バラシクロビルの副作用とは?主な症状や対処法を解説
「バラシクロビルの代表的な副作用が心配…」とお悩みの人に向けて、この記事ではバラシクロビルを服用した際の副作用を「重大な副作用」と「その他の副作用」、「特定の人に見られる副作用」に分けて詳しく解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

この記事では、バラシクロビルの副作用について解説します。
バラシクロビルは、ヘルペスや帯状疱疹などの治療に効果が期待できる抗ウイルス薬です。
抗ウイルス薬として高い効果を持つバラシクロビルですが、人によっては副作用があらわれることがあります。
中には、早急な受診が必要となる症状もあるため注意が必要です。
この記事では、バラシクロビルで報告されている代表的な副作用を詳しく紹介します。
副作用に関する臨床試験結果も参考にしながら解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
バラシクロビルの服用によって起こりうる副作用

バラシクロビルを服用すると、人によっては副作用が生じることがあります。
服用したすべての人に副作用があらわれるわけではありませんが、どのような症状が起こりうるかを事前に知っておくことは、治療を安全に進めるうえで重要です。
ここでは、バラシクロビルの服用によって起こりうる副作用として、以下に分類しながら解説します。
重大な副作用
バラシクロビルでは、いくつかの重大な副作用が起こるおそれがあります。
重大な副作用とは、場合によっては命に関わるおそれもある副作用のことで、具体的には以下が報告されています。
重大な副作用 | 発現頻度 |
アナフィラキシー、アナフィラキシーショック | 頻度不明 |
汎血球減少 | 0.73% |
無顆粒球症 | 0.24% |
血小板減少 | 0.36% |
播種性血管内皮凝固症候群、血小板減少性紫斑病 | 頻度不明 |
急性腎障害 | 0.12% |
尿細管間質性腎炎 | 頻度不明 |
精神神経症状 | 1.09% |
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群 | 頻度不明 |
呼吸抑制、無呼吸 | 頻度不明 |
間質性肺炎 | 頻度不明 |
肝炎、肝機能障害、黄疸 | 頻度不明 |
急性膵炎 | 頻度不明 |
上記は発現頻度で見ると稀ではありますが、万が一該当する症状があらわれたら服用を中止し、すみやかに医療機関を受診することを推奨します。
その他の副作用
バラシクロビルのその他の副作用としては、以下が報告されています。
0.5%以上 | 0.5%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | 発疹、蕁麻疹、そう痒、光線過敏症 | ||
肝臓 | 肝機能検査値の上昇 | ||
消化器 | 腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気 | 嘔吐 | |
精神神経系 | 頭痛 | めまい | 意識低下 |
腎臓・泌尿器 | 腎障害 | 排尿困難 | 尿閉 |
これらの副作用は一過性で自然に改善されることも多いといえますが、日常生活に支障をきたす場合や症状が長引く場合は、医師に相談するのが望ましいでしょう。
特定の人に見られる副作用やリスク
バラシクロビルを服用すると、以下のように特定の人に副作用があらわれる場合もあります。
該当者 | 副作用・リスク |
高齢者 | 精神神経症状・腎機能障害 |
妊娠中の人、授乳中の人 | 胎児への異常 |
免疫不全の人 | 安全性の不確立 |
バラシクロビルは、主に腎臓から排泄されます。
高齢者は腎機能が低下していることが多く、活性代謝物であるアシクロビルの血中濃度が上昇し、副作用が出やすくなるでしょう。
妊娠している可能性がある人や授乳中の人は、バラシクロビルを服用することで胎児への異常が生じる場合があります。
ラットを使った実験では、妊娠10日目に活性代謝物のアシクロビルを投与したところ、胎児に異常が見られました。
また、アシクロビルは乳汁中へ移行することが報告されています。
悪性腫瘍や自己免疫性疾患など免疫機能が低下した人においては、水痘の治療でバラシクロビルを服用した場合の安全性が確立されていないため、注意が必要です。
バラシクロビルの副作用に関する臨床試験結果

