ED(勃起不全)はなぜ起きる?4つの原因・要因を詳しく説明

ED(勃起不全)になる原因とは
ED(勃起不全)、男性にとって深刻な問題です。
性欲を満たせなくなるだけではなく、パートナーとの関係が悪化する、男性としての自信を喪失するといった悩みに発展する可能性は大いにあります。
日常生活で身近に起こりうる問題が原因になっていることもあれば、思いがけない要因によってEDを引き起こすこともあり、原因は実にさまざまです。
しかし、EDを発症している方、疑わしい症状が見られる方も焦る必要はありません。
日常生活や過去の経験と照らし合わせたうえで、思い当たる節がないか確認してみましょう。
何が原因で勃起しないのかが判明すれば、その原因を取り除くことで十分に改善できる可能性があります。
この章では、EDの原因になりうるといわれている事例をご紹介していきたいと思います。
目次
勃起しないのはメンタルが影響する精神的要因
日常生活におけるさまざまなストレス
EDの原因として、まずあげられるのが『精神的要因』です。
具体的には「生活環境への不安や焦り」「人間関係で生じる精神的な疲労」「仕事のストレス」などがあげられます。
いずれも、日常生活の中でだれしもが感じるものではないでしょうか。
「性経験が少ない」「性に関するコンプレックスがある」など、性の悩みで不安や焦りもEDを引き起こす精神的要因になり得ます。
これらのうち、今の時代に特に気をつけたいのが、精神的な疲労やストレスです。
ストレスが蔓延しているといわれている現代社会においては、精神的な負担を感じやすくなっています。
精神的な疲労やストレスは、自然に解消されることもあれば「自分なりの方法で気分転換をする」「十分な睡眠をとる」といったことを意識して解消させることもできます。
しかし、間断なく精神的なストレスが加えられるような環境に身を置いている場合、なかなか解消できずにEDを引き起こしてしまうケースが見られます。
たとえば、職場で上司から毎日のように、理不尽な量の仕事を押しつけられていると、当然精神的な疲労が蓄積します。
取引先の人やお客さんを接待するとなれば、普段以上に気をつかうので、ストレスに感じることはあるでしょう。
ほかにも、職場の同僚に苦手な人がいた場合、毎日コミュニケーションをとるだけでもストレスになります。
このように、職場に行って仕事をするだけでも、さまざまな負担を感じるという方も多いのではないでしょうか。
精神的要因によるEDは、神経のバランスが崩れることによって起こると考えられます。
慢性的にストレスが蓄積したり、一時的に強いストレスを感じたりすると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまいます。
勃起は、特に副交感神経が支配する生理現象です。
こちらが優位に働く、つまり活発になることでスムーズに勃起します。
しかし、不安や緊張をはじめとするストレスを感じるとバランスが崩れ、交感神経が強く働いて副交感神経よりも優位に立ちます。
つまり、慢性的なストレスや強いストレスを感じている場合、性的刺激を受けても副交感神経が活発化せず、勃起が思ったように持続しないのが基本的なメカニズムです。
過去のトラウマやコンプレックス
人間の意識には、『深層心理』と呼ばれる領域があります。
自分自身で自覚できるものではなく、無意識に働きかけ自分自身では制御できない心理を指し、特に『幼少期の嫌な体験』『過去の大きなトラウマ」といったネガティブな記憶によって形成されるものであるとされています。
自覚することが難しいので気づきにくいですが、実はこういった深層心理もEDの原因のひとつです。
特に「性的暴行を受けたことがある」「過去の性行為で大きな失敗をした」など、性に関する深層心理もまた勃起不全の原因につながりやすいといわれています。
勃起・持続しないのは体に何らかの原因があって起こるケース
加齢による体力低下
EDの原因のひとつとしてあげられるのが、加齢による身体機能の低下です。
身体機能が低下することで、若い頃は問題なくできていた勃起が正常にできなくなることがあります。
勃起には、陰茎の発育や性欲増強に影響を与える男性ホルモンであるテストステロンが関係しています。
主に精巣から分泌されますが、一般的に分泌量のピークは20代までといわれています。
30歳を超えたあたりから、歳を重ねるごとに分泌量は減少していき、それにともなって身体性機能とともに男性機能も低下し、勃起が持続しづらくなります。
