、症状が気にならなくなっても自分の判断で治療薬の塗布を中断するのは厳禁です。
液体窒素でコンジローマを凍らせて取り除く凍結療法も行われていますが、通常は薬物療法と平行するのが一般的です。
いぼ自体を取り除く際に手術療法が行われるケースもあります。
いぼをレーザーで焼き切るため見た目はすぐに改善できますが、原因となるウイルスが取り除かれる訳ではありません。
そのため、手術療法を行う際も薬物療法を並行して行う必要があります。
コンジローマの治療には通常ベセルナクリームが用いられています。
ベセルナクリームにはイミキモドが有効成分として配合されており、皮膚内に存在するマクロファージと結合し、免疫システムを活性化させる点が特徴です。
通販サイトではイミキモドを配合した「イミクアッド」および「アルダラクリーム」の購入が可能です。
イミクアッド | アルダラクリーム | |
---|---|---|
区分 | ジェネリック | ジェネリック |
有効成分 | イミキモド | イミキモド |
効果 | 尖圭コンジローマの治療など | 尖圭コンジローマの治療など |
1袋あたり単価 | 810円~ | 967円~ |
製薬会社 | グレンマーク | メダ |
イミクアッドはインドに本拠地を置くグレンマーク(Glenmark Pharmaceuticals Ltd.)が開発・製造しているベセルナクリームのジェネリック医薬品です。
イミクアッドにはベセルナクリームと同様に有効成分としてイミキモドが配合されており、尖圭コンジローマおよび日光角化症の治療に用いられています。
イミキモドが皮膚内に存在するマクロファージに結合すると、インターフェロンα(IFN-α)の産生が促進されます。
インターフェロンαによってウイルスの増殖が抑制され、なおかつ細胞性免疫応答が賦活化してウイルス感染細胞が障害されることで、ウイルス感染にともなう疾患に対して効果を発揮する点が特徴です。
イミクアッドはグレンマークが開発した尖圭コンジローマと日光角化症に使用される治療薬です。 日本の処方箋医薬品であるベセルナクリームのジェネリック医薬品です。 尖圭コンジローマの治療法は、いぼを取り除く外科的方法と薬による治療法があります。
参考文献:持田製薬 医薬品インタビューフォーム「べセルナクリーム5%」(PDF)
アルダラクリームはスウェーデンに本拠地を置くメダが開発した、ベセルナクリームのジェネリック医薬品です。
ベセルナクリームと同じくイミキモドを配合しており、尖圭コンジローマおよび日光角化症の治療に効果的です。
尖圭コンジローマを対象に先発医薬品であるベセルナクリームを用いた二重盲検用量反応試験では、有意な用量反応性が認められています。
基材群を用いた群では疣贅(ゆうぜい・いぼ)の完全消失率が34.0%(53例中18例)であったのに対し、ベセルナクリームを用いた群では63.6%(55例中35例)と高い改善率が見られました。
イミキモドを有効成分として配合したアルダラクリーム、およびイミクアッドにも先発医薬品のベセルナクリームと同様の効果が期待できます。
アルダラクリームはメダが開発した尖圭コンジローマの治療薬でベセルナクリームのジェネリック医薬品です。 尖圭コンジローマは、痛みのないブツブツの増加やカリフラワー状になるといった特徴があるイボが性器や肛門などその周辺にあらわれます。 アルダラクリームをイボの部分に塗布することで感染した細胞を体内の免疫で排除しながらウイルスの増殖を抑えます。
参考文献:持田製薬 医薬品インタビューフォーム「べセルナクリーム5%」(PDF)
コンジローマが悪化するととげとげしたいぼが亀頭全体を覆うため、見た目が良くないだけでなく、日常生活や性行為にも影響を及ぼす恐れがあります。
そのため、コンジローマの原因や感染経路について理解し、適切に対処することが重要です。
コンジローマ(尖圭コンジローマ)の原因は、ヒトパピローマウイルスです。
ヒトパピローマウイルスは英語で「Human Papillomavirus」と表記されるため、頭文字をとってHPVと呼ばれるケースもあります。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は主に性行為がきっかけとなって生殖器や周辺に疣贅(いぼ)を作るウイルスです。
人間においては皮膚に感染する型と粘膜に感染する型が100種類以上あるとわかっており、2008年にはHPVが子宮頸がんの原因ウイルスになることが突き止められました。
