ノルレボの有効成分レボノルゲストレルとは?構造や歴史も紹介
記事公開日:2024.03.11
最終更新日:2024.06.03
お薬通販部スタッフ[監修]
避妊に失敗した時や、望まない性交渉があった際、緊急避妊薬の登場前は、世界中の多くの女性が人工妊娠中絶に悩んでいました。
当時の人工妊娠中絶は命がけだったのです。
そこで女性の健康を守るために開発されたものが妊娠を防ぐ緊急避妊薬です。
アフターピルと呼ばれる緊急避妊薬の登場は、妊娠を回避する有効な手段となりました。
今では世界中で認知され、望まない妊娠を回避する有効な手段として、重要な医薬品としての地位を確立したと言えるでしょう。
本記事では代表的なアフターピルとして有名なノルレボの有効成分である、レボノルゲストレルについて説明します。
ノルレボの有効成分を解説していきます。
目次
ノルレボの有効成分レボノルゲストレルの歴史
ノルレボの歴史は次の通りです。
避妊薬として開発
緊急避妊薬は、妊娠中は排卵しないため、それを利用すれば避妊ができるという着想を得て作られた黄体ホルモン製剤で、レボノルゲストレルはその第2世代にあたります。
1980年代に避妊薬として使用されはじめましたが、当時は不正出血の問題があり、黄体ホルモンのみでなくエストロゲン(卵胞ホルモン)を含んだ製剤として使用されていました。
しかし当時、血栓の副作用やニキビの発現は、長く付きまとう問題でした。
有効成分レボノルゲストレル単剤での緊急避妊薬として商品化
副作用問題を解消するため、レボノルゲストレルのみでの避妊の研究がおこなわれました。
研究は実り、1998年の大規模臨床試験で、レボノルゲストレル単剤が有効で、安全性も優れていると示されました。
1999年に初めてフランスで「NorLevo」として正式に承認、各国でも承認され使用されるようになりました。
日本では導入が遅れましたが、2011年にノルレボ1.5mgが緊急避妊薬として承認され使用されています。
現在ではWHO(世界保健機関)の必須薬に指定されています。
月経困難症としての低用量ピル
もともとは経口避妊薬として使用されていましたが、月経困難症の症状も改善するできると判明し、月経困難症の治療目的で低用量ピルが承認されました。
現在では、必要不可欠な薬となっています。
レボノルゲストレルの構造
レボノルゲストレルは黄体ホルモンの基本構造をもち、プロゲステロンに似た構造の成分です。
分子式および分子量は「分子式:C21H28O2 / 分子量:312.45」です。
レボノルゲストレル製品の緊急避妊薬ノルレボには次の添加物が含まれています。
ノルレボの有効成分レボノルゲストレルの作用機序
ノルレボ1.5mgの有効成分のレボノルゲストレルの作用機序は次の2つがあります。
それぞれについて詳しく解説します。
排卵を抑制する
卵胞の成熟を遅らせると、排卵も遅らせる効果があります。
排卵しないと精子が子宮内にいても受精卵が作られず妊娠しません。
適切にアフターピルの服用ができていると、妊娠の可能性は限りなくゼロに近くなります。
子宮内膜の増殖を抑える作用
通常の月経では、卵胞期から排卵期にかけてエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きで子宮内膜が増殖し、受精卵を着床させやすい環境を整えています。
レボノルゲストレルは子宮内膜の増殖を抑える作用を持ち、受精卵の着床に必要な子宮内膜の厚みが出来なくなります。受精卵ができたとしても、子宮内膜に厚みがなければ着床が難しくなり妊娠に至りません。
ノルレボの有効成分レボノルゲストレルの緊急避妊薬としての効果時間
レボノルゲストレルは性行為後に服用する薬で、服用後5日前後排卵を抑え、排卵のタイミングを遅らせます。
精子の寿命は平均3日、最大1週間といわれているため、妊娠の抑制が見込めます。
ノルレボは服用までの時間が早ければ早いほど避妊率が上昇します。
12時間以内に服用できれば避妊率は99%、24時間以内に服用すれば95%にのぼります。
24~48時間以内に服用すると85%、48~72時間以内の服用だと58%です。
性行為から72時間以上経過しても120時間までは避妊効果が期待できますが、避妊できる確率が大幅に低下します。
ノルレボの有効成分レボノルゲストレルを含有する商品
ノルレボと同様の有効成分レボノルゲストレルを含有する商品には次の様な医薬品があります。
月経困難症治療薬「ジェミーナ配合錠」
当記事では主にノルレボの緊急避妊薬としてのお話をしましたが、主成分のレボノルゲストレルには月経困難症の症状も改善する効果があり、レボノルゲストレルを主成分とする低用量ピルが開発されています。
それがジェミーナ配合錠です。
排卵を抑えて子宮内膜が厚くならないように作用し、痛みの原因となるプロスタグランジンの産生を抑制することで痛みを軽減します。
また本来、避妊目的には使用できないとされていますが、低用量ピルとしての定期服用で避妊効果もあることが知られれています。
まとめ
ここまでノルレボの有効成分のレボノルゲストレルを解説しました。
避妊に失敗した時や、望まない妊娠のリスクが高い性交渉があった際に慌てないためにも、あらかじめ知識を身につけておき冷静に対処しましょう。
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