男性機能の活性化を担うバイアグラのメカニズム

バイアグラのメカニズム(仕組み)とは
有効成分がシルデナフィルクエン酸塩であるバイアグラとは、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と呼ばれる血管拡張剤に分類され、血行改善効果のあるED治療薬です。
バイアグラの成分シルデナフィルは、陰茎海綿体内に存在する酵素PDE5の活性を選択的に阻害し、神経及び海綿体内皮細胞由来の一酸化窒素の刺激により産生された陰茎海綿体内のcGMP(環状グアノシン一リン酸)の分解を抑制する作用をもちます。
さらに陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、血管の拡張により血液量・血流量が増加しスポンジ状の海綿体に血液が一気に流れ込み、その圧力により海綿体を硬貨させることで陰茎を勃起させ維持させる効果があります。
目次
ファイザー純正バイアグラの形状
ファイザーから発売されている正規品のバイアグラは、現在国内では、バイアグラ錠25㎎・バイアグラ錠50㎎・バイアグラODフィルム25㎎・バイアグラODフィルム50㎎の4種類が存在します。
海外では100㎎錠も存在しますが、日本では承認されておらず、医療機関では取り扱われていません。
バイアグラ錠25㎎は、青色で菱形、縦6.8㎜横9.3㎜厚み3.4㎜の錠剤で、表に「Pfizer」裏に「VGR25」の印字があります。
バイアグラ錠50㎎も青色で菱形、縦8.2㎜横11.3㎜厚み4.4㎜の錠剤と成分量と大きさが異なるだけで、表裏に同様の印字があります。
また錠剤タイプだけではなく、バイアグラODフィルムは口腔内崩壊のフィルム製剤で、薄いアルミ包装に封入されています。
水なしで服用が可能・速やかに溶ける・携帯しやすいといった従来の錠剤の問題点を解消した新しい剤形です。
2016年10月から販売開始されました。
バイアグラODフィルム25㎎は、薄い赤色の縦16㎜横24㎜厚み0.2㎜のフィルム製剤で、印字はありません。
バイアグラODフィルム50㎎は、錠剤と同じく大きさと成分が異なる、薄い赤色の縦24㎜横32㎜厚み0.2㎜のフィルム製剤です。
バイアグラをはじめとしたED治療薬は、これまで多くの偽物品やコピー品が出回ってきました。
全く有効成分が異なるものや製造過程で品質管理や衛生管理に問題があるものなどさまざまで、自己責任のもとで判断しなければいけません。
ED治療薬とは病院にかからなくてもEDを改善できる有効な手段の一つで、さらにインターネットで個人輸入することが容易になっているため、特に注意が必要です。
バイアグラの薬効薬理
PDE5阻害作用
まず、PDE(ホスホジエステラーゼ)とは、体内の細胞内に存在する酵素の一種で、リン酸ジエステル結合(1分子のリン酸が2個の水酸基と結合した構造)を加水分解する作用を有しています。
主に細胞内の情報伝達物質であるcAMP(環状アデノシン一リン酸)およびcGMP(環状グアノシン一リン酸)、環状ヌクレオチドを分解する働きをしています。
この働きは、環状ヌクレオチド濃度の調節の役割をしており、情報伝達機構に大きく関わっています。
人間には11種類のPDEが存在し、それぞれ分布組織が異なっており、基質特異性も異なります。
このうち、ヒトの陰茎海綿体にはPDE2・PDE3・PDE5が存在しており、PDE2はcAMPとcGMPの、PDE3はcAMPの、PDE5はcGMPの分解に関与しています。
バイアグラ (シルデナフィルクエン酸塩)のヒトPDEの活性に対する作用を比較した試験によると、陰茎海綿体より調製したPDE2・PDE3・PDE5におけるIC50値(酵素活性を50%阻害するために必要な濃度)は、それぞれ68000 mol/L・16200 mol/L・3.5mol/Lという結果になりました。
IC50値とはその値が低いほど阻害剤として活性が高いことを示すもので、PDE5のIC50値を1とした時のPDE2とPDE3への効力比は、1/19429と1/4629と圧倒的な差が報告されたのです。
この結果により、バイアグラはPDE2とPDE3にほとんど影響を与えることなく、PDE5を選択的に阻害することが示されました。
陰茎海綿体内cGMP増大作用
ヒトの陰茎海綿体内のcGMPの分解には、PDE2とPDE5が関与していますが、ほとんどがPDE5で、PDE2はcAMPに選択的基質を持っています。
バイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)によって、PDE5が阻害されることで、産生されたcGMPの分解が抑制され、それにより陰茎海綿体内cGMP濃度は上がっていきます。
