ファムシマックの先発薬ファムビルの国内第III相試験結果について解説
ファムシマックの先発薬ファムビルの国内第III相試験では、単純疱疹(ヘルペスなど)と帯状疱疹への治療効果の臨床試験が行なわれました。ファムビルの国内第III相試験の概要と結果を解説します。
お薬通販部スタッフ[監修]

ファムシマックの先発薬ファムビルの国内第III相試験は、マルホ株式会社と旭化成ファーマ株式会社の共同で実施されました。
ファムビルの単純疱疹(ヘルペスなど)と帯状疱疹への治療効果の臨床試験により、ファムビルのヘルペスウイルスへの有効性が証明されています。
ファムビルの国内第III相試験の概要と結果について詳しく解説します。
目次
国内第III相試験とは

臨床試験は、第I相、第Ⅱ相、第Ⅲ相と順に進められていくのが一般的です。
第Ⅲ相試験については、「比較臨床試験及び一般臨床試験により、さらに多くの臨床試験成績を収集し、対象とする適応症に対する治験薬の有効性及び安全性を精密かつ客観的に明らかにし、治験薬の適応症に対する臨床上の有用性の評価と位置づけを行うことを目的とする試験である」とされています。
ファムシマックの先発薬ファムビルの臨床試験結果

ファムシマックの先発薬であるファムビルの単純疱疹、帯状疱疹治療の国内第III相試験は以下のとおり実施されました。
それぞれの臨床試験の概要と結果について解説します。
ファムビルの単純疱疹(ヘルペスなど)への臨床試験結果
ファムビルの単純疱疹(ヘルペスなど)への国内第III相試験では、以下の比較試験が実施されました。
それぞれの比較試験の概要と結果について解説します。
ファムビルとバラシクロビル塩酸塩の比較試験
国内第III相試験で、ファムビル(1回250mg1日3回投与する場合)とバラシクロビル塩酸塩1回500mg1日2回投与する場合)との対照二重盲検比較試験(計71施設、555例)が実施されました。
この試験の結果、「全ての単純疱疹の病変部位が治癒するまでの日数」において、ファムビル(1回250mg1日3回投与)がバラシクロビル塩酸塩(1回500mg1日2回投与)に対して効果が劣っていないことが検証されました(ハザード比0.918、信頼区間0.774〜1.088)。
また、Kaplan-Meier曲線の比較では、ファムビルとバラシクロビル塩酸塩の「全ての単純疱疹の病変部位の治癒率」の推移はほぼ相似しており、「全ての単純疱疹の病変部位が治癒するまでの日数」の50%点はいずれも6日という結果でした。
ファムビル投与群の副作用発現頻度は8.9%(25/281例)で、主な副作用としては、傾眠2.1%(6/281例)、口渇1.1%(3/281例)でした。
ファムビルとプラセボの比較試験
国内第III相試験では、単純疱疹(口唇ヘルペス又は性器ヘルペスの同じ病型の再発頻度が年間3回以上)患者を対象に、ファムビルとプラセボの対照二重盲検比較試験(計96施設、有効性解析対象集団として373例)が実施されました。
被験者には事前にファムビルまたはプラセボを配布し、被験者は再発の初期症状発現後6時間以内にファムビル1000mgまたはプラセボを服薬します。
さらに、初回服薬から12時間後(許容範囲として6〜18時間後)にファムビル1000mgまたはプラセボを服薬しました。
このようにして、ファムビルを服用した患者とプラセボを服用した患者の比較をしたのです。
その結果、ファムビルは「単純疱疹のすべての病変部位が治癒するまでの時間」を有意に短縮し、ファムビル(1回1000mg2回投与)の効果がプラセボに対して優れていることが検証されました。(P=0.008、ハザード比1.33、95%信頼区間1.08〜1.64)
ファムビル服用群の副作用発現頻度は5.3%(14/263例)で、主な副作用は、傾眠1.1%(3/263例)でした。
この試験結果から、旭化成ファーマ株式会社は再発性の単純疱疹に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項の一部変更申請を厚労省に提出し、2019年2月21日に承認されています。
この一部変更承認によって、再発性の単純疱疹患者に対してファムビルを1回1000mg2回投与することが可能になりました。
この変更によって、再発性の単純疱疹の早期治療が可能になり、また1日2回の服用で済むため患者の利便性も向上したのです。
ファムビルの帯状疱疹への臨床試験結果
国内第III相試験では、帯状疱疹治療に対するファムビルとアシクロビルの比較試験も実施されました。
アシクロビル対照二重盲検比較試験(計50施設、471例)において、病変部位が完全痂皮化(かさぶた化)するまでの日数で、ファムビル(1回500mg1日3回投与)の効果がアシクロビル(1回800mg1日5回投与)の効果に対して劣っていないことが検証されました(ハザード比1.080、信頼区間0.888〜1.312)。
また、Kaplan-Meier曲線の比較では、ファムビルとアシクロビルの完全痂皮化率の推移はほぼ相似しており、完全痂皮化までの日数の50%点はいずれも7日でした。
ファムビル群の副作用発現頻度は10.7%(25/233例)で、主な副作用は、ALT増加2.6%(6/233例)、頭痛1.7%(4/233例)、AST増加1.3%(3/233例)でした。
単純ヘルペスウイルスの薬剤感受性試験結果
国内第III相試験では、ウイルス分離・培養で陽性となった被験者から分離した単純ヘルペス1型(以下、HSV-1)16株及び同2型(以下、HSV-2)18株のペンシクロビル及びアシクロビルに対する感受性を測定しました。
薬剤感受性は、プラーク減少法を用いて、プラーク数が50%減少する濃度(IC50)に基づき評価しました(表 2.7.2-9)。
HSV-1に対するペンシクロビルのIC50の平均は0.026 μg/mLであり、アシクロビルのIC50の平均は0.027 μg/mLでした。
HSV-2に対するペンシクロビル及びアシクロビルのIC50の平均は、それぞれ0.28 μg/mL 及び0.11 μg/mLでした。
まとめ

国内第III相試験で、ファムシマックの先発薬ファムビルのヘルペスウイルス感染症に対するさまざまな臨床試験が実施されました。
再発性の単純疱疹患者に実施されたファムビルとプラセボの対照二重盲検比較試験では、ファムビルがプラセボに対して効果が優れていることについて証明されました。
この試験結果から、再発性の単純疱疹患者に対してファムビルを1回1000mg2回の投与を可能にすることが、厚労省に承認されたのです。
このように国内第III相試験の各臨床試験の結果により、ファムビルはヘルペスウイルス感染症に対して非常に効果的な薬だと証明されました。
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