バイアグラの併用禁忌薬が身体に与える影響
バイアグラと併用禁忌薬
ED治療薬であるバイアグラとは、男性にとって、いざという時に必要になる薬です。
ですがその効果は、ただ勃起力を高めてくれるという訳ではありません。
勃起力を高めるために、身体にはさまざまな作用が働いています。
その作用に関して、バイアグラには併用禁忌薬というものがいくつか存在し、併用し服用することでお互いの特徴が強くあらわれ不快感や時には病院に行く必要さえ出てしまう場合があります。
特に薬を常時服用している人は、現在持っている薬がどのようなものか、バイアグラを使用する際に併用禁忌薬ではないか、しっかり確認することが重要です。
この項目ではバイアグラの成分特徴である血圧を下げる作用、そしてバイアグラの成分そのものを代謝しやすく、また代謝しづらくする薬についてまとめています。
目次
降圧作用を増強することがある薬
降圧剤
降圧剤は高血圧治療などで使用される血圧を下げるための薬です。
血圧が上昇することによる、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を防止することが目的の薬となります。
降圧剤には代表的なものとしてCa拮抗薬や、ACE阻害薬などの種類があります。
その種類によって作用する部分は違いますが、血圧を下げるという最終的な目的は同じです。
特に高齢者になると血圧が高くなり、それが問題に見えることもありますが、歳を取るにつれ血管は硬く、柔軟性がなくなります。
そのため、血を上手く流すためには血圧を高くしなければスムーズに流すことができません。
降圧剤の服用することによって、血圧の数値は確かに下がりますが、それが本当に良いことかというのは別の話です。
降圧剤を使用する方は、このような経緯からどうしても高齢者の方が多くなります。
それと同じく、高齢者になると勃起する力が低くなりEDと診断されることも多くなりますので、バイアグラを使用する人も少なくありません。
しかしバイアグラは血管を広げ血圧を下げる効果もあるので、降圧剤と一緒に服用することで急激に血圧が下がってしまい、副作用が大きく出てしまうなどの問題があります。
もしどうしても降圧剤を使用しながらバイアグラも必要となる場合は、医師への相談が必要です。
α遮断剤
α遮断剤は主に前立腺肥大治療薬に使用される薬です。
前立腺は尿道を包み込むように存在しており、前立腺が肥大することによって尿道が圧迫され、排尿の際に残尿感などが強く出る症状になります。
α遮断剤で効果があらわれるα1受容体は交感神経にかかわっており、主に前立腺や膀胱に存在します。
前立腺の大きさにかかわっているため、α1受容体の働きを阻害することで前立腺の肥大を防止、縮小することで尿道が広がるようにし、残尿感の減少を見込めます。
その他にα遮断剤には血管を拡張し血圧を下げる効果もあるため、高血圧治療薬としても使用されることがあります。
代表的な商品にはハルナールやフリバスがあり、別の降圧剤との併用は注意が必要です。
バイアグラの使用の際にも同じく、血管を拡張し血圧を下げる効果があるため、同時に服用する際は血圧を更に下げてしまう危険性があります。
前立腺肥大症とEDには深い関係があり、前立腺肥大症を発症すると治療の副作用でEDの発生確率があるとされています。
その治療は手術療法であり、電気治療の必要があるので勃起機能の低下と繋がります。
逆にED治療において前立腺肥大症が改善される可能性もあり、ED治療薬の種類によっては症状が軽減されることもあります。
そのため治療においてはどちらに焦点を当てるかが重要になります。
カルペリチド
カルペリチドは主に急性心不全の際によく使用される薬です。
一般の方では入手は難しく、主な使用方法は注射になります。
急性心不全は心臓から血を送るポンプ機能が急激に低下し、主要臓器に血液を供給できなくなること、そして全身に血液が滞るうっ血と呼ばれる2つの症状のことを指します。
カルペリチドを実際に使用する際は迅速な対応が必要となる状況が多く、重篤であれば生命の維持が困難になる場合もあります。
カルペリチドを使用する場合はポンプ機能が低下し、血管が収縮してもある程度の収縮期血圧が保たれている場合です。
血管の拡張により血液の流れをスムーズに行わなければいけないので、カルペリチドなどの血管拡張剤が第一の選択肢になります。
バイアグラの使用に関しては、急性心不全が完治したとしても医師の指示を仰がなければいけません。
まず性行為自体が心臓に大きく負担のかかる行為のため、心臓に対し不安要素があればバイアグラ以前に性行為が禁止される可能性があります。
カルペリチドは普段使用する薬ではありませんが、バイアグラと同じく血管の拡張作用を持ちます。
同じ作用が重なると血圧が急激に下がってしまう危険性があるため、カルペリチドが体内に残っていないか、バイアグラを使用しても問題ないのかをしっかりと確認する必要があります。
代謝酵素を阻害する薬と誘導する薬
3A4阻害薬とは
3A4阻害薬はその名の通り、体内の代謝酵素であるシトクロムP450内のCYP3A4の働きを阻害する薬です。
普段使用されるものにはトリアゾラム(商品名:ハルシオン)やピモジド(商品名:オーラップ)があげられます。
バイアグラの有効成分は肝臓から出されるシトクロムP450内のCYP3A4を介して代謝されます。
よってCYP3A4の働きを阻害してしまうと、薬が長く体内に残ることになり、血中濃度が高く、副作用含めた効果が長く維持されることになってしまいます。
特にケトコナゾールなど一部の3A4阻害剤は、強く効果が出ることが確認されており、バイアグラとの併用は避ける必要があります。
もし3A4阻害剤を服用してしまい、バイアグラを服用したい場合は、バイアグラを低用量から始め薬の投与そのものを少なくしなければなりません。
バイアグラの成分が強く出過ぎてしまうと、血圧が低くなり血流の制御が上手くできなくなってしまいます。
特に血圧が低くなってしまうと、身体に大きなダメージを残すことに繋がりかねないので注意しましょう。
3A4阻害薬をすでに服用してしまっている場合はバイアグラの効果がなかなか出なかったとしても、バイアグラの量は10mgを超えないように注意し追加の投与も十分な感覚を空ける必要があるとされています。
3A4誘導薬とは
3A4誘導薬は3A4阻害薬とは逆に、体内の代謝酵素であるシトクロムP450内のCYP3A4の働きを誘導する薬です。
普段使用されるものにはリファンピシン(商品名:リファジン)やフェノバルビタール(商品名:フェノバール)があげられます。
バイアグラを服用した際、有効成分はCYP3A4を介して代謝されますが、これらの誘導剤はCYP3A4の働きを更に強める役割があります。
誘導薬は、バイアグラの効果をすぐに発揮させるというわけではありません。
バイアグラなどの有効成分は血中で運ばれ、ある程度体内に残らなければ効果を発揮しませんが、誘導剤を服用することですぐに代謝されてしまい、血中に残らず便となって排出されてしまいます。
日本で認証されているバイアグラは、一般的に25mgまたは50mgであり、多く服用したとしても持続時間は4~5時間程と伸びることはありません。
変わるのはその強さなので、多く服用すれば高い効果を得ることができますが、副作用も比例して表に出やすくなります。
3A4誘導薬の後にバイアグラを服用する場合は、いつもと同じ効果を得る事ができずに、追加で服用してしまう危険性が高くなります。
CYP3A4の働きが高いと、いくら服用してもバイアグラの効果は得る事ができません。
3A4誘導薬は肝臓に疾患がある方に対し処方されていることが多いので、その上でバイアグラを使用したい方は医師の指示を仰ぎましょう。
グレープフルーツジュースの影響
併用禁忌薬とはされてはいませんが、バイアグラはグレープフルーツジュースと併用してはいけません。
通常、バイアグラなどのED治療薬を服用すると、体内で代謝酵素であるシトクロムP450内のCYP3A4によりゆっくりと分解されることで効果が出始め、次第にその濃度は分解され薄くなっていくことで体内から排出されます。
しかし、グレープフルーツジュース内に含まれるフラノクマリンと呼ばれる成分は、この代謝酵素の働きを阻害する効果があることが確認されています。
薬が代謝されにくくなりいつまでも体内に残ることになってしまうため、余分に体内へ吸収されてしまいます。
薬の効果が強く出てしまったり、副作用が全面的に出てしまったりというトラブルに繋がってしまう可能性があります。
とはいえ、グレープフルーツジュースは薬ではありません。
よって一緒に飲むことが厳密に禁止されているわけでもありません。
しかしその影響がどれほどあらわれるかは個人差があり、人によって影響が強く出てしまうことも十分にあり得ます。
しっかりとバイアグラの効果を発揮させたい方は、医師の指示を仰ぎ、できるのであれば服用する際にグレープフルーツの飲食を避けるべきでしょう。
バイアグラを安全に服用するための知識
バイアグラはEDの症状を改善する薬としてよく使用されるものですが、併用することによりその効果が強く出てしまうことがあります。
もともとED治療薬とはその名の示す通り、医薬品であり直接体に作用する働きを持ちますので、他の薬との併用で悪影響が強く出ることも珍しくありません
特に血管の拡張する作用は、バイアグラでなくとも薬として幅広い種類でも使用されています。
それは身近なものから緊急時にしか使用しないものまでさまざまです。
昨今では医院のみではなく、個人輸入代行による通販でも気軽にバイアグラ、またはバイアグラに準ずるものを購入することができるようになりましたが、飲み合わせなどを気にせず服用することは、体調悪化の危険性があることを否定できません。
もしどうしても併用する必要がある場合は、バイアグラは低用量から始めましょう。
錠剤でも割ることでその量は調節することができるので、体調を配慮して使用することで、安全にED改善効果を得られます。
参考文献
KEGG-バイアグラ
役に立つ薬の情報~専門薬学~
薬のすべてがわかる!薬学まとめ
バイアグラ
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