また、加齢による血行不良もEDの原因です。
血管が老化することで血液の循環が悪化し、性的刺激を受けても勃起に必要な量の血液が陰茎に流れなくなります。
特に40~50代の男性は、こういった身体機能の低下によってEDを引き起こしやすいといわれています。
糖尿病などの生活習慣病
EDのメカニズムが明確になる前までは、加齢による身体機能の低下が主な原因だと考えられてきました。
しかし、現在は20~30代の男性もEDになることがわかっています。
その原因のひとつが、生活習慣病です。
生活習慣病はその名のとおり、普段の生活習慣が原因で発症する病気の総称です。
運動不足、栄養バランスが偏った食生活、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足など、さまざまな要因から発症します。
例をあげると『高血圧』『糖尿病』『動脈硬化』といった病気で、これらがEDを引き起こす可能性があります。
生活習慣病の多くは、心臓や血管といった循環器系の組織に悪影響をおよぼします。
これが原因で血行不良になると、十分な量の血液が陰茎に流れにくくなってED発症のリスクを高めます。
特に、動脈硬化は血管をつまらせる原因になることから、EDに発展しやすいといわれています。
肥満傾向にある方は、動脈硬化を含む生活習慣病になるリスクが高いので、EDではないとしても、早いうちから生活習慣を改善して予防することをおすすめします。
手術や事故が要因となるケース
肝心の陰茎が正常な状態でなければ、勃起に必要なほかの要素がすべて満たされていてもEDを引き起こす可能性があります。
たとえば、前立腺がんや膀胱がんの摘出手術によって、陰茎やその周辺の血管、神経が損傷した場合です。
血管が損傷すれば血液が陰茎にうまく流れ込まなくなり、勃起の持続が困難となります。
また陰茎周辺の末梢神経が損傷した場合も、視覚や触覚で得た性的刺激、性的興奮が陰茎に伝わりにくくなり、EDにつながる可能性があります。
そのほか「外傷によって陰茎が傷つく」「事故によって脊髄を損傷する(脊髄神経の損傷)」というのも、EDを引き起こす原因のひとつです。
精神的要因と肉体的要因が合わさったケース
思い込みがカラダにも差しひびく
精神的なストレスと生活習慣病は、EDの原因としてよくあげられる事例ですが、中にはこれらの精神的要因と身体的要因の両方が組み合わさってEDを発症しているケースがあるので、覚えておく必要があるでしょう。
特に多い発症例は「身体的な問題でEDになり、それによってストレスや焦りを感じて症状を悪化させる」というものです。
動脈硬化によるEDを発症した場合、パートナーと満足に性行為ができなくなります。
自分自身が欲求を満たせなくなるほか、パートナーを満足させてあげられないことに対して焦りや不安といった感情が生まれます。
すると、最初は動脈硬化による血行不良のみを原因としていたEDが、強いストレスによる神経バランスの崩壊によってさらに重症化する、ということになります。
また、本人の強い思い込みによってEDを発症することがあります。
糖尿病などの生活習慣病を患っている人は、健康な人よりもEDを発症するリスクが高いといわれています。
とはいえ、生活習慣病になったからといって必ずEDにつながるわけではありません。
しかし、自分自身に生活習慣病が発覚したことで、必然的にEDになると思い込んでしまう人がいます。
この思い込みによって強い不安やストレスが生まれ、本当にEDが発症することがあります。
「病は気から」という言葉がありますが、まさにそのとおりです。
過度に思い込んで、自分自身を追いつめすぎないようにしましょう。
病気がココロにも感化する
直接的にEDを招くことがない病気を患った場合でも、精神状態が不安定になることでEDを引き起こす可能性があります。
たとえば、重度の病気を患って、長期にわたる入院生活を余儀なくされた場合、さまざまなネガティブな感情が生まれてくることがあります。
長期間仕事を休まなければいけない『罪悪感』や『焦燥感』、治療や手術が成功するのかという『不安』などです。
また治療や手術、その後のリハビリ生活において、精神的につらい経験をすることがあるかもしれません。
このようなことで発生する精神的な負担が強いストレスへと変わり、EDを発症する可能性があります。