バラシクロビルの副作用に関しては、国内外で実施された複数の臨床試験により、発現率や症状の傾向が明らかにされています。
ここでは、以下の症状に対する臨床試験などについて解説します。
発現する副作用には個人差があるので、各疾患ごとのデータを確認しておくことが重要です。
単純疱疹に関する臨床試験
単純疱疹の患者を対象に、バラシクロビルとアシクロビルを比較する他施設二重盲検比較試験が行われました。
500mgのバラシクロビルを1日2回、またはアシクロビル200mgを1日5回、5日間にわたって投与したところ、バラシクロビルを投与された149例中33例で下記の副作用が報告されています。
副作用 | 件数 |
眠気 | 7件 |
頭痛 | 6件 |
白血球増多(尿中) | 5件 |
血小板増多 | 3件 |
軟便 | 3件 |
副作用の発現によって治療を中止したのは、このうち1例でした。
しかし、副作用は重くなく軽度の動悸が発現しただけとの報告がされています。
多くの副作用は一時的なものであり、時間の経過とともに軽快することがほとんどです。
バラシクロビルは単純疱疹の治療において、一定の安全性が認められており、臨床現場でも広く用いられています。
ただし、副作用の出現には個人差があるため、服用中に眠気や軟便、頭痛などの体調の変化を感じた場合は、無理をせず医療機関へ相談しましょう。
帯状疱疹に関する臨床試験
帯状疱疹の患者202例を対象に、バラシクロビルとアシクロビルを比較する他施設二重盲検比較試験が行われました。
1,000mgのバラシクロビルを1日3回、または800mgのアシクロビルを1日5回、7日間にわたって投与した結果、バラシクロビルを投与された102例中10例で下記の副作用が見られました。
副作用 | 件数 |
腹痛 | 5件 |
下痢 | 2件 |
倦怠感 | 2件 |
めまい | 1件 |
嘔吐 | 1件 |
食欲不振 | 1件 |
便秘 | 1件 |
口渇 | 1件 |
心悸亢進 | 1件 |
急性腎障害 | 1件 |
副作用の大半は消化器系の症状であり、比較的軽度で一過性のものでした。
ただし、急性腎障害のような重篤な副作用も1件報告されているため、特に高齢者や腎機能が低下している人では服用に注意が必要です。
副作用の発現頻度は比較的低いものの、服用中に体調の異変を生じた場合は、早期に医師の診察を受けましょう。
帯状疱疹の治療においてバラシクロビルは有効な選択肢である一方、安全に服用するためには個々の体調や既往歴に応じた慎重な対応が求められます。
水痘に関する臨床試験
承認時ならびに使用成績調査、特定使用成績調査を行ったところ、水痘の治療のためにバラシクロビルを投与された61例のうち、副作用が発現したのは1例でした。
肝障害の副作用が1例(1.64%)報告されています。
また、承認時までの使用成績調査では、水痘の治療で小児にバラシクロビルを投与した場合、副作用は43例中2例で見られています。
報告された副作用は便秘1件(2.33%)、ALT・ASTの増加がそれぞれ1件(2.33%)でした。
いずれの副作用も比較的軽度で、重篤な健康被害に至ったケースは確認されていません。
特に、小児においてはお薬の代謝や排泄能力に個人差があります。
水痘治療におけるバラシクロビルの使用は、臨床的に一定の効果を発揮しながら副作用のリスクが比較的低いことが確認され、安全性において信頼性があると評価されています。
ただし、少数ながら肝機能異常が報告されているため、服用時には慎重なモニタリングを行った方が良い場合もあるでしょう。
性器ヘルペスの再発抑制に関する臨床試験
承認時ならびに使用成績調査、特定使用成績調査を行ったところ、性器ヘルペスの再発抑制の治療を受けた368例のうち12例で副作用が報告されました。
副作用 | 件数 |
腹部不快感 | 1件 |
上腹部痛 | 2件 |
下痢 | 1件 |
悪心 | 1件 |
異常感 | 1件 |
肝機能異常 | 2件 |
外陰部腟カンジダ症 | 1件 |
体重減少 | 1件 |
食欲減退 | 1件 |
高脂血症 | 1件 |
頭痛 | 1件 |
神経系障害 | 1件 |
不安 | 1件 |
気分変化 | 1件 |
副作用の頻度自体は低く、多くは軽度で自然に軽快する傾向にありました。
しかし、長期間にわたる服用が前提となる治療であるため、慎重な経過観察が求められます。
特に、肝機能異常や中枢神経系への影響が報告されている点には注意が必要です。
加えて、女性では腟カンジダ症のような二次的な感染症が見られることもあるため、体調や日常の変化に気を配り、違和感があれば早めに医師へ相談するようにしましょう。
性器ヘルペスの再発抑制において、バラシクロビルは有効性と安全性を兼ね備えた選択肢である一方、個人差による副作用リスクへの配慮も必要です。
海外の臨床試験
1年に8回以上の再発が認められた免疫正常者の再発型性器ヘルペス患者382例を対象に、500mgのバラシクロビルを1日1回、またはプラセボを16週間投与するプラセボ対照二重盲検比較試験を行った結果、バラシクロビルを服用した288例中66例で以下の副作用が見られました。
副作用 | 件数 |
頭痛 | 21件 |
嘔気 | 16件 |
腹痛 | 7件 |
下痢 | 6件 |
また、HIV感染症があり1年間に4回以上の再発が認められた再発型性器ヘルペスの患者293例を対照に500mgのバラシクロビルを1日2回、またはプラセボを6ヶ月投与したところ、バラシクロビルを投与された194例中23例で以下の副作用が見られています。
副作用 | 件数 |
頭痛 | 9件 |
下痢 | 5件 |
嘔気 | 4件 |
これらの結果から、バラシクロビルは重篤な副作用の頻度は低いことがわかりました。
また、バラシクロビルは長期投与においても比較的良好な安全性を持つことが示唆されています。
ただし、免疫状態や基礎疾患の有無によって副作用の発現頻度に個人差があるため、個別の体調や病歴を踏まえた用量調整と観察が重要です。
バラシクロビルの服用によって副作用が出たときの対処法

