個々のニーズに合わせたED治療薬
ほかにもまだあるED治療薬の種類
EDの治療と聞いて連想するのは、バイアグラなどの経口剤ではないでしょうか。
日本でのED治療は経口剤の服用が主流です。
内服で済ませられるという手軽さと、多くの使用実績により有効性が明白であることが主な理由です。
しかしED治療薬には注入剤や塗布剤といった外用剤も存在しており、諸般の事情によって薬が飲めない方にとってはこういった剤形の需要もあります。
もちろん薬剤ごとに各々の長所があるので、服薬が可能な方が別の形態の治療薬を使っても問題はありません。
この記事では日本国内での認知度が低い経口剤、そして聞きなれない注入剤や塗布剤の概要や使用方法など、様々なED治療薬についてご紹介します。
目次
その他の経口剤
1998年に販売を開始した世界初のED治療薬であるバイアグラとは、勃起を収める作用を持つPDE5(ホスホジエステラーゼ5)酵素を阻害するシルデナフィルを主成分としている医薬品です。
その後バルデナフィルやタダラフィルといった新たなPDE5阻害剤が開発され、ED治療薬として用いられるようになりました。
その他、内服による治療薬の多くは血管拡張効果を持つ成分から組成されます。
現在、日本国内で経口剤として承認されているED治療薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリスの三種のみです。
しかし諸外国では多種多様な治療薬が販売されており、承認の有無を問わなければ幅広い選択肢があります。
後発品ゆえに従来の治療薬よりも効果の発現が早い、持続時間が長いといったメリットがあるのも特長です。
ザイデナ
韓国の東亞製薬が販売するED治療薬です。
PDE5阻害剤であるウデナフィルを主成分とし、韓国ではバイアグラに次ぐシェアを誇っています。
韓国で開発されたことからアジア人向けとされており、ジェネリックも複数種類存在します。
一回の服用量は100mg~200mgで、性交の1時間前に服用すると30分~1時間ほどで効果が出始め、およそ12時間にわたって持続します。
即効性があり長時間効果が持続するうえ、食事の影響を受けにくいことから非常に使い勝手のよい治療薬と言えますが、日本では未認可の医薬品です。
バイアグラなどの一般的なED治療薬と同様に持病の種類や現在服用中の薬によっては使用できない場合もありますので、個人輸入での服用を検討する際は注意が必要です。
メシル酸フェントラミン
交感神経拮抗薬で、販売元は中国の江蘇省中央製薬です。
交感神経とは副交感神経と対をなす自律神経系のひとつであり、活動時に活発になって心拍数の増加や血管の収縮、膀胱の弛緩などを促します。
アドレナリンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が受容体に作用することで上記の効果がもたらされますが、メシル酸フェントラミンの成分はα1受容体を遮断する血管拡張薬として機能するため、海綿体内の血流改善によるED治療に用いられます。
用法は性交渉の30分前に一回一錠40mgを経口摂取します。
原則としてED治療薬は男性を対象としていますが、この薬剤は女性も服用することが可能で、不感症を改善する効能があるといわれています。
ホーニーゴートウィード
中国のプロラボ社が販売する、天然成分のみで作られたサプリメントです。
主成分はイカリソウという主に中国大陸に分布する多年草ですが、その強精作用から古来より漢方薬にも用いられています。
日本でもユンケルや養命酒などに含まれることで知られる生薬です。
イカリソウの有効成分であるイカリインには軽度ですがPDE5阻害作用があり、サプリメントながら医薬品と同等の効果があるといわれています。
その他にもマカやイチョウエキスといった血行促進や血管拡張に効果的な成分が配合されており、陰茎の血流改善による男性機能の向上が期待できると人気の強壮剤です。
使用の目安は一日二錠で、即効性はないため効果を実感するまでにある程度の期間は服用が必要になります。
注入剤
ED治療薬とは代表的な薬剤にあるように経口服用するものが主流ですが、なかには内服でなく注入によって体内に取り込んで使用するものもあります。
例えばICI療法(陰茎海綿体注射療法)と呼ばれる治療では注入剤を使用しますが、その際陰茎に直接薬剤を注射するので持病などによりED治療薬が服用できない方でも治療が可能です。
また経口剤が性的刺激を受けた際に勃起を扶助するよう作用するのに対し、注入剤の場合は性的刺激がなくても勃起させることができます。
これは血流改善によって強制的に勃起を起こしているため、さらに持続時間も経口剤より長くなっています。
特に注射の場合は、経口剤のように胃腸内での吸収を経て血液中への溶出といった過程がなくすぐに患部に到達するため、内服するED治療薬より即効性があるのも魅力です。
ミューズ
ミューズはアメリカのメダ社が製造販売する医薬品です。
剤形は小さな錠剤で、性交前に専用のアプリケーターを用いて尿道から挿入して使用します。
有効成分のアルプロスタジルが尿道内部から吸収されて陰茎の血管が拡張し、血流が増加して勃起を起こす仕組みです。効果発現は使用から5~10分程度で、その後約1時間持続します。
ミューズを尿道に挿入してから陰茎を軽くマッサージし、立ったり座ったりして軽く体を動かすと効果が出やすくなります。
この薬剤は尿道以外に挿入することはできず、口腔内に入ると有害なため口腔性交などは避けるか避妊具を使用してください。
また当然ながら排尿によって排出されてしまうので、事前に排尿を済ませておきましょう。
カバージェクト
ファイザー社が販売するED治療用の注入剤で、アルプロスタジルを主成分としています。
先述のICI療法に用いられる薬剤であり、血管平滑筋に作用して血管を拡張し、末梢血流量を増加させることで勃起を促します。
注射に使用する針は非常に細く、注入する薬剤の量も少量なので、個人差はありますが痛みはそれほど強くないとされています。
また、即効性に優れており、効果の発現は注射後5~10分ほどです。
なお日本では未承認の医薬品なので、購入時は個人輸入が原則です。
基本的には自己注射となりますが、ICI療法を行なっている医療機関に赴けば使用方法について詳しい説明を受けることもできます。
自己注射に抵抗のある方でも、身近にカバージェクトを取り扱っているクリニック等があれば検討してみるのもいいかもしれません。
塗布剤
塗布剤のメリットは何と言ってもその手軽さです。
難しい知識や用具も必要なく、塗るだけで使用することができます。経口剤や注入剤のように体内に取り込む必要がないため、心理的なハードルも低いでしょう。
しかし血液中に溶けて作用するものではないので、経口剤や注入剤ほど強い効果を実感することはできないかもしれません。
それでも食事の影響を考慮して内服時間を調整し、血中濃度の上昇を防ぐために使用間隔を空ける必要がないというメリットは看過できませんし、何より副作用の心配が格段に減ります。
内服はできないけれど注入剤の使用に不安がある方、あるいはED気味で何らかの治療薬を試してみたいという方のきっかけとしても、塗布剤は最適です。
ヒムコリン
ヒムコリンはインドのヒマラヤ社が販売する医薬部外品です。
同社はアーユルヴェーダという伝統医学に基づくサプリメントなどを展開しており、インド国内のみならず世界各地で支持を得ています。
この薬はクリーム状の塗布剤で、陰茎に直接塗って使用します。
有効成分は古くから媚薬として用いられてきたジャコウアオイと、血行促進効果のあるスタッフツリーです。
塗り込んでマッサージすることで、陰茎の血行が良くなり勃起をサポートしてくれます。
天然成分で作られた外用剤のため大きな副作用はありませんが、体質によってはアレルギー反応を起こす可能性があります。
また、陰茎に直接塗布しているため、性交時には避妊具を使用することをおすすめします。
自分のニーズにマッチするED治療薬を見つけよう
経口剤から外用剤まで種々のED治療薬についてご案内しましたが、目から鱗の製品も散見したのではないでしょうか。
経口剤が最も一般的とはいえ、人によっては効果を実感できないことや効果発現までの時間や服用間隔といった制約がネックになるかもしれません。
また持病の治療薬との併用が禁忌のため服薬を諦めざるを得ない方にとっては、内服以外の手段で治療できるのは非常によろこばしいことです。
それに加えて、治療薬に求める要素も穏やかな効果、即効性、手軽さなど人それぞれです。
ED治療薬はひと昔前よりずっと種類も増え選択肢が広がっていますので、ご自身のライフスタイルに合致するものを探してみてください。
参考文献
米国国立医学図書館-Udenafil
KEGG-アルプロスタジル
ED治療薬
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