精神的要因と身体的要因が組み合わさってEDを発症している場合、きっかけは身体的要因にあることがほとんどです。
病気やケガを治療することで精神的な負担を軽減し、精神的要因によって起こるEDを改善させる可能性が高まります。
常用している薬の影響からくるケース
服用しているクスリの副作用
EDを引き起こす原因のひとつに、常用薬の副作用があげられます。
一部の医薬品には、「性機能を低下させる」という副作用が確認されています。
しかし、このことを知らずに該当する医薬品を常用していると、知らないうちにEDを進行させることになりかねません。
今、服用している常用薬に勃起不全の原因になり得る副作用がないか、確認するようにしましょう。
性機能を低下させる副作用を持つ医薬品として代表的なのが、血圧の低下を主な目的とする『降圧剤』です。
高血圧や動脈硬化といった生活習慣病の治療に使われています。
さまざまな原因で血管が収縮し、血流による内側からの圧迫が強くなる高血圧ですが、これを放置しておくと、血管に負担がかかって動脈硬化を引き起こす可能性があります。
動脈硬化は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると心筋梗塞や脳梗塞といった重度の症状を引き起こすリスクを高めます。
降圧剤は高血圧や動脈硬化の治療、さらには心筋梗塞や脳梗塞を予防するために効果的です。
降圧剤に該当する医薬品はいくつかありますが、そのすべてに「性機能の低下」が副作用として確認されているといわれています。
特に注意しておきたいのが『利尿剤』と『β遮断薬』です。
ほかの降圧剤が血管の収縮を抑え、拡張させることで血圧を下げるのに対し、利尿剤とβ遮断薬は血液量を減らすことで血圧を下げます。
結果的に陰茎に流れ込む血液量の減少にもつながるため、EDを引き起こしやすいと考えられています。
そのほか、うつ病の治療に用いる『抗うつ剤』の使用がEDに発展するケースも確認されています。
抗うつ剤には、セロトニンという神経伝達物質を増加させる働きがあります。
セロトニンは精神状態を安定させるために重要な役割を担っています。
脳内のセロトニンを増加させることで、うつ状態を改善するというのが、抗うつ剤の基本的なメカニズムです。
しかし、脳内で分泌される神経伝達物質はセロトニンだけではありません。
セロトニンが過剰に増加すると、快楽や興奮に関係しているドーパミンの分泌量が抑制されます。
ドーパミンの分泌量が減少することで、性的刺激を受けても興奮しにくくなり、その結果、EDを引き起こす原因となることが考えられます。
常用薬の増減は医師に相談を
降圧剤や抗うつ薬のほかにも、男性ホルモンに影響を与える『男性ホルモン抑制剤』や『抗アンドロゲン剤』などの副作用によって、勃起が持続しないまたは、まったく勃起しないという症例が確認されています。
常用薬の副作用によってEDを発症している場合、その医薬品の使用を中止することで性機能を改善することが可能です。
だからといって自分の判断で常用薬の使用を中止したり、使用量を減らしたりといったことはしないようにしましょう。治療中の病気が悪化する可能性があります。
どうしても常用薬の副作用によるEDを改善したい場合は、医師に相談したうえで適切な判断や指示を仰ぐことをおすすめします。
誰もがEDになる可能性
かつてEDは、加齢による性機能の低下が原因だと考えられていましたが、実際は精神的要因や身体的要因、また常用薬の副作用など、数多くの要因によって発症する病気であることが判明しています。
医薬品の副作用によるEDは、該当する医薬品を常用していなければ起こる心配はありませんが、心身の問題によるEDは、年齢に関係なくどんな男性でも発症する可能性があります。
特に、社会人になって間もない20代男性や、大きな仕事を任され始める30代男性は、精神的な疲労を感じやすいことからEDになる可能性が高いといわれています。
「自分はEDにならないだろう」と甘い考えを持つのではなく、常に危機意識を持つことが大切です。
EDだと思える症状が現れた場合は、勃起が持続しない原因をはっきりさせ、軽度のうちに改善することをおすすめします。
参考文献
EDネットクリニック.com Presented by バイエル薬品
All About 健康・医療
ED治療薬
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