HPVには低リスク型と高リスク型の2タイプがあり、コンジローマの原因となるHPVは低リスク型に分類されています。
HPVは性行為を経験したおよそ半数の女性が生涯に一度は感染するとされており、比較的ポピュラーなウイルスとして知られています。
近年では若い女性がHPVに感染し、子宮頸がんを発症するケースが増加傾向にあるため注意が必要です。
コンジローマの感染経路は主に以下の2つです。
コンジローマの主な感染経路は性行為です。
発症部位と性器および肛門などの粘膜が接触することで、接触した箇所にコンジローマの感染を引き起こします。
男性の場合は亀頭部や冠状溝(かんじょうこう)が主な感染部位ですが、男性同士の成功により肛門周辺にコンジローマの感染を引き起こすケースもあります。
女性の方は膣や膣前庭や大・小陰唇、会陰部、尿道口、肛門周辺などがコンジローマの好発部位です。
コンジローマ感染者とキスやオーラルセックスをした場合、口腔内や唇、咽喉にコンジローマを発症する可能性があります。
口腔内に疣贅(いぼ)ができると口内炎と間違えやすいですが、コンジローマの場合は痛みをともなわない点が特徴です。
コンジローマに感染した場合、およそ3ヶ月の潜伏期間を経て疣贅(いぼ)があらわれる点が特徴です。
ただし、潜伏期間は人によりさまざまで、半年から8ヶ月ほど経過してから発症するケースもあります。
コンジローマに感染したとしても、通常は無症状で経過するのが一般的です。
しかし、女性が感染した場合はおりものの量が増えるケースがあります。
女性の場合はコンジローマとトリコモナス膣炎、カンジダ膣炎、淋菌感染症を併発するケースも多く、かゆみや痛みを生じるケースがあります。
男性がコンジローマを放置すると、亀頭全体が疣贅(いぼ)で覆われ、排尿が困難となるケースもあるため注意が必要です。
コンジローマの発症が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。
コンジローマ自体は良性の腫瘍のため、症状が軽微であれば自然治癒するケースもあります。
ただし、稀に癌化する恐れがあるため、自分の判断で放置するのではなく、専門医の診察を受けることが欠かせません。
コンジローマを予防する主な方法は以下の2つです。
コンジローマはワクチン接種で予防できる唯一の性感染症として知られています。
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の摂取により、コンジローマの発症予防が可能です。
2020年12月には男性に対するHPVワクチンの摂取も認可されました。
コンジローマの予防法としては、コンドームの着用も挙げられています。
しかし、コンジローマの病変は範囲が広いため、完全に感染を予防できる訳ではありません。
ウイルスによって作られた腫瘤から細胞の塊が零れ落ちて陰茎の根元に付着すると、コンドームを着用してもコンジローマに感染する恐れがあります。
コンジローマの治療法は主に以下の3つです。
コンジローマの代表的な治療法が、塗り薬(イミキモド外用薬)での薬物療法です。
1日おきに塗り薬を塗布し、6〜10時間したら洗い流すのがポイントです。
塗り薬での薬物療法には健康保険が適用され、2週間分の薬代は3,000円程度となっています。
イミクアッドには、1袋あたりイミキモドが12.5g配合されています。
アルダラクリームには、1袋あたりイミキモドが5.0g配合されています。
コンジローマの発症にともなう疣贅(いぼ)を早く取り除きたい場合、レーザーやメスを使用した外科療法を受ける方法があります。
疣贅(いぼ)の数が少ない場合は、炭酸ガスレーザーや電気焼灼(でんきしょうしゃく)で疣贅(いぼ)を取り除きます。
取り除いた箇所にはかさぶたができますが、1〜2週間でかさぶたが取れてきれいになります。
疣贅(いぼ)の数が多い場合は、多発している箇所の包皮を切除するのが一般的です。
疣贅(いぼ)が取れた箇所ではコンジローマの感染を防げますが、ウイルス自体を除去できる訳ではないため、塗り薬での治療を続ける必要があります。
コンジローマを発症すると、特徴的なとげとげしい扁平隆起性小腫瘍(いぼ)が生じるため、問診および視診で確認可能です。
症状によっては検体を採取してウイルス感染の有無を判断するケースもありますが、専門的な検査を行う例は多くありません。
コンジローマ治療薬には以下のような好意的な口コミが寄せられています。