ここでは、バラシクロビルの服用によって副作用が出たときに実践できる、以下4つの対処法を解説します。
正しい用法用量を守る
バラシクロビルの副作用をできるだけ避けるためには、まず正しい用法用量を守ることが基本です。
医師の指示に従って決められた用量を決められた回数服用することで、お薬の効果を適切に引き出しつつ、副作用のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
たとえば、飲み忘れたからといって次回に2回分をまとめて服用するなど、自己判断で服薬スケジュールを変えると、お薬の血中濃度が急激に上昇し、副作用が強く出るおそれがあります。
また、腎臓の機能が低下している人は、通常よりもお薬の成分が体内に長くとどまりやすいので注意が必要です。
お薬が残留すると、副作用があらわれやすくなるおそれがあります。
効果が不十分だと感じたり、副作用がひどくあらわれたりした場合は、自己判断で継続せず、医師に相談して指示を仰ぐことが大切です。
経過観察したうえで服用を続けるか判断する
バラシクロビルの副作用には、一時的な頭痛や眠気、軽度の消化不良など比較的軽い症状が含まれます。
これらの症状があらわれた場合は、すぐに服用を中止するのではなく、まずは体調の変化を観察することが大切です。
多くの副作用は自然に改善される傾向にあるため、無理のない範囲で様子を見ることをおすすめします。
ただし、症状が次第に悪化したり、日常生活に支障が出たりするような場合は、服用の継続を見直す必要があります。
特に、高齢者や持病を持つ人では慎重な対応が求められるため、体調に不安がある場合は自己判断せず医師に相談することが重要です。
症状に応じた市販薬と併用する
バラシクロビルの軽度な副作用に対しては、市販薬の併用により症状をやわらげることも可能です。
たとえば、頭痛が続く場合は一般的な解熱鎮痛剤、下痢が見られる場合は整腸薬や下痢止めなどで対応できます。
これらの市販薬を活用することで、バラシクロビルの服用を継続しながら日常生活の不快感を軽減できる可能性があります。
ただし、併用するお薬は現在の体調や持病に合わせて選ぶことが大切です。
自己判断で複数のお薬を併用するのではなく、医師や薬剤師に相談しながら症状にあったお薬を選ぶことを推奨します。
症状がひどいときは医療機関を受診する
バラシクロビルの服用中に激しい頭痛や嘔吐、意識の混濁、発疹の急激な拡大などの症状があらわれた場合は、重篤な副作用が疑われる可能性があります。
特に、急性腎障害やアレルギー反応、中枢神経系への影響は、放置すると命に関わることもあるため、迅速な医療機関の受診が必要です。
自己判断での服用中止は、病状の悪化を招くリスクがあります。
基本的には、医師に副作用の症状を正確に伝えたうえで、今後どのように対応すべきか指示を仰ぎましょう。
まとめ

バラシクロビルは、帯状疱疹や単純疱疹、性器ヘルペスなどの治療に効果がある抗ウイルス薬ですが、人によっては副作用が生じるケースもあります。
代表的な副作用には、頭痛や眠気、胃腸症状などの比較的軽いものから、稀に腎機能障害や精神神経系の異常などの重い症状があらわれることもあるでしょう。
特に、高齢者や腎臓に疾患がある人では、重い副作用が出る可能性があるため、用法用量を厳守することが大切です。
副作用が出た場合は経過観察し、軽症であれば市販薬で対応しましょう。
副作用の症状が強い場合や、体調に異変が生じている場合は、早めに医療機関を受診してください。
バラシクロビルの服用前に副作用のリスクを正しく理解し、適切に対処することで安心して治療を続けられるでしょう。
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