臨床試験の結果から読み解くトラマドールの有用性について
トラマドールはオピオイド鎮痛剤(非麻薬性製剤)の一種で、身体の痛みを緩和する効果が期待できます。臨床試験の結果に基づいて、トラマドールの有用性について解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

トラマドールはオピオイド鎮痛剤(非麻薬性製剤)の一種で、有効成分のトラマドール塩酸塩は慢性疼痛や治療困難なガンにともなう痛みの緩和に効果的です。
トラマドールは世界100ヶ国以上で承認されており、比較的安全性が高い治療薬の1つとして知られています。
本記事ではトラマドールの有用性について、国内で行われた臨床試験の結果をもとに解説します。
目次
トラマドールについて

はじめに、トラマドールの特徴や適応症状、製薬会社について紹介します。
特徴
トラマドールの有効成分であるトラマドール塩酸塩は、オピオイドμ受容体に作用して身体の痛みを緩和する点が特徴です。
また、脳内神経伝達物質のセロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、痛みの情報が脳に伝えられるのを阻害するはたらきもあります。
適応症状
トラマドールの適応症状は非オピオイド鎮痛剤で治療困難な慢性疼痛、および痛みをともなう各種ガンです。
製薬会社
トラマールはカナダのトロントに本拠地を置く医薬品メーカー「アポテックス」が製造・販売しています。
アポテックスでは300種以上のジェネリックを製造・販売しており、世界100ヶ国以上で利用されています。
臨床試験の結果から読み解くトラマドールの有用性

トラマドールの有用性について、国内で行われた臨床試験の結果をもとに解説します。
がん疼痛患者のVAS値の変化
非オピオイド鎮痛剤を投与中の日本人を対象に、トラマドール塩酸塩およびモルヒネ硫酸塩徐放性製剤を投与する二重盲検比較試験が行われました。
VAS値(安静時の痛みの程度)の変化量に基づく判断で「有効」と判断された割合はトラマドール塩酸塩投与群で89.6%、モルヒネ硫酸塩徐放性製剤投与群で87.2%でした。
試験の結果から、トラマドール塩酸塩には強オピオイドであるモルヒネ硫酸塩徐放性製剤と同等の効果が期待できると分かります。
がん疼痛患者の便秘スコア
オピオイド鎮痛薬の副作用の1つが便秘ですが、上記の二重盲検比較試験において、トラマドール塩酸塩投与群では、モルヒネ硫酸塩徐放性製剤投与群に比べて便秘の程度が低いと示唆されました。
変形性関節症に対する効果持続率
非ステロイド性消炎鎮痛薬では十分な効果が得られない変形性関節症患者を対象に行われた二重盲検比較試験において、トラマドール塩酸塩投与群ではプラセボ群に比べ、鎮痛効果が長く続くと分かりました。
帯状疱疹後神経痛に対する効果持続率
非オピオイド鎮痛薬では十分な効果が得られない帯状疱疹後神経痛患者を対象に行われた二重盲検比較試験において、トラマドール塩酸塩投与群ではプラセボ群に比べ、鎮痛効果が長く続くと分かりました。
長期投与試験の結果
非オピオイド鎮痛薬では十分な効果が得られない以下の慢性疼痛患者を対象に、トラマドール塩酸塩を投与する長期試験が行われました。
試験開始時の安静時の痛みの程度(VAS値)の平均値は64.6mmでしたが、28週の段階で34.9mmにまで低下し、試験が終了する52週まで一定の数値で推移しました。
まとめ

臨床試験の結果から、トラマドールにはさまざまな慢性疼痛症例の改善が期待できると分かりました。
がん疼痛患者のVAS値の変化に関しても、医療用麻薬のモルヒネ硫酸塩徐放性製剤と同程度の効果が確認されています。
今回の記事を参考にトラマドールの効果について理解し、用法用量を守って正しく服用してください。
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