ウサギの摘出陰茎海綿体を用いて、バイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)に、一酸化窒素を放出する作用を有するニトロプルシドナトリウムを併用した時の陰茎海綿体内cGMP量を測定した研究がおこなわれたところ、ニトロプルシドナトリウムを併用する理由は、興奮によって放出される一酸化窒素を意図的に放出することができ、またその投与量によって効果の差を比較するためにあるとわかりました。
また、同じ投与量のニトロプルシドナトリウムに対する各投与量のシルデナフィルクエン酸塩の併用における陰茎海綿体内cGMP濃度を比較した場合は、シルデナフィルクエン酸塩の投与量が多いほうがcGMP濃度も高くなる結果になりました。
逆に、各投与量のニトロプルシドナトリウムに対する同じ投与量のシルデナフィルクエン酸塩の併用における陰茎海綿体内cGMP濃度を比較した場合は、ニトロプルシドナトリウムの投与量が多いほうが、cGMP濃度も高くなる結果がでています。
海綿体弛緩増強作用
陰茎海綿体内cGMPが増えれば、海綿体平滑筋は弛緩していきます。
ここでも、ウサギの摘出陰茎海綿体を用いた実験がおこわれています。
まず、バイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)を投与した後に、陰茎海綿体をフェニレフリンで収縮させ、その収縮が安定したあとで、内皮細胞のムスカリン受容体を刺激し一酸化窒素の放出を促すメサコリンと投与します。
フェニレフリンで収縮した陰茎海綿体は、メサコリンで弛緩し、この弛緩は一酸化窒素合成阻害薬の投与で消失したことで、メサコリンでの陰茎海綿体弛緩が、一酸化窒素とcGMPを介する反応であることを確認しました。
その確認ができてから、ウサギの摘出陰茎海綿体に対しメサコリン単体投与と、同投与量のメサコリンとシルデナフィルクエン酸塩の併用時でのフェニレフリン収縮を50%弛緩させるのに必要なメサコリン濃度IC50値を比較したところ、併用時の方がメサコリン濃度IC50値が低くメサコリンの弛緩作用を増強させた結果になりました。
これは、シルデナフィルクエン酸塩の併用させることで同じだけ海綿体を弛緩させるために必要なメサコリンの投与量が少なくてすむことを指し、すなわちバイアグラによる海綿体弛緩増強作用が確認されたことになります。
海綿体圧増強作用
この実験では、麻酔をうたれたイヌを用いて、骨盤神経刺激による陰茎海綿体内圧の上昇に及ぼすシルデナフィルクエン酸の影響をみる試験がおこなわれています。
内容は、イヌの陰茎海綿体内にカテーテルを挿入し、骨盤神経刺激のみによる陰茎海綿体内圧と骨盤神経刺激に加えシルデナフィルクエン酸投与を行った陰茎海綿体内圧を測定し、その上昇度を見ていくものになります。
まず、骨盤神経刺激によって上昇した陰茎海綿体内圧が一酸化窒素合成阻害薬の投与により抑制します。
そして、この骨盤神経刺激による陰茎海綿体内圧の上昇が一酸化窒素とcGMPを介する反応であることを確認し、比較試験に移っていきます。
この実験の結果では、シルデナフィルクエン酸投与によって骨盤神経刺激のみよりも陰茎海綿体内圧は上昇し、投与量が多くなるほど高い上昇率を示しました。
骨盤神経刺激による陰茎海綿体内圧の上昇は内因性一酸化窒素によるものという実験結果がでましたが、上記の実験とは別のニトロプルシドナトリウムを投与した外因性一酸化窒素による陰茎海綿体内圧の上昇に及ぼすシルデナフィルクエン酸の影響の試験も、同様に麻酔をかけたイヌを利用しておこなわれています。
なおこの実験においても、シルデナフィルクエン酸投与によって陰茎海綿体内圧は上昇し、投与量が多くなるほど高い上昇率を示す結果になりました。
ブルーダイヤモンドとよばれた勃起薬
バイアグラ (シルデナフィルクエン酸塩)は、ED(勃起不全)のための薬です。
勃起は性的な興奮によって放出された一酸化窒素の刺激により陰茎海綿体内のcGMP(環状グアノシン一リン酸)が増加し起こりますが、その増加の最中でも同時にcGMPを分解するPDE5(ホスホジエステラーゼ5)が働いており陰茎海綿体内のcGMP量を調節しています。
ところが加齢やストレス、生活習慣の乱れなど、何らかの理由で陰茎海綿体内のcGMPの産生が減少し興奮時であってもPDE5が過剰に分泌され産生されたcGMPが分解されてしまい、増加・維持ができなくなり起こる反応が、EDや中折れになるのです。
バイアグラは、過剰なPDE5の活性を阻害しcGMPの分解を防ぐことで機能的にEDの改善に働きます。
脳や神経に作用し興奮や刺激を増やすものではなく、依存や中毒といった作用はありません。
服用方法や注意事項、併用禁忌に気をつければ、負担をかけることなく勃起不全を改善することができるでしょう。
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バイアグラ
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