臨床試験の結果から読み解くダパリルの有用性について
ダパリルは糖尿病治療薬「フォシーガ」のジェネリック医薬品で、有効成分としてダパグリフロジンを配合しています。臨床試験の結果から、ダパリルの有用性について解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

日本人男性のおよそ2割、日本人女性のおよそ1割に糖尿病の疑いがあるとされており、大きな健康上の懸念となっています。
ダパリルは世界110ヶ国以上で承認されている糖尿病治療薬「フォシーガ」のジェネリックで、腎臓における糖の吸収を妨げ、血糖値を下げる点が特徴です。
本記事では、臨床試験の結果をもとに、ダパリルの有用性について解説します。
目次
ダパリルとは?

ダパリルは糖尿病の治療薬ですが、慢性心不全や慢性腎臓病に対しても効果があるとされています。
はじめに、ダパリルがどのような医薬品なのかについて解説します。
フォシーガのジェネリック
ダパリルは世界110ヶ国以上で承認されている糖尿病治療薬「フォシーガ」のジェネリック医薬品です。
フォシーガと同様に有効成分としてダパグリフロジンを配合しており、糖尿病や慢性心不全、慢性腎不全の治療薬として用いられています。
ダパリルの特徴
ダパリルの特徴はインスリンに関与するのではなく、腎臓における糖の吸収を妨げ、尿からの排出を促進する点です。
糖の吸収が妨げられることから、糖質制限ダイエットと似た効果が得られる点も特徴です。
臨床試験の結果から見るダパリルの有用性について

ダパリルの有用性について、先発医薬品である「フォシーガ」の添付文書をもとに解説します。
2型糖尿病患者を対象とした試験
2型糖尿病患者に対して5mgないし10mgのダパリル(ダパグリフロジン)を24週にわたり投与したプラセボ対照二重盲検比較試験において、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値に以下の変化が見られました。
HbA1c(NGSP値)(%) | 空腹時血糖(mg/dL) | ||||
ベースライン平均値 (SD) | ベースライン値からの変化(SE) | プラセボ群との差(SE) | ベースライン値からの変化量(SE) | プラセボ群との差(SE) | |
プラセボ群(n=87) | 7.50 (0.63) | -0.06 (0.06) | – | 5.8 (2.17) | – |
5mg投与群 (n=86) | 7.50 (0.72) | -0.41 (0.06) | -0.35 (0.09) | -8.6 (2.19) | -14.4 (2.90) |
10mg投与群 (n=88) | 7.46 (0.61) | -0.45 (0.06) | -0.39 (0.09) | -13.7 (2.15) | -19.5 (2.89) |
上記の表から明らかなように、プラセボ群に比べてダパリル(ダパグリフロジン)服用群ではHbA1cの値に有意な低下が見られます。
HbA1cは過去1〜2ヶ月の血糖値を反映することから、ダパリル(ダパグリフロジン)が血糖値のコントロールに関して有用性があると分かります。
1型糖尿病患者を対象とした試験
インスリン製剤による治療で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者に対して行われた国際共同プラセボ対照二重盲検比較試験において、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値に以下の変化が見られました。
HbA1c(NGSP値)(%) | ||
ベースライン値からの 変化量)(SE:標準誤差) | プラセボとの差(SE:標準誤差) | |
プラセボ群(n=272) | 0.09(0.05) | – |
5mg投与群(n=271) | -0.11(0.05) | -0.20(0.07) |
10mg投与群(n=270) | -0.16(0.05) | -0.25(0.07) |
上記の表から明らかなように、プラセボ群に比べてダパリル(ダパグリフロジン)服用群ではHbA1cの値に有意な低下が見られます。
また、インスリン製剤とダパリル(ダパグリフロジン)を併用した場合、糖尿病ケトアシドーシスの発現頻度が高くなることも分かりました。
慢性心不全患者を対象とした試験
慢性心不全患者を対象に行われた国際共同プラセボ対照二重盲検比較試験において、心血 管死または心不全イベント(心不全による入院または心不全による緊急受診)の発現割合に以下の変化が見られました。
10mgのフォシーガ投与群(n=2373) | プラセボ群(n=2371) | ハザード比[95%信頼区間] | p値 | |
心血管死または心不全イベント (心不全による入院または緊急受診) | 386例 (100人中11.6人/年) | 502例 (100人中15.6人/年) | 0.74 [0.65、0.85] | p<0.0001 |
上記の表から分かるように、プラセボ群に比べてダパリル(ダパグリフロジン)服用群では、心不全による入院または緊急受診の割合が有意に低くなっています。
慢性腎臓病患者を対象とした試験
ACE阻害薬又はARBを服用している慢性腎臓病患者を対象に行われた国際共同プラセボ対照二重盲検比較試験において複合エンドポイント(eGFRの50%以上の持続的な低下、ESKDへの進展、腎臓死または心血管死)に以下の変化が見られました。
10mgのダパグリフロジン投与群(n=2373) | プラセボ群(n=2371) | ハザード比[95%信頼区間] | p値 | |
複合エンドポイント | 197例(100人中4.6人/年) ・eGFRの50%以上の持続的 な低下59例 ・ESKDへの進展83例腎臓死0例心血管死55例 | 312例(100人中7.5人/年) ・eGFRの50%以上の持続的な 低下133例 ・ESKDへの進展108例・腎臓死2例心血管死69例 | 0.61 [0.51、 0.72] | p<0.0001 |
上記の表からダパリル(ダパグリフロジン)服用群では、プラセボ群と比べて腎臓死や心血管死などのリスクが有意に低下すると分かります。
まとめ

ダパリルの有効成分であるダパグリフロジンには、尿糖排泄作用によって血糖値を下げる効果が期待できます。
また、臨床試験の結果からダパリルが糖尿病だけでなく、慢性心不全や慢性腎臓病に対しても有用性があると分かりました。
ただし、ダパリルには副作用のリスクもあるため、用法用量をまもって適切に服用することが重